ザ・グレート・展開予測ショー

音色完結そのに


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 5/12)

―そして―紡がれる音

「何をいってるでござるかっ!!こんなに拙者が頑張っているでござるにっ!」
菜ばしでしゃかしゃかとなにやら混ぜながらシロ。
だが、その中の物体は外へと飛び散り本来あるべき分量の半分もない。
ちなみにその残りの半分は、部屋中…を彩っていたりする。
一体誰が掃除をするのだろうか……。
「―頑張りゃなんとかなるってわけじゃないでしょーが」
げんなりと―シロをみつつどこか投げやりとすら思える口調でタマモ。
言っても無駄だという言葉をかみ締めつつそれでも言うその姿にはいっそのこと哀愁すら感じる。
「なにおうっ」
むかっとそのタマモの言葉にシロが反応する。
「…本当の事でしょーがっ、てところで美神さん」
シロは尚もなにか言っていたがそれを無視し、美神に語りかける。
「なに?」
美神はまだ視線はフライパンにいっている。
―ちなみに夜食はミルクレープである。(クリームとクレープ交互に重ねてケーキ状にしたもの)
どうせ、疲れて還ってくるだろうから―そして疲れた時は甘いものに限るという美神の言葉である。
「―いやみんなで夜食作って待ってるくらいなら、誰か一人くらいおきぬちゃんとペアでいけばよかったんじゃない?」
確かに。
それはそうだ。
美神は風邪といっていたが別に、それほどひどいというわけでもなく―というか普通どうりである。
横島にしても試験の前日でこれないということになっているが今問答無用でここにいる。
タマモにしてみてもシロにしてもいこうと思えばいけるのだ。
誰かひとりくらい付いていってもいいのではないのだろうか?
―確かにおキヌには向いているものかもしれない―だが補助するものがいるのといないのでは違うのではなかろうか?といっているのだ。
「そりゃま、確かに」
とは横島。
うんうんともっともらしく頷いている。
だが美神は―視線は動かさないまま
「それじゃ意味ないでしょ?」
と言った。
「意味が無い?」
タマモは、きょとっと目を見張り―首を傾げる。
美神は、かちりとガスコンロを切り、そして振り返り言う。
「アンタたちも気付いてた―と思うけどおきぬちゃんは最近悩んでたのよね」
「ああ―」
と横島は思い当たる節があるのか顎に手を当て頷く。
「そうでござるか?」
はて??を首を傾げシロ。
「―なんとなくなら」
言葉を濁しタマモ。
「―本当は、最近ってわけじゃないのよね―多分あの子は足手まといになるのを一番恐れてるのよ」
ぼそりと誰に聞かせるというわけでもないようにひとりごちる美神。
「多分―それは『死霊使い』という能力の特異性からきてるとは思うんだけど」
「とくいせい??でござるか?」
「―そう、死霊を操る、説得する、浄化させるこのちからは、稀で―それだけで貴重な戦力にはなるのよね―横島くんとは違ってなのにおきぬちゃんたら」
ふうっとため息をつき美神。
「違って―てなんすか違ってって―!!」
横島が声を荒げて抗議するが美神は黙殺し話を続ける。
「だけど、稀な分融通がきかないでしょ?私みたいに神通昆に霊力をとおして攻撃できないし、シロタマコンビ―みたいに炎も剣もつかえない―かといって彼女に死霊を止めて使うなんてことはできないだろうし―まあ横島くんみたいな力の持ち主が、なまじ傍にいるから尚悪いともおもうんだけどね」
「俺??」
ですか?と自分を一指し指を差し困惑顔になる横島。
「そう、アンタ」
にっこしと美神は情け容赦ない笑顔を送る。
そりゃもう恐いなんてもんじゃない。
ぴきっと横島のまわりだけ温度が下がる。
「…まあ横島くんの能力『文珠』はそうね、まあ使い様によってはどうとでもなるかなりいいかげんなものだし、時々冗談じゃないかとも思うけど言ってしまえば、おきぬちゃんと対極にあるのよね―」
状況に応じていかようにも出来る能力と、ある一定の―条件をみたす敵ではないと発揮できない能力。
こう並べてみれば一見―前者のほうがいいだろう。
だがそれは言い換えれば、どんな状況でも役にたたないという可能性もある。
そしてある一定においては、絶対の力をもてるという意味も兼ねる。
「―確かに、そのところまでおきぬちゃんは到達してないけどね」
だけど、自分を足でまといと思ってる時点でいける可能性が―消える。
間違いなく其処へとたどり着けるのに。
自分から―消すのだ。
「だから、ちょっと荒療治しよーと思って」
そう言い美神は少しだけバツが悪そうに笑った
つづく

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