ザ・グレート・展開予測ショー

GS流むかしばなし絵本 美神さんのホラ吹き


投稿者名:三遊亭楽栄
投稿日時:(02/ 5/30)

むかし むかしのことです。
ドイツのカーメルンでおこったおはなしです。

 ちゅう ちゅーー ちゅう
 あらいちゅーー ちゅうちゅちゅ

さどぅんりぃ カーメルンのまちには ねずみがふえはじめました。
ねずみたちは かってに かおくに しんにゅうしました。
だいどころにいって やさいを ひとばんで たべつくすのです。
とんでもないことに とだなの とをあけ はむ や ちーず も たべてしまうのです。

「なんてねずみなんだ」
「ねこをかおう」
「ねずみとりもしかけようか」

まちびとたちは そう はなしたあと かえりました。
そのよる、いうとおりにしました。
しかし ねずみのほうがつよかったのです。

ねこをみかけたねずみは、 まっさきにねこのしっぽをくいちぎりたべています。
うえに べつのねずみが みみも くいちぎり あたりいちめん ちしぶきです。
さらに ねずみは ねこの て と あし のつめを は で はがして……
ねこをきぜつさせ ねずみが ひきさいてたべはじめていました。
ほかに、あかんぼうにも おそいかかり なけさけぶ ひまをあたえずに 
あたまをかみくだいて、 てあしを どうたいから くいちぎりたべます。

「なんて、ことだ。」
「にんげんのほうがねずみにくいころされて……」
「よる うかつに ねれないわね。」
「よわりましたね」
「どうしよう」

まちじゅうの ひとたちは すっかりこまってしまいました。
ねずみたいじの ちえが うかばないのです。
どうしようもなくなり、からす さんのところへ おしかけました。

「そんなこと、わたしにいわれてもこまるのですが。」
「なんとかしてください からす さん。」
「もはや こまったじゃ すまされないのです。」

このままでは、にんげんがねずみに たべものやじゅうきょ、からだまでも
むさぼり かみころされ めつぼうしてしまいます。
こまりにこまって からす さんは あたまをかかえこんでいました。
あんど いん たいむ。
からすさんの へやの ドアを のっくする ひと がありました。

 とん とん はるまげとん
 とととん とん こんとん

きみょうなおとでした。
あけてあげると、3にんのひとが はいってきました。
ひとりは、あおむらさき の ぼでこんすーつ をきて、 もうひとりは みすぼらしい
あおみずいろ の てきさすじーじゃん と じーぱん、そのうしろには あおい 
かみのけに しろどうぎ、あかいはかま を はいた おんなのこです。

「なにモンだ きみは。」
「あたしはごーすとすいーぱーよ。
 からす さんの ほうしゅうしだいでは ねずみをたいじします。」
「ほ、ほんとうですか!?」

からす さん の かおに えみがうかびました。
またしかるように どのようにたいじするか たずねました。

「この おきぬちゃんの くびにぶらさげている ねくろまんさーのふえ
  を ふけば、どんな ちみもうりょう も よびよせて じょうか
  させることができます。」

みかみさんの ゆびさす おきぬちゃんのくびには
ほそいふえ が いっぽん ぶらさがっていました。

「わたしは ホラは ふかないわ。
 このあいだは、じぇのば とか いうところで たくさんの おにぐもを
 あつめて たいじしたわ。たすけてあげたのよ。」
「そうそう、10おくえん ごういんに まきあげて …… ぐ!」
「よけいな ことを いわないの!」
「なに、10おくえん ぐらいなら まちびとのぜんじんこうの いのちにくらべたら
 まだまだ やすい かいもの。おねがいしょう!」
「おねがいします!」
「どうぞ、いっぴきのこらず たいじ してくれ!」
「ついでに、16さいぐらいの わかくて かわいい おんなも …… ご!」

からす さんたちは うれしそうに かおを みあわせて てを
とりあって とびはねて おねがいしてきました。
そのしたに、ちを 15りっとる ながした よこしまが しにたえていました。

みかみさんは べつのいみで にっこりわらって そとに でていきました。
でも その べつのいみとは …… ?

まちの ひろばに いどうした さんにんです。
おきぬちゃんは、 さっそく ふえを ふきはじめました。

 ひゅうるり〜〜〜  ひゅううる ひゅる〜〜〜
 ひゅうるり〜〜 ひゅうるりら〜〜〜

するとどうでしょう。
あっちで ざわざわ、こっちで ぞわぞわ、ねずみがでてきました。
さらに ざらざらと ゴキブリがでてきて みかみ は きぜつしました。
また そっちには ぼそぼその ささやきれぽーたー と こやまかめらまん
が じっきょうちゅうけい しています。

