ザ・グレート・展開予測ショー

misson:7thH`EVE`N「ファイルNo00:セットアップ?<世界>」


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(02/ 4/15)

「ねぇ、やっぱり将来はゴーストスイーパーになるの?」「まさか。やめてよ」
”あの”美神令子の――
「でも、ウチがそうなんでしょ?」「だから判るのよ。ダメだこの仕事、ってね」
天衣無縫の活躍の時代より、時が進むこと――
「そっかぁ。まーあたしから見ても、あんまり魅力的じゃないからなぁ」
「十年前まではボロかったんだけどね、そっからは仕事がなくなったから」
<ハァイ!ラジオの前の「ジェネレイター」諸君はいかがお過ごし?>
ぶづっ
「そうすっと、ひのめも来年にゃ進路活動でてんやわんやね」
「ま、ね。だいたいあたし、お化けとかまるでダメなんだわ」
十と、七年――


GS美神misson〜7thH`EVE`N〜/第七極楽大作戦/


「ひのめって「アン・タレント」だったっけ?」
相手がびっくりして尋ねてきた。彼女には、お化けが怖いという感覚は解らない。
「そう、じゃないんだけどね。感情的な問題っていうの?ブキミで暗いのがヤなの」
「ふーん…世の中ひのめみたいなのばっかりだったら、GSも食ってけるのにねぇ」
そういって、二人でからからと笑う。二人は放課後の校内を掃除していた。
GS衰退の最大の理由は彼女の言う通り、彼ら職業霊能者に頼る必要がなくなったためだった。
十年前。新生児から七歳までの殆ど全ての子供が超常能力を秘めていると判明した。
異変はそれだけにとどまらず、年を経ると上の世代は突発的に能力に目覚めた。
今や、能力の強度の差はあれど全世界の人口の98.89%がなんらかの力を持ち
たいていは時代の開拓者<ジェネレーションクリエイター>を縮めて呼称される。
とどのつまり、悪霊に自力で対応できるから霊能者を呼ばなくてすむのだ。
霊能者のインフレ。当然どこのGSオフィスも閑古鳥がなき、やがて閉鎖する。
一昨年にはGS協会が解散し、GS免許と交換で生活補助金が支払われたらしい。
去年にはGメンが大幅縮小され、日本を含めて各国の支部を引き払った。
またジェネレイターとの比較として、霊能力がない者を「アン・タレント」
大異変以前からの霊能者は「レトロ」という呼称を受け、区別された。
ジェネレイターの能力は一部の例外を除き、旧時代の人間の限界を超えているためである。
「そんなわけで、適当な大学に進んで、その後は適当にOLになるわ」
締めくくってちりとりを焼却炉の真上でひっくり返すと、ひのめは指を弾いた。
ボンッ

「ただいま〜」
ひのめは声を潜めて言った。
「ひのめ、あんたねぇ…」
「いってきまーす!」
母の押し殺した気迫に思いっきり背中を見せて再び玄関の戸をあけるひのめ。
「待ちなさいッ!いつまで札くっつけとくつもりなの、あんたは!?」
「…だって、ヤなんだもん。修行」
そう。本来は自力で制御するべき能力を、ひのめは背中に貼付したリミッター札で抑えていた。
そして理由もそのまま。小学校入学からこっち十年、ひのめが駄々をこねとおしたのだ。
なぜならそういうオカルトチックな修行は、彼女の嫌いな幽霊の存在を肯定する。
別に幽霊がいないと思っているわけではない。自分がそれを認めるのに抵抗があるのだ。
「でも、それがある限り水着にもなれないし」
「貴重品入れて首から下げるよーなのが売ってるでしょ?あれに札入れようよ」
「お風呂でなにか興奮するたびに湯舟が全部蒸発するし」
「そうと解ってて脱衣所で怪談始める、ある人に対する抗議になってていいわ」
「…あなただってゆくゆくは男の人とデートすることになるでしょうし」
「ま、その時修行したくなったらするわよ。ガッつく男は問題外だし」
怒濤の攻撃を難無くいなしたひのめに、母が寂しそうで嬉しそうな眼差しを送り、
「立派になったわね、ひのめ!それでこそ私の娘よ!!」
「そ、そぉ?えぇ、と解ってもらえたんならあたしはいくから」
「ダメよ。ウチの家計が苦しいの解るでしょ?毎日札貼り直してるから凄い額だわ」
「そっちか!?あたしの心配なんかじゃなく!っつーかそれお姉ちゃんのキャラ?」
一通り突っ込むべきとこを突っ込んでから家を飛び出す、律儀なひのめであった。

「あ〜ぁ。お姉のとこに転がり込むのも気が引けるしなー」
なんとなく、虚空に呟く。小遣いは人並みにもらっているが、毎度のことである。
そうそう時間潰しに散財できない。
とはいえ母が寝る時間まで延々練り歩く、というのは少々抵抗を感じる。
「少し、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」
いきなり声をかけられ、振り向いた先にいたのはひのめより若い人物だった。
(へ〜こんなコドモの時からナンパとかするもんなんだ…しかも同性を)
胸中で冗談を呟く自分も相当お寒いのだが、街頭アンケートという場所でもない。
「ま、ことと次第によるでしょうね」
ひのめは無難な言葉を選ぶ。
昔なら、夜の通りで声をかけられてまともにとりあうべきではない。
だがジェネレイターの台頭により、そのテの犯罪は実質不可能になった。
見た目ではどんなにか弱く見えようと、筋肉より頑健な力場を生めたりもする。
仮に霊視を備えたジェネレイターでも、その能力をキャンセルされることだってあり得る。
多くの能力は他人と力競べするよりも、力を無効化したり逃げるのに向いてる。
それに警察だって能力で地域を監視できる。襲う側のアドバンテージが少ない。
少女は一言、「お見せしたいモノがあるのでついてきて下さい」と告げた。
「見せて、どうするの?あんたの今の台詞に評価つけてあげましょうか。
2点。あやしすぎ」
「あやしくないですよぉ。…なんとなく」
ポケーッとしたかおでさらりと言う。
人をさそっといて失礼な態度という気もしたが、力一杯に「もーばっちり」と
言い切られるよりは、取りつく島はあるようで助かる。
「実は人を一人、捜してもらいたいんです…」
言いながら彼女が指したのは、古びた二階建ての「いかにもな」洋館だった。
「…こ、怖くて一人じゃ入れないのね?それであたしを誘ったってことなら…」
「私はホラー耐性ありますよ。捜してるの、私を殺した人ですし」
少女の口からこぼれてきた青白い気体が、やけにはきはきと答えたが
ひのめはその彼女をたっぷり十秒凝視してから、速やかにひっくり返った。


NeXT?
筆者(注
なぜNeXT「?」かと申しますと
どーもネタがお門違いっぽく思われるので、反応が良ければ続く、ということで

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa