ザ・グレート・展開予測ショー

彷徨う二つの心(4、心もよう)


投稿者名:マサ
投稿日時:(02/ 4/10)

横島とおキヌが入院して一週間が過ぎ、二人は退院した。

美神に連れられて二人は事務所に入る。
「ただいま…だよね?」
「そう…ですよね?」
違和感を感じる二人。
「そうよ。…しっかし、あんたたちが居ない間に書類仕事やる暇無くてたまっちゃって大変なのよねーー」
美神はため息をつく。
「じゃあ、僕が手伝いますよ」
「え!?ちょっと!」
横島の行動に美神は焦る。
それはそうだろう。自慢ではないが、自分は今までにかなりの裏工作をしてきている。
「出きるんですか?」
「わかんないけど、なんとなく自信だけは有るよ」
おキヌの質問に軽く答えて事務机の後ろにある本棚から必要な資料を引っ張り出し、彼は目の前の書類を超高速で片付けていく。
「…そういえば、前に仕事で大成功していた気が…」
「横島さんすご――い!」
「横島にこんな才能があったとは…」
「流石、先生でござる!」
全員が感嘆の言葉をもらす中、横島は十分ほどで作業を終わらせた。(人間業じゃない)
「これで全部ですよね?」
「え!?そうだけど?」
「良かったですね。早く終わって」
その時の横島の見せた表情は落ち着いた軟らかな笑顔だった。

  ドキッ

それを見た四人(タマモまで)はぼ―――っと彼を見て顔を赤くする。
「どうしたんですか?」
「あっ!?な、何でも無いわよ。えっと、もうそろそろ仕事に行く時間ね。全員準備して!」
気を取りなおして美神が言う。
「僕は何を準備すれば良いんですか?」
「あんたは荷物を持って!(リュックを指差す)それから、おキヌちゃんは部屋に巫女服が在るからそれに着替えて!」
「「はい!」」

少しして、全員が車に乗りこむ。
「私、この服着慣れてるんですけど…?」
「何たって一番長く着ているからね(汗)」
どーも間の抜けた会話である。

数分後、一行は古い大型倉庫が立ち並ぶ港の一画へとやってきた。
「ここよ。設計上のミスで悪霊が寄ってきて取り壊しができないそうよ」
それは中でも特にボロいものだった。
「横島クン、いい?手に気を集中させるのよ!そうすれば霊能力が使えるはずだから」
「分かりました!≪ただの荷物持ちじゃなかったのか≫」
美神たちは倉庫の中へと入っていった。
『GSか…。殺せ―――!生かすでないぞ―――!!』
低い声と共に霊団が襲ってきた。
「くっ、集中しろ…!!」
その時、一体の悪霊がおキヌに向かってきた。
『ガ、ガァァァ―――ッ』
「きゃ―――っ!!」
「やめろ――っ!!俺の“恋人”に触るな―――!!」

  ボコォォォ―――ッ

おキヌに迫った悪霊を横島がハンズ・オブ・グローリーで殴り飛ばす。
ま、それと同時に横島の台詞に『ピクッ』とか反応した人物が居るのはいうまでも無いが…。
「大丈夫だった?…なんか、鬼の手みたいだな。これ」
「横島さん…かっこいい…(顔を赤くする)」
「安心しろ。おキヌちゃんには指一本触らせないから。…さあ、いくぞ!!」
横島が気合を入れた瞬間、彼の霊圧が急激に上昇する。
『集まれ…!!』
危険を感じたのか、悪霊たちが一箇所に集まり集合霊となる。
「どうやら、親玉が居るようね。横…!!?」
美神は横島の霊圧の凄まじさを見て声が出ない。
横島はハンズ・オブ・グローリーを敵に向けた。
「集まってくれた方が倒しやすい…!巨大化しろ―――!!」
通常の霊力なら不可能と思えるほどの巨大な光の手の平が敵を包み込み、握り潰した。
「…凄い!あの数を一瞬で…!!」
美神は呆然とする。
「横島さん…!!」
おキヌは横島に抱きつく。
「え!?ど、どうしたのおキヌちゃん!?俺、今まで何を……」
どうやらさっきの影響で記憶が戻ったらしい。
「記憶が…戻ったんですね?…良かった。あの…今の内に言っておきたいんですけど、…今の私はあなたが好きなんです。横島さんは私のこと、好き…ですか?大切ですか?」
目に涙を溜めておキヌが言う。
「俺が…好き…?!」
横島であろうとも、この場合の“好き”の意味の重さには気付く。
あまりの事に戸惑う。
少し考えてから横島は答えた。
「実の所さ、俺にはまだ分からないんだ。本当にそう言う意味での“好き”っいうのが。だけど、おキヌちゃんは俺の一番大切な存在だと思うよ。だって、俺はおキヌちゃんに幸せでいて欲しいから。俺はおキヌちゃんの笑顔が好きだから。何時も励ましてくれたから。そんなおキヌちゃんにずっと傍に居て欲しいと思うから…。…ごめん。これじゃあ、ただの自分勝手だよな。ははっははははははっ(苦笑)」
今の彼に言える精一杯の言葉だ。
「…そうですか。後は私の頑張り次第ってことですね…。なんか記憶無い私って凄い事してますね」
「ちょっと、おキヌちゃん記憶戻ったの?(青筋っ)」
「え!?じゃあ、さっきのは?」
「えっと…その…それは…本当…です…////」
「そっか、なんか良かった」
おキヌの声はだんだん小さくなるが横島には聞こえたらしい。
「でも、…今まで気付いて無かったなんて…鈍感過ぎますよ」
「本当にごめん」
二人の表情は一つ成長したような穏やかな笑顔であった。

そして、美神に向かって…
「「ただいま!」」

美神も微笑み返す。

「で、あんたたちが『恋人だ』って言ったのって…まさか!?(怒)」
急に美神の目付きが変わる。
「…西条です。あっ、そう言えば他にも俺とおキヌちゃんが一緒のベッドで寝ていたとか…くっそ――っ!そんな事しとったらとうの昔に俺は死んどるぞこら―――!!」
「…(ぶちっ…プッツン)…(ゴゴゴゴ…)」
『やりますか、美神さん?』
『もち!!』
「あのー、二人ともー…」
止めようとするおキヌの肩にタマモが手を置いて首を横に振る。
「もう止められないわ。冥福を祈りましょ」
「そうでござるよ。それよりも、その間に拙者たち3人で話がしたいのでござるが…」
シロとタマモから異様な圧力が放出される。
「あうあう…(汗)」


その後、オカルトGメン日本支部では血まみれの西条が、事務所では圧力に負けて目を回しているおキヌが発見されたのは言うまでも無い。




――いかがでしょうか。私としましては色々と苦労して入れたので是非とも楽しんでいただきたいのですが。
ま、長すぎますよね。

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