ザ・グレート・展開予測ショー

交差そのよん


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 4/15)

―自分は、ここにいてもいいのだろうか?
それが連れられてきて一番最初に思ったことである。
連れて来られた場所は、自分が『落とされた』ところから十分ほど歩いたところだろうか?
一面の菜の花畑で、そこには、見たこともないものが並んでおり、
なにやら、昼食の用意をしているところであった―。
腰まである流れるような艶やかな黒髪の美しい少女―おきぬといっていた―が
「恐くないですからね」
とまるで幼子を安心させるかのように多少ひきつった笑顔をうかべてくれてはいるが説得力皆無である。
まず自分を連れてきた―横島というのだが―が問答むよーといわれんばかりに亜麻色の色の髪をした女性にべしびしっとしばかれているのである。
その女性は、容姿だけで言えば極上の部類に入るのだろうが、いかんせん恐い。
服はみたこともないよーなものを着ておりそして驚くほど露出が高いが、まるで、この女性のためにあつらえたかのように、似合っている。
そして、ただ美しいだけではない。
体全体から生気にみちあふれており、横島というひとをしばきたおしているのがこの上もなくたのしそーに見えるのは気のせいではないだろう。
「あああもうっなんであんたはいつもいつも、やっかい事もってくんのよー!!」
とびしっと鞭らしきものを女性が振り下ろせば
「そんなこと言われてもっていくらなんでも美神さんに言われたくないですよっ!!やっかい事ひきつれて歩いてるじゃないスっか!!!」
ささっとその鞭を紙一重でよけつつ横島というひとが避ける。
だが本当に紙一重らしく体のいたるところには傷だらけだ。

しかもその二人を気にすることもなく、更に隣でけんけんごうごうと表現するにふさわしい―喧嘩をしている少女がふたり―
ひとりは、腰に届くくらいの色素の薄い髪に八重歯そしてなぜか生えている尻尾。
これまた見たこともないような服装をしている。
顔のつくりは可愛いのになぜか、少年めいた印象をあたえる少女は、尻尾を逆立てて、目の前にいる少女になにか言う―いや叫んでいた。
一方もうひとりの少女は、その八重歯の少女よりもすこしばかり、色素が、薄く儚げにみえる、外見をしていた。
肩をすこし過ぎるくらいであろう髪は、ゆるやかに結ばれている。
そして例によって―見るたこともない服装をしていた。
少女は、その外見とはまったく逆の強い―まちがっても儚げなどとは言えない光を瞳に宿し、その八重歯の少女とは対照的に、冷静に、だが、淡々と言い返している。
その反応に八重歯の少女が、更に言い募る。

…と、いうかなんというか…
さわがしいなあというかなんというか…
こー邪険に扱われるとか、必要以上に親切にされるということは、経験したことがあるが、さすがに無視して喧嘩(?)されるのは初めてだ。
そして、もしかしたら自分は邪魔(?)なんじゃなかろーかと思い始め、うーんと額に手を当てた時―
「いいかげんにしてくださいっ!」
というおきぬの一括が飛んだ。
びくっとその一括に全員の動きがとまる。
「「「「お…おきぬちゃん(殿)?」」」」
おきぬは―ぐっと両手を握り、きっと他の面々をみつめ―
「木下さんがっどーしていいかわからなさそーにしてるじゃないですかっ」
と、言った。
ちなみに藤吉郎の名前を聞いたのもいまのとこおきぬだけだ。

当然、と、なると全員の視線は藤吉郎に集中する。
八つの目にみられて藤吉郎は、びくっとあとずさる。
これもまあ当然の反応だろう。
「そーいや、忘れてたわ」
ぽりぽりと頭をかきすこしばかりバツの悪そうに女性。
横島をしばく理由が『厄介ごと』=『藤吉郎』のことである。
それを忘れるとはこれいかに。
「……その歳でボケの始まりですか…」
そう言った瞬間横島の顎に、べきっと黄金の右がひっとした
―そして、数メートル先で屍と化している横島を無視し、にっこしと笑う。
(なんか…人事じゃないよなあ…)
ぶすぶすと煙を吐いている横島をみつつ藤吉郎は、しみじみと思った。

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