ザ・グレート・展開予測ショー

魔女の過去 W


投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 5/14)

「あわわわ・・・・・・」
熱い・・・熱い・・・
「・・・代償は受けてもらわないと・・・ね」
男は軽い気持ちだった。
一人街をさまよっている少女のバックを奪った。
一人で町外れの郊外を歩いている馬鹿な東洋人観光客からバックを取ってみただけ・・・
それだけだったのだが・・・
「炎よ・・・」
その一言を少女が発したとき男の体は―――燃えていた。
「ぐぉあ・・・」
熱い・・・熱い・・・
肌が―――焼ける。
これが三十分ほど続いているように思える。
「うう・・・助けてくれ・・・」
実のところ男の体は燃えていない。
幻術と呼ばれる魔法の一種である。
催眠術と解釈してもらっても構わない。
「正当防衛というでしょ?」
魔鈴はバックを男の手から奪い返した。

「なるほど―――大魔女へ・・・ですか」
美智恵の問いに長老はうなずいた。
「奴の行動は常軌を脱している・・・もはや理解できん・・・」
青い爪の魔女はまず同僚の魔女を殺しその血を飲んで魔力を増強した。
そしてそれが知られると魔女協会の追跡を逃れ一般の―――例えば魔鈴めぐみのような者を襲いそれを続けた。
そして今度は追跡をしていた討伐隊を迎撃しその力を奪った―――。
「我々はこれ以上青い爪の魔女を追うことはしない・・・」
少なからず魔力をもったものは魔女協会に収容した。
在野にいる魔女も含めて。
これなら・・・
「青い爪の魔女もなにもできんよ・・・」
魔女協会を単独で襲うほどの力はない。
「しかし・・・大魔女には・・・」
「心配はいらん・・・大魔女などただの伝説に過ぎん。とどのつまり奴の妄想」
「・・・・・・」
ならば何故・・・
「我々の役目とは何です?その妄想魔女の征討ですか?」
いくら大魔女にならないとはいえ幾多の人を襲ったことには変わり無い。
それにその増大した魔力を持ってどんな行動を起こすとも知れない・・・
その結果・・・
「(本当にその青い爪の魔女が妄想におかされているとも思えないしね)」
「それもある。君が幾多の人外のモノと戦い勝利したと聞いている。だがそれだけではない」
「と言いますと?」
「一人だけ、この魔女協会本部にいない魔女がいるのだ・・・正確に言えばいなくなったと言えるが・・・
その魔女をここに連れ戻してもらいたい」
「・・・努力しましょう」
魔女協会がそういう対応に出る以上GS協会が何とかするしかない。
もっともそのことは想定して美智恵は来たのだが。

その頃西条は・・・
「う・・・あ・・・」
危機に陥っていた。
「うふふ・・・・・・可愛い子」
細長い手が西条の頬をツタウ。
「どれくらいぶりかしらね・・・ココに部外者が来るのは・・・」
「お、お願いですからやめてくだ・・・さい」
自分の周りにどれほどの女性がいるだろうか。
「(お願いだから先生・・・早く帰ってきてください・・・)」
師は目の前に見えるドアの向こうにいる。
ガチャ
「おお!西条君!モテモテね!!」
「せんせい・・・助けてくださいよぉ・・・」
西条は、もう、いっぱいいっぱいである。
いろんな意味で。
「うーん・・・まぁ、いい経験だったんじゃない?」
楽しそうに美智恵は笑う。
美女たちに囲まれる西条。
「・・・絵になるわねぇ・・・」
「・・・からかわないでください」
魔女たちの手を振りほどくと西条は外へと飛び出す。
西条を囲んでいた魔女たちは美女である。
強いて言うなら・・・
「うんうんまるで息子が出来たみたいだったわね」
「久しぶりに若返ったき・ぶ・ん」
少々年齢が高めだと言うことか。
「・・・それで如何だったんですか?僕たちは何をすれば・・・」
西条は使命感に燃えている。
いつも・・・こうである。
そんなとき美智恵はそっと・・・
「西条君・・・」
師が自分をジッと見つめる・・・
―――なんだ?
「口紅・・・顔のあちこちについているわよ・・・」
「げ・・・!は、早く言ってくださいよぉー!!」
ゴシゴシ
ハンカチで顔を拭く。
そんなときは息をつかせるのだ。
あんまり熱血していると―――時として周りが見えなくなる。
それを防ぐのが師のつとめ。
いつか西条が分かるときまで・・・

・・・ミツケタ・・・
「意外と早く見つけることができたねぇ・・・よかったよかった。これで青い爪の魔女も喜ぶよ」
「そうか?ワシはそんなことは如何でもいい・・・それよりは肉だ」
「うーん・・・前から言おうと思っていたんだけどあんまりいい趣味じゃないねぇ・・・
僕みたいに健全な食事をしなよ。健康にもいいしね」
「魚は好かん。やはり・・・」
中年の男性と少年の二人組はしゃべりながら―――闇の中に消えていった。

魔鈴はしばらくたった後、男にかけた幻術を解いた。
男が気絶しているのに気づいたからだ。
「さて・・・と」
青い爪の魔女はそのうち自分を狙ってくるだろう。
だからこそ魔女協会が魔女すべての召集する直前に逃げ出したのだ。
青い爪の魔女が求める魔力を手に入れるには・・・自分が一番容易いはずだ。
「待ってなさい・・・あなたが私の目の前に出てきた時・・・」
絶対に・・・・・・仇を・・・・・・

フラグはすでに立て終った。
後はそのときが来るのを待つだけ・・・
同族に危険視されたがゆえに追放されてからどれ位の月日が経っただろうか。
「復讐を・・・」
だが、それには―――足りない。
だからこそ―――。
「ふふふふふ・・・・・・」
もうすぐ・・・力が回復するときが来る。
そのときは・・・こんなやせ細った体ではない。
もっと若々しい体に・・・


――――――続く――――――

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