ザ・グレート・展開予測ショー

THE DARK SIDE OF THE MOON 〜Act.1


投稿者名:Cultivate Flat
投稿日時:(02/ 5/24)

 
 ――35世紀。人類は、まさに栄華を極めていた……。超高層ビルが建ち並び、宇宙へと羽ばたいた。歩道は全てコンベアー・ロードになり、エアカーは空を飛び交い、交通は解消された。また、科学の進歩により、超能力、霊能力と言った類のモノが証明され、次元のズレなどの発見により、神界、魔界の存在も証明されたのだった……。
 世界情勢はと言うと、千年前に世界連邦が成立し、国と国との境がなくなり、国家間の戦争はなくなった。そして、人間同士の争いはなくなった………………かのように見えた。が、しかし、人間本来の闘争本能は収まりを見せなかった。連邦が成立して、300年になる頃までは平和であったが、戦争というモノがなくなってしまったために、次第にフラストレーションが募り、人々は徐々にそのベクトルを犯罪の方へと向けていったのである。殺人、強盗、破壊、ドラッグ、………などなどあらゆる犯罪に手を染めていく人間達。そのような事態が、世界各地で起こり、連邦も手に負えなくなったいった。そのため、治安は今まで以上に悪化し、貧富の差も増大し、無法地帯と化していった………。
 …………そして、誰も気付いていなかった。人間界と神界とのつながりが無くなっていくのを。そして神魔界がそんな腐敗しきった人類にある決断を下そうとするのを。

――――――――THE DARK SIDE OF THE MOON―――――――

               Act.1 承前

 ―――3470年。世界連邦 日本州 某所………………。

 かつて妙神山という山があったこの場所には、全自動の核発電所が建っていた………。
そんな閑散とした地に一代のエアカーが空から降り立った……。中からでてきたのは、50ぐらいの初老の男。細身で175ぐらいの身長、黒マントを身につけ、丸眼鏡をかけた白髪のその男は、発電所の脇の壁に向かい、何やら呪文を唱え始めた……。
 すると、次元が裂け、一つの大きな穴が開く。そしてそこにはかつての妙神山の門にに向かう道が続いている。男はその中へと入っていった……。、と同時にその次元の裂け目は閉まり、何事もなかったように元の壁へと戻った……。

 歩くこと数分。妙神山の門が見えてきた………。そこには門の前を竹ボウキで掃除する17〜18くらいの少女が……。その服装はここの管理人、小龍姫の格好をしている。
 その少女は男に気付き、声をかける……。
少女「アッ…………、ピート!ひっさしぶり〜〜っ!………にしても、随分老けたわね〜〜?」
ピート「………パピリオか……。小龍姫様はいらっしゃるか?」
パピリオ「アァ……、アノ年増ね。いるけど、だいぶ険しい表情(かお)してたわよ?まったく、ナニ考えてるんだか………。」
右の鬼門「コラッ、オヌシ!ちっとも反省しとらんようだな?また小龍姫様に言いつけるぞ?」
パピリオ「ハイハイ、分かりましたよ。掃除すりゃいいんでしょ?」
左の鬼門「ピート殿、よく来てくださいました。ササ、どうぞお入り下さい。小龍姫さまがお待ちです……。」
ピート「アァ………、ありがとう。」
 そう言って、鬼門が門を開き、男は中へと入っていった……。

 中へ通されると、鬼門の体(頭無し)に修行場の向こうにある中国風の邸宅の応接間へ案内される………。しばらく待つと、小龍姫が入ってきた。その姿は、1400年前と殆ど変わりはないが、より妖艶になった感がある……。
小龍姫「ピートさん!久し振りですね……。カレコレ800年ぶりですか?」
 いつもの調子で挨拶する彼女………。しかしその明るく見える表情はどこか装っているかのようだった。
ピート「エェ…………、本当に……。で、何ですか?急に呼び出したりして。」
 早速用件を切り出す男。すると、小龍姫の表情は厳しくなり、一瞬黙り込む………。そして………。
小龍姫「………ピートさん、これから話す事は他言無用、特に下界の人間達には絶対に口外しないで下さい……。」
ピート「……………(静かに頷く)」
小龍姫「下界にいるアナタには分かっていると思いますが、今の人間は腐敗しきっています……。今まで我慢してきた神魔界もとうとう見るに見かねて、ある決断を下しました…。」
ピート「…ある決断というのは?」
小龍姫「…………(しばし沈黙)………、決断というのは、下界の人間達を消去し、あらゆる文明をリセットして、もう一度最初からやり直すと言うことです……」
ピート「………(驚愕)………」
小龍姫「無論、あなた方は神界からの勅令でこちら側で生活して貰うことになると思います。用件はそれだけです。しかし……………、人間は種として限界なのかも知れません………。」
ピート「そっ、そんなっ!!」(ガタッ!)
 男がその言葉に反応し、急に立ち上がったため、イスが後ろに倒れた。
ピ−ト「そんな馬鹿な!神は人間を見捨てる言うのですか?」
小龍姫「………我々も人類の醜い面は、今まで目をつぶってきました。しかしどうです。世界連邦が成立し、戦争はなくなったというのに、争いは絶えません。それに人類は神の領域に踏み込みすぎました。私だって、こんな事は言いたくありません………!!ですが、現在の状況が最悪のなのです……!」
 そう言ってうなだれる小龍姫。それを見て男は憤りを押さえ、だまって座る。
ピート「………気持ちはお察しします。しかし、今の世界を抹消するというのはあまりにも身勝手ではないですか?それに私たちしか救われないのは何故ですか?」
小龍姫「………とにかく、私の用件は以上です。あなた方でよく相談してください。鬼門に出口まで送らせます………。」
ピート「アッ、しょっ、小龍姫様!?」
 小龍姫は振り返らずに去っていく………。そして男は鬼門に出口まで案内され、下界へと戻る……。
ピート「…………人間か…………。」
 男はそうつぶやき、エアカーに乗り込んだ。そしてエアカーは空へ浮かび、都市へと戻っていった………………。

 続く……

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