魔女の過去 T
投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 4/13)
惨劇。
父の顔はひしゃげていてすでに原型を留めていない。
母は抵抗していたが胸を手で貫かれ―――やがて息絶えた。
少女は闇の中、震えていた。
なぜ自分たち家族ががこんな目に遭わなければならないのか。
昨日までは――平凡な一日であったはずだ。
「うふふ・・・たっぷりと可愛がってあげるからねぇ・・・」
目の前には妖艶な美女がいる。
彼女が殺したのだ―――父と母を。
「ふふふ・・・」
女は長い青い色をした爪を舌で舐めた。
――魔女だ。
少女は、そう思った。
こんなことを出来るのは魔女しかいない。
つい先日、図書館で中世の魔女について書かれている文献を見た。
いわく、魔女は人を人と思わず儀式の材料とする・・・
「いやっ!!」
逃げたい―――逃げ出したい・・・・・・
少女は体を動かそうとするが父や母の姿を見ると動かせない。
それが死体だと判っていても。
そして逃げなければ”死”が待っているとしても。
魔女はゆっくりと近づいてくる。
一歩一歩少女の反応を見るように。
少女を舐めるように見ている。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い・・・・・・・・・!!!
―――少女は震えた。
「ああ・・・いいわぁ・・・その反応・・・これだから・・・やめられないのよねぇ・・・」
イカレテイル・・・
つ―――
魔女はゆっくりとその青い爪で少女の頬を這った。
赤い血が―――流れ落ちる。
「さて・・・と。そろそろハジメマショウカ」
いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや!!!!!
魔女はナイフを取り出すと少女の手首を切った。
血が流れる。
それをさも美味しそうに魔女がすすり飲む。
「はぁ・・・やっぱり見込み通り”血”が美味しい・・・」
力が抜けていく・・・
血が抜けていくためだろうか。
「・・・そこまでよ!」
・・・だれ・・・?
少女はうつろな目で声の主を探した。
暗闇の中ではっきりとは見えないが女性のようである。
「”長老”からの指令であなたを逮捕します」
「私を逮捕する・・・って?それこそ馬鹿な話さね。
魔女は人を超える存在・・・かつて人間が魔法使いを恐れて魔女狩りをしたのがその証明さね」
「・・・これ以上話しても無駄のようですね・・・」
パチンと女性が指を鳴らすと魔女を取り囲むように人影が二つ現れる。
「拘束します」
女性は宣言するように言った。
「そうはいかないさね」
魔女はボール型のカプセルを地面にたたきつけた。
白煙が辺りを覆う。
――煙が晴れたとき魔女の姿は無かった。
「止血を」
「ハイ」
女性たちが少女に対して応急手当をしている。
幸いにして傷口は深くは無かったためか命に別状ない。
「・・・父と母は・・・?」
女性はかぶりを振った。
「そう・・・ですか・・・」
わかっていた事だ。
わかっていたこと・・・
「あなた・・・名前はなんて言うの?」
「・・・魔鈴めぐみ・・・」
少女は呟いた。
―――続く―――
今までの
コメント:
- 魔鈴の過去の話です。
Tは怖さが表現出来ているでしょうか。
初めてこの手の話を書くので心配・・・
これ以降はそう暗い話にならないと思うので安心してください。
・・・たぶんね。
本当にあった?怖い話。
「八年後○語」―――事もあろうにまだ、全然進んでいない・・・一ヶ月過ぎたのに・・・
「犯罪組織シロ○ニアU」―――続きは書けているのだけれどあまりにも面白くないのでやり直し決定。
・・・こんな状況でまた長編を書くか俺・・・ (NGK)
- 私が言うのもナンですが……ひょっとして、魔女にハマりましたか? まあ、今書きたいものを書くのが良い作品を出す一番の秘訣だと思いますので、連載の進行状況についてはあまりお気に病みませぬよう。私もリクを募って置きながらまだ次回作が書けてないしなぁ(焦)
ナンか、魔鈴さんの方を見慣れていると、こーゆーキャラを見ても、この少女のように「魔女だ」という印象が抱けないのですが……。取り敢えず、魔女かどうかは置いておいて、極度の緊張と恐怖は伝わってきます。 (斑駒)
- ↑×2 いえ、凄まじいまでの怖さが出ていましたよ。初めてということですが、私が日常的に書いてるダーク話より、約3・5倍は素晴らしいものです。
件の二作品については……私の、例のつい最近まで三ヶ月以上停滞していたシリーズよりは……(涙)
本当にあった怖い話。
こないだ始めてしまったシリーズ物……今考えてみると私に最後まで書ききれるんだろーか…… いや、無理……かもしれない(部分反語) (ロックンロール)
- 本当に怖いですね(泣←コワイ話が苦手な人:私)。けど冥子&おキヌちゃんと並んで大好きな魔鈴めぐみがメインっぽいので、このあとが楽しみです(笑)。この少女が、いかなる経緯で現在の自信に満ち溢れた魔女になったのか、気になりますね。 (kitchensink)
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