ザ・グレート・展開予測ショー

嗚呼素晴らしき除霊野郎 〜ある坊主のGS日記〜 その四


投稿者名:プロミス
投稿日時:(02/ 4/ 9)

「まず、礼を言わなければいけませんな。」
坊さんは、自分を囲んで座っている連中に、深々と頭を下げた。
「死にかけていた所を助けて頂き、真に有難うございます。見ず知らずの方に迷惑をお掛けして、大変申し訳ない。」
「ったく本当よ。なーんで私が赤の他人の面倒見なきゃ・・・」
「まぁまぁ美神さん・・・」
「迷惑だなんて全然・・・」
「大丈夫でござるか・・・」
「・・・・・」
わいわいがやがや。
それぞれ好き勝手な事を喋り始める。
「大体横島ぁ!!あんたが面倒起こさなきゃァこんな厄介ごと背負い込まずに済んだのよ!!その辺、わかってんの!?」
「堪忍やー!!ただの事故なんやー!!」
「言い訳すなーーー!!!!」
横島と呼ばれた少年を、フルパワーの神通棍で容赦なくしばき倒す美神。そのあまりに凄惨な光景に耐えかねて、坊さんが思わず声を上げた。(ちなみに他の三人は、怖くて止められないらしい)
「お、おい・・・!」
「何よ!!部外者の分際で意見するつもり!?大体あんた、ただでさえ私に散々迷惑かけてんだから、おとなしくしてようとかそーゆーこと考えないわけ!?部外者なら部外者らしく、引っ込んでなさいよ!!」
鬼のような形相と共に飛んできた美神のマシンガントークに一瞬びびる坊さん。が、ここで引くのは納得いかない。
「そ、そういう問題ではないでしょう!第一その少年は、私と一緒に爆発に巻き込まれているのです!!そんなことをしたら、傷に響いて・・・」
「いいのよ!!こいつの生命力は妖怪並みだから!!」
「はぁ!?」
「それに、あんたの巻き込まれたっていう事故は、こいつが原因なのよ!!それに制裁を加えて、何が悪いっていうの!!」
「な、何!?それはどういうことだ!?」
驚きのあまり、坊さんは傷の痛みも忘れて美神に詰め寄った。
「・・・ふぅ。横島クン、説明しなさい!!」
「ひゃい・・・」

「あの時、俺は文珠を造っていたんす。」
「ちょっと待て!!文珠だと!?」
一言目から驚く坊さん。
「?そうだけど、それが?」
「いや待ってくれ。文珠と言えば、この世の不可を消し去る神の珠!!なぜ君が・・・」
坊さんが驚くのも無理はない。彼が文珠というものを知ったのは、とある寺院の書物に記してあったのを見た時である。そこには、『文珠は世の道理に捕らわれず、己の意志を表す神秘の結晶。神のみが造り出すもの。』とだけしか記されていなかったのだ。
もちろん、現物を見たことなど皆無。文珠は人には造れないと認識してきた坊さんにとって、横島の発言は信じられないものだったのだ。
「んなこと言われてもねぇ。修行したら出せるようになってたんだし・・・」
「・・・・・」
唖然呆然開いたお口が閉まりません状態の坊さん。ひょっとしたら、ショックで魂が半分抜けてるかもしてない。
「んで、その時は文珠自体のパワーアップに挑戦してたんすよ。」
固まっている坊さんを無視して話を進める横島。ちょっとは気にしろよ。
「ためしに2倍の力の文珠を造っていたんだけど、これが全っ然上手くいかなくて・・・」
そこまで話すと、目をつむり、しみじみとした表情になる。
「んで、霊力が固まらなくて騒いでた所にあんたが入ってきて、あとは知っての通り・・・」
「そ、そうだったのか・・・」
いつの間にか魂戻ってきた坊さん、納得した表情で相槌をうつ。
「それで、ずたぼろになった横島クンがあんたをひきずってここに来て、現在に至るってこと。分かった?」
「分かりました。」
ようやく全てのことが明らかになった。めでたしめでたし。
・・・でもなさそうである。

