ザ・グレート・展開予測ショー

初恋・・?128


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 6/ 5)

「―つうかなあ」
(まさかこの世界に『あの』ゆうねえの恋人となることが、できる人間がいるとは…)
絶叫した横島のいつわらずの心境というものである。
何しろ、この女性あらゆる意味で非常識なひとなのである。
ある意味、(ある意味でなくても)美神よりも始末におえなかったりもするのだ。
―そんなゆうこと、まがりもなにも恋人といわれる立場にいる人間(かどうか怪しい)が普通なわけはない!
―とその感じの良さそうな、青年はにこにこと笑いつつ夏子へタオルを返し横島へと近づいてゆく。
その笑顔はやわらかい―ひとの好感を得られそうなものなのに、横島には威圧感というか、迫力というか、ものすごく横島に馴染みのある寒気を感じたのだ。
じりっと
無意識のうちに後ずさるのも仕方ないだろう。
そしてもちろんこの手の勘が外れるなんてことはありえない。
たとえそれを感じた本人が切実に、外れて欲しい―と思っていても。
青年はにっこしとそりゃもう満面の笑みで―
「とりあえず、これいままでの貸し分だね」
というと―
ばきいいいいいいいいいいいいいっという心地よい轟音を響かせ
横島の直ぐ傍の壁をぶちぬいた。
もちろん、横島は野生の本能というべきもので紙一重で避けるが―
それでも頬には一筋血が流れている。
これで怒らない馬鹿はいない。
口を開こうとしたら
「な、なにすんねんっとしにいっ!!いくら横島がゴキブリ並にしぶとくても物には限度があるやろっ」
と夏子が言った。
ちなみに、さんざんぶちのめした夏子がいってもあまり説得力はない。
だが青年はしれっと笑顔のままで
「気がつくまではまったよ」
という。
「―そのおっさんの蹴りをまともに食らったらアバラが何本あっても足りないけど、ま横島くんならいいんじゃない」
となんとも冷たい台詞の美神。
「ってそーゆう問題じゃないですよ」
いきなりなぐっちゃいけないんです。
と美神を窘めるようにおきぬ。
それでも横島の心配をしてないのは流石である。
「先生になにするんでござるかっ!!」
と尻尾を逆立てシロ。
ちなみにその問いに青年はにっこしと
「蹴り、本当はもうすこし力いれたかったんだけどそれじゃ流石に悪いかな?と想っていちおう手加減はしたよ」
とのたまわった。
いや…そーゆうものだろうか?
むっと表情を強張らせさらにつっこもうとしたシロを制すように苦笑した声が割りこむ
「なに怒ってるの?」
ゆうこである。
「わかる?」
ぽりぽりと頬をかきながら青年。
苦笑したように言うその姿のどこに怒りがあるのか―一見したところわからない。
「もう、みたまんま物凄く怒ってる」
だがゆうこはきっぱしと言う。
と、いうか怒るならもっとわかりやすく怒ってくれ―というのがゆうこと青年以外の正直なところであろう。
「え?でもとしにいって横島と初対面やろ?なんでそんなおこっとるん?」
小さく首を傾げ夏子。
「―確かに俺はあんたと直接あっとらんぞ」
むうっと口をとがらせすこしばかり血の気のひいた顔でとなりに空いた穴をみつつ横島
「―そりゃ、あうのは初めてだけど、君のせいでボクの愛しのはにーの命危機になるっていうんならこれくらいはしなきゃだろ?」
穏やかに淡々といっているがこれは間違いなく怒っている
その証拠に瞳が笑ってない。
「―いや、それは」
すこしばかりたじろぐ横島。
「―だけど、それは私自身の意思でもあるのよ?なにか文句ある」
くすりと―微笑みゆうこ。
―と、その瞬間ばこっと、横島へスリッパが飛んできた。
ついで数秒後、ぐいっと襟首を締め上げられる
もちろんそんなことをするのは―
「ゆうねえになにしたんやっ!!」
夏子である。
「まて、落ち着け話せばわかるっ!!」
「わからいでかっ!」
「―つーか俺がゆうねえにできるわけないやないかっ―!!」
「もしかしたら万が一ということもあるやろがっ!!」
ぎりぎりと襟首をしめあげる夏子に対し、びくびくと言い訳をする横島。
―勝負あったである(何のだ)
青年はそんな二人を尻目に、少しだけ声をひくめて言った。
「―そのせいで『歪み』がでてもかい?」
つづく

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