ザ・グレート・展開予測ショー

嗚呼素晴らしき除霊野郎 〜ある坊主のGS日記〜 その伍


投稿者名:プロミス
投稿日時:(02/ 4/14)

とあるお屋敷にて。
「飛!!炎!!華!!法具よ、炎の化身、鳳凰と化して、悪を焼き払え!!」
「コアアアアアアアア!!」
『ギョガァアァアァアァアァアァアァ・・・!!!!!』

「ありがとうございました。これで明日から安心して眠れます・・・」
「いえ、礼には及びません。当たり前のことをしただけですから・・・」
どっかで聞いたような会話。そらそうだ。同じ人間が話してるのだから。

今日も今日とて坊さんは、平和の為に悪霊を除霊していた。が、以前のような活気に溢れた表情はなく、まるでスーパーの売れ残りの生魚みたいなどよんとした表情であった。
「ところで、お代の方はいくらでしたっけ?」
「あ、はい。除霊費と、人件費と、交通費とその他諸々で・・・」
ここで坊さん、表情をより一層暗くして一言。
「・・・しめて500万くらい・・・ですかね・・・」
「分かりました。ちょっと待っていて下さい・・・」
いそいそとギャラの用意をしに行く依頼人の背中を見つめながら、坊さんは深〜いため息をついた。
「・・・なんでこんなことになってしまったのだろう・・・」

〜こっから先坊さんの回想シーン〜

坊さんが爆発に巻き込まれてから一週間。
おキヌちゃんのヒーリングに加え、坊さん本人の凄まじい回復力(横島のそれとは比べ物にならないが)により、傷はすっかり完治していた。
「もう傷もすっかり良くなりましたね。」
「うむ。それに横島君のアパートの修理も進んでいるそうじゃないですか。」
「すまねぇ坊さん。修理代全額出してもらって・・・」
「いや、私の命を救ってくれたのだ。そのくらいして当たり前でしょう。」
とまぁおキヌちゃん、横島、坊さんの三人が、フレンドリーシップ溢れる会話を交わす屋根裏部屋。
「ところでお坊さんは、いつ頃旅にでるんですか?」
「そうですね。もう傷も治ったし、いつまでもあなた方にご迷惑をおかけするわけにもいきません。明日あたりには、ここを後にするつもりです。」
と、坊さんが言ったときだった。
「ちょ〜っと待ちなさいよ。」
フレンドリーシップな雰囲気に水差して登場したのは、無敵の名を欲しいままにする女、美神令子その人であった。
「おぉ、美神どのではないですか。私は明日、ここを後にします。本当にお世話に・・・」
坊さんの礼の言葉は、飛んできた一枚の紙によって遮られた。
「?これは?」
難なく受け止めた紙と美神の顔を交互に見つめ、頭の上にドでかいハテナマークを浮かべる坊さん。
「あんたねぇ・・・」
「?」
「ここのオーナーに謝礼も渡さないで消えるつもり・・・?」
ずるっ。
坊さんはこけた。と同時に、全てを理解した。
「な、成る程。これは医療費の請求書、というわけですな。」
必死で平静を装うが、これまで滞在費等を自ら請求してきたのはホテルの従業員くらいだったのでちょっと冷や汗。
おキヌちゃんと横島は苦笑いだ。
「どれどれお幾ら程かな・・・?」
坊さんは紙を開いた。

坊さんは石化した。

「どしたの?」
横島が横から覗き込む。

横島も石化した。

「ああっ!!二人とも、どーしちゃったんですか!?」
何となく紙を見たくないおキヌちゃんは大騒ぎだ。

ちなみに紙に書かれていた内容とは。

請求書

治療費 1500万円
宿泊費 100万(一日)×7=700万円
食費  50万(一日二食)×7=350万円
光熱費 600万円
その他 200万円

計 3350万円

・・・はっきり言おう。
サギである。
インチキである。
どこぞのボッタクリバーなんか裸足で逃げ出すくらい酷いボッタクリである。
大体『その他』って何だ『その他』って。
そんな至極当然の突っ込みも出来ない位固まっている坊さんに、美神が一言。
「あ、消費税はサービスしといたげたから。」

〜回想シーン終了〜

「・・・まさかあそこまで取られるとは・・・」
回想は終わったところで、坊さんはもう一発深ーいため息をついた。
「しかし助けてもらった身故、払わん訳にはいくまい・・・」
というわけで、坊さんは美神除霊事務所の庭にテントを張り、そこに寝泊りしながら医療費その他諸々を払っていくことにしたのだ。
払わずに逃げるのは彼の良心が咎めたし、横島の「夜逃げしても無駄だぞ。あの女は地獄の果てまででも追ってくる。」というアドバイスに、妙に説得力があったのだ。
「はぁ・・・」
とどめのため息をついたところで、事務所に到着。
「美神どの〜」
「あら。いらっしゃい。」
でかい机の上で書類の整理をしている美神の目の前に、本日の稼ぎである500万円を置いた。
「とりあえず、今日はこれだけだ。」
「あらー♪さすがは腕のいい霊能力者ね。けっこーいい稼ぎじゃなーい♪」
札束五束をホクホク気分で数える美神を見て、坊さんにの心に安らかな風が流れた。
(残り2850万円か。このペースでいけば、2ヶ月くらいで・・・)
しかし美神の一言が、そんな坊さんの気分を木っ端微塵に打ち砕いた。
「それじゃー5割は仲介料、4割は庭のレンタル代としてまわしとくわ。」
「はぁ!?」
「今回は50万。あと3300万、頑張ってね〜♪」
「・・・・・」
石化ついでに魂も半分抜けた坊さんを見下ろす空は、今日も青かった。

終わり


〜言い訳〜

美神さんは鬼。
それを伝えたかっただけです。
では。

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