「ところであんた。」
話が一段落したところで、美神が横島に話し掛けた。
「なんすか?美神さん。」
「あんたが吹っ飛ばしたアパート、どうやって弁償するの?」
そう言った瞬間、横島の顔がマッツァオになった。
「AAAAAAAAAAAAAH!!!!!!そうだった!!!!すっかり忘れてたあああああああああ!!!!!!!!!!!!」
忘れるか?普通。
「爆発の時に力の方向をかえたから、アパート全体の損傷は全然大したことないんですけど・・・」
「あんたの部屋だけ綺麗に吹き飛んだ、って訳ね。」
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAH!!!!!」
アメコミ風に雄叫びをあげる横島。
「言っとくけど、私は一銭も出さないからね。」
「しょんなあああああ。美神ざぁ〜〜〜ん」
「やかましい!!自分でやったことでしょ!!自分で責任取りなさいよ!!」
取り付く島もない横島に、他の島から助けが来る。
「そんなに泣かないで横島さん。お金の方はどうしようもないけど、出来るだけ私たちもお手伝いしますから。」
「ううっ。ありがとうおキヌちゃん。」
「拙者もなんでもするでござる!!先生のためなら、骨肉粉砕の覚悟でござるよ!!」
「ありがとうシロ。おまえみたいないい弟子を持って、俺は幸せじゃあ。」
「御飯くらいなら、分けてあげてもいいわよ。」
「タマモまで・・・みんな、みんな大好きだぁあぁあぁあぁあ!!おろろ〜ん」
人の優しさに触れ、涙鼻水大放出の横島。『LOVE&PEACE』のTシャツに着替えて、感謝の心を剥き出しにする。
「え!?やだ、そんな大好きなんて・・・(真っ赤)」
「い、いきなり何を言うでござるか先生!!拙者まだ気持ちの整理が・・・(真っ赤)」
「・・・・おキヌちゃ〜ん。シロ〜。その『大好き』はあんた達が思ってるのとは違うと思うよ〜。」
タマモの突っ込みも何のその、突然ギターを持ち出して、友達の歌を歌い始める横島とその他二名。と、その横島に、封筒が投げ渡された。
「ん?なんぢゃこら?」
キャッチした封筒を、がさりんこがさりんこと開ける。
「こ、これは!!!!!」
封筒から滑り落ち、横島とその他数名を驚かせたもの、それは。

100万円の札束×2。

「・・・・・・な・・・・・な・・・・・」
突然の出来事に、思考回路がショートした横島。
「それを使ってくれ。」
耳に飛び込んできた声の方に顔を向ける。そこには、ベッドで上半身を起こしている坊さんがいた。
「横島君と言ったね。その金をアパートの修理代に回せば、何とかなるだろう。足りない分は、君が出すんだ。あ、ちなみにそれは綺麗な金だから、安心するように。」
「え・・・でも・・・あう・・・」
「気にすることはない。私は流浪の身、使わん金を持っていても仕方がない。」
「・・・・・」
「それに、本当に困っている人に手を差し伸べるのは御仏の信者として当然の勤めだ。遠慮はいらん。使ってくれ。」
とてつもなく素晴らしいことを平然と言ってのける坊さん。背中に後光がさしちゃってたりする。
「ありがとう・・・ありがとう・・・!!」
「良かったですね、横島さん!!」
「良かったでござるなぁ、先生!!」
「・・・坊さん、あんた、いろんな意味で凄いわ・・・」
その日、屋根裏部屋でひとつの奇跡が起きた。





「あの坊主・・・使えるわ・・・(にやり)」





・・・美神さん、なにをなさるおつもりで・・・(汗)。

続く


〜言い訳〜

疲れた・・・。
次回、美神が大暴れ!!(すると思う、多分)
では!!

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