「カクタス・フラワー」(その3)
投稿者名:いーびる・あい
投稿日時:(98/10/26)
「うちに、養子に来ないか?」
予想外の言葉に奈々は一瞬(聞き違い?)と思った
「養子?」と聞き返す
「そうだ」と横島
奈々の脳裏に、ピート義兄、唐巣神父、葉子・蛍子姉の顔がフラッシュ・バック
神父の「憂いを帯びた表情」はこの事だったのだろうか...?
それと同時に、二人の姉は以前から知っていたのだろうか?
(自分だけカヤの外?)そう考えると猛烈に腹が立ったが、
思い返してみると、以前横島夫妻が訪れたとき、神父が
「横島夫妻のこと、好きか?」と尋ねた時があった...
あの時は深い意味があるとは思わず、「うん、大好き!」と答えたっけ...
ただ、神父や夫妻を喜ばせたかっただけかもしれなかったのに
時間にすればほんの十数秒だっただろうか
二人の姉は乗り気のようだし、自分としても横島夫妻は嫌いではない
だが、口を衝いて出た言葉は...
「なぜ?...なぜ今ごろになって『引き取る』というの...??」
「そっ、それは...」
「父親がいないという同情心から?
それとも、別の理由でもあるの?!」
『父親』という言葉に、横島の顔色が変わったのを見て取った
奈々は以前から感じていた疑問を聞かずにはいられなかった
「私の父さんの事で何か知ってて、隠しているのね?!」
短い沈黙
だが、代わりに答えたのは令子だった
「...あなたの父を死なせたのは私達よ...」
*****************************
思いもよらぬ「事実」
...だが、そうだとすれば辻褄の合うことがら...
(自分たちの学資は、横島夫妻から送られていること神父は隠していたが、
ピート義兄が以前、もののハズミでポロッと喋った事があった)
『僕や横島さんが以前通った高校へいくのも良いけど
進路の事や、才能からすれば「六道女学院」の方が良いかな』
『どうして?』
『公立校よりも、私立校の方が独自のカリキュラムを立て易いし、
G・Sの道を歩むのなら、その方が良いと令子さんも言ってたし...』
『G・Sかぁ...私にそんな能力(チカラ)あるのかなぁー?
...令子さんがそう言ってたの?なんで...?』
『チカラはあると思うよ、あっ、頼まれていた用事を思い出した、じゃっ!!』
なんとなく誤魔化されたような気がしたが...
葉子姉さんにしても
『あの人がお金を出すという事は見込みがあるという証拠だよ』としか
話してくれなかった
**********(回想シーン終わり)***********
「...罪滅ぼしのつもりかい...
同情の方が、まだマシだったよっ!!」
涙があふれてきた...自分から尋ねた結果だが、それを認めたくなかった
涙を見られたくなくて、席を立って店の外へとびだした
後を追おうと、腰を浮かせた横島だったが、
それを制して令子が言った
「私が行って話をしてくるわ、あなたはここで待っていて...」
奈々は店をとびだしたあと、泣きながら走っていた
「馬鹿馬鹿馬鹿......!!」
誰に対してなのか、どうでもよかった
何処へ向かっているのか...神父のとこ?
ふと、立ち止まったとき、ビルの間から「東京タワー」が見えた
昼間とは違い、照明をともした「それ」......
「彼女」は夜の外出はしなかったため
まじかに「夜のそれ」を見るのは「初めて」のはずだった...
しかし、「記憶」のどこかで...
2.3分経ってだろうか
令子が奈々を見つけ、駆け寄ってきた
「...奈々ちゃん?戻りましょう」
夜景を眺めていたと思われた奈々は、振り向かず、背中を向けたまま言った
「美神...令子...いや...メフィスト?」
「...!!」絶句する令子
「...あなた...記憶が...?!」
*****************************
(続く)
今までの 賛成:3 反対:0
コメント:
- だいたい、あと二回くらいでまとめようと思います
それまでに本編で「美神・母」のことに触れられたら原稿書き直しになるかも...
「母の言葉」が、キーとなるつもりなので...(元の時代に戻るときの)
(いーびる・あい)
- 前話をすっかり忘れていたので再度最初から読み直してしまいましたが、
分かる人には解るし、分からない人には知りたいところを巧みに隠した
どちらにも美味しいお噺ですよね。
事件がどう続くのか楽しみです。
(Chon)
- 面白いんですが(賛成に入れた。)、奈々は幸せになれるんですよね?僕の心配は
その一点につきます。
(メカ音痴)
- ふっ、雰囲気が重たい(笑)!それはそれとして、実際重たいテーマに挑まれた勇気に敬服します。どのようにまとめるか、期待しています。
(ホーエンハイム)
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