ともかく きみのわるい おととともに ねずみが はいでてきました。

おおきいねずみ   ちいさいねずみ   はらぐろい ねずみ
ふとったねずみ   てぃーびーえす の あずみ
やせたねずみ   くろいねずみ  くりまたすみ  はいいろのねずみ

といった さまざまな ねずみが、 ひろばに あつまると、 おきぬちゃんは
ふえをふきつつ テムジンかわ にむかって どこでもドア を こぐっていきました。
うしろから ぴょんぴょん ぞろぞろ ねずこうは ついていきます。

「なんて ふしぎな ひとなんだ。」
「ほかの ふたりは どうしたのだろう。」
「ほんとだ!」
「いっぴきも みあたらなくなったぞ。」

まちの ひとたちは おきぬちゃんの ふえに ききほれた ねずみの
ぎょうれつと どこでもドア をみて めをまるくするばかりでした。
そのころの みかみは ごきぶりのたいぐんの まえに ひからびていたのです。
おきぬちゃんは ねずみのたいぐんを したがえて
テムジンかわの ほとりに たどりつきました。

 ぴゅるる るぅぅぅうう ぴゅるる
 ぴぉおお ひゅるるるっっっるるる……

かなでる さんさんななびょうし の あいず の ちょくごに ねずみは
レミングスか していきました。
ねずみたちは いっせいに みずのなかへ じさつしていったのです。
なんてことなのでしょうか。
みずだけに 「みず」から じゃぷん じゃぷん うっふん と とびこんでいる
こうけいだけに 「こっけい」 だったのです。

こうして、まちじゅうのねずみは いっぴきのこらず みんな おぼれしにました。
カーメルンのまちは たすかったのです。
まちじゅうは おおよこびの おおごえに つつまれました。

 りんごーーん りんごーーん
 みかんーーん みかんーーん

きょうかいからは いせいのいい おいわいの かねが なりわたりました。
おきぬちゃんは、さっそく からす さんの ところへ いきました。

「どうでしたか からす さん。」
「でも ふえをふいただけじゃないか。」
「そうだそうだ。」
「ふーーむ、まちびとの いけん からしても、10おくえんはたかすぎる。」

ふえふきおんなに ばくだいな かねを あげるのが できなくなりました。
それにくわえ、おそろしいねずみが いなくなったのを いいことに
からす さん たちは いなおって つよきに なってしまったのです。

「じゃあ、ぜんがく きふします。」

それにくわえ、いがいな おきぬちゃんの せりふでした。
にっこりとした かおは、すごいさわやかだったのです。
そのまま やくばを でていくと、もういちど ふえを ふきはじめました。
すると どうでしょう。

「わーー、ねずみたいじの おねえさんーーー!!」
「ふえふきの おねえさんだーーー!」

まちの あちらこちらから おきぬちゃんふぁんが とびだしてきました。
えいゆうと あがめ、したうかのように あつまってきたのです。
おきぬちゃんは ふえを ふきながらあるき うしろを こどもたちが ついてきます。

「なーに、こどもたちは ちみもうりょうなんかじゃないんだから。」
「すぐにかえってくるさ。」

いっしゅん しんぱいになった からすさん でしたが。
ところが たいへんなことが おこりました。
ふえふきおんなが こどもを ひきつれて やまのふもとまで きたときです。
あたりの ふうけいは みもしらぬ はいけいにかわったのです。

「わぁ、なんだなんだ。」
「の … の、のどが かわく …」
「ひぃ ……」

その はいけいは はらっぱです。
なにやら ふういんされた えんとうけいの ものが こどもの のうりに
うきだされました。
きがつくと、まわりは いったい よる。
そらには、まんげつが ういて ‥‥ いえ、まんげつじゃありません。
えんとうけいの なかから なにかを みあげたような かたちをしていました。

……

かわききった、いど。
いそいで あわてて はいでようとした とき こどもたちは
からだに いへんを かんじました。
まんげつのような うえから こどもたちの てが はいでているようでした。

「たすけ … て …」

そうつぶやいた こどもには なにかを かんじました。
じげんが ゆがんでいるのです。
おきぬちゃんは、ひゅるひゅる ふえを ふきました。

「どうですか、まごくろ の ごあじは …」

その おきぬちゃんは にっこり えがおを ゆがませていました。
ふえ で まごくろ の ふういんを あけた ゆえん です。

「冥」 の もじが ひとみに くっきりと うかんでいました。
めいど からの ばつ なのです。
きがついたときには こどもたちは 冥なる こども に へんしんさせられ
カ−メルンに もどっていたのです。

「おお、ぶじ だったか」
「うわああ」
「きゃあああ!」
「ばけものーーー!」

さくらんした こどもたちは おやが ばけものに みえました。
その 「冥」なる こどもはというと、 なんども しょっくばくはつ と 
ぼうはつ を くりかえす たいしつになっていました。
その けっか ……
まちは しょうめつしたのでした。

─────────────────────────────────   おわり

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa