ザ・グレート・展開予測ショー

ライアー・ライアー!!3(ver.B)


投稿者名:sai
投稿日時:(02/ 4/ 7)

「え―――っ!!小竜姫が『真』の文殊を飲んじゃったのね――――――!!!」


ヒャクメが叫び、全ての目が二人へと注がれる。

「ほ、ほほほほほ・・・・・!!」
小竜姫は引きつった笑いを浮かべてごまかしながら、酔った頭で思考を巡らす。
(落ち着け・・・!落ち着くのよ小竜姫!まだ誰もその効果に気づいていないんだから!)

「しょ、小竜姫さま・・・?」
「え、ええそーなんですっ!でもっ、別にどこか体がおかしくなるとかそーゆーのは
 なかったようですからっ!御心配は無用です!さーさー花見を続けましょう!?」
一同を代表して唐巣が心配そうに声をかけるが、ホラホラ元気っ!というゼスチャーを
しながら質問を避ける為一気にまくし立てた。

「・・・・・・ま、神様がそー言ってるんだから大丈夫なんでしょ。じゃ、小竜姫さま、
 ついでにっちゃアレだけどいいお酒がはいってるから飲みません?」
「あ、美神さん、私お酒はもう・・・」
騒ぎを聞きつけ、美神が『純米大吟醸 腰乃乾杯』と銘うたれた一升瓶を持って
やってきたが、これ以上ボロを出すわけには行かない。
やんわり断ろうとしたとき、二人の間に疾風の如く間に入ってきた者がいた。
ビュンッ!!
「小竜姫さまっ!お酌致しますっ!!」
「え!?あっ、はい!喜んで!」
(はっ!?)
反射的に御猪口を差し出してしまう小竜姫。ぴくっと反応し、
反射的に黄金の右を繰り出してしまう美神。
バキッ!!
「神様酔わしてどーするつもりっ!?」
「うう・・・まだ何も言ってないのに・・・!?」

結局なんだかんだで飲み始めてしまい、宴が再開される。
(何とかしのげたかしら・・・・・・!なるべく無難な話題を選んで・・・っと)
針のムシロに座る思いの小竜姫。
「あ、そうそう美神さん、その後の魔界の動向ですけども・・・」

「にしてもあの文殊、ホントに何の効果もなかったんすかねー、美神さん?」
(ああっまたしてもいきなり核心!?)
おもわず御猪口を取り落としそうになる。

「そーねー。漢字一文字って結構意味が漠然としちゃうところがあるからね。
 そういうこともあるんじゃない?」
さかずきに口をつけながら美神が答える。
「・・・でも、ホントの事しかいえなくなっちゃったりしたら面白いわねー!!」
 「「「あははははははは!!」」」
(すっ鋭い・・・!!)
泣きたい思いをこらえて一緒に笑う。しかし神は余りにも小竜姫に無情であった。
・・・・・・正確には酔っ払った神が、と言うべきか。







「あらー、美神さんたらいいカンしてるのねー!・・・ひっく!!」





「・・・・・・・・・ヒャクメ・・・・・・?」


「え、え?どーゆー事、ヒャクメ!?」
何のことか分からずに聞き返す美神。横島たちもポカンとしている。



「・・・・ひっく!文殊のせいで小竜姫は今ウソがつけなくなってるって事なのねー!
 ねー小竜姫!」
酒臭い息で小竜姫の顔を覗き込む。
「ちょっとヒャクメっ!?」
慌ててヒャクメの口を封じようとするが、酔っているくせに妙にうまくかわす。
「さっきからこの子ってばすっごく面白いのねー!!知られたらどうしようって
 ずーっとそればっか・・・むぐっ!?」
ようやくヒャクメの口を抑えるが時既に遅し。


再び皆の視線が小竜姫に集まる。


「マジなの・・・!?小竜姫さま・・・!」
美神が問う。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
ピシッ!!
消え入りそうな声で小竜姫が肯定すると、春のうららかな陽気だと言うのに
ここはアフガンかというほどの緊張が場に走る。


(最悪の事態だけは避けなくてはいけないわ・・・!!)
彼女にとっての最悪の事態とは、出張禁止又は禁断の質問に答えてしまう事を指す。


(ここでうまいこと小竜姫の弱みを握れれば、神界のアイテムが使い放題・・・!!)
美神は美神で野望をたくましくしていた。


(神様って、ウソつかないんだから関係ないんじゃないのかな・・・?)
おキヌはあくまで天然、もとい純真であった。


(スリーサイズだっ!まずはスリーサイズを聞くしかない!!そんでもって次は
 今日の下着の色を・・・!)
横島は・・・相変わらずだった。




「小竜姫様ッ!小竜姫様のスリーサイ・・・ぶっ!?」
どごんっっっっ!!・・・ピシッ
「あんたホントーに神をも恐れないわねっ!!」
今日の美神のツッコミは空いた一升瓶なのでちょっぴりキツイ。
しかもビンにひびが入るほどだったので、もうちょっぴりキツイかも知れない。
あえなく横島撃沈。
代わって美神の交渉が始まる。
「まー小竜姫さま、バカはほっといて飲みましょ!神界のアイテム
 なんだけどさー、あれどーやって作ってるわけ?」
「ああ、篭手とかですね。基本的には霊力の高い物質に神族の強力な念を込めて
 作りますが・・・」
「ふーん。ところでさー、あの道場改築するのに60億くらいかかったのよねー?
 ここ一連のゴタゴタもウチとしてだいぶ出費がかさんじゃって、で、モノは相談
 なんだけどさあ、横島クンに前作ってくれたバンダナみたいなやつ?あーゆーの
 もらえないかしら?」
意外に美神、正攻法だ。
「残念ですけど、悪用防止の為神界のアイテムって基本的に人間にあげちゃいけない
決まりになってるんです。功労者に贈与するにも神界内の申請手続きが厳しいんです」
(ほっ・・・なんとかうまく話がそれそうね)

(やっぱ素直にもらうのは難しいわね。ここはやっぱ上司のハヌマンの愚痴でも
 ばんばん出させてそれをネタに・・・!・・・・・・・・・・・・・・あれ?そういえば・・・)
美神がふと気づいた疑問を先に口に出したのはおキヌのほうだった。


「え、じゃあ横島さんにあげたのは神界の手続きを通って・・・?」

(しまった!!)
血の気が引いていく小竜姫。スローモーションで坂を転げていく自分が脳裏に浮かぶ。

「い・・・いえ、あれは特別に無許可で・・・」
ぴきっ。
美神のこめかみに静脈が見えはじめ、その座った目つきは神さえも恐れさせる。

「・・・横島クンにはあげるけど、さんざん尽くしてやった私には
 くれないってことね・・・!?」
「ああっごめんなさいっ!だってだって、美神さん神界の取引禁止リストに
 載ってるんですもの!」
(わ、私ってそこまで神界にもマークされてたのね・・・)
ちょっと切ない。死んだら天国は受け入れてくれるのだろうか?

「それより小竜姫さまっ、なんで横島さんにはその、あげたんですか?」
おキヌの目つきがほんのわずか挑戦的になる。

「そ、それはそのっ、横島さんには見どころがあったからです!才能ある人間の
 能力を引き出してあげるのも私の役目ですからっ!!」
(ウソはついてない!ウソはついてないわっ!)
かあっと頬が熱くなるのを感じながらも言い切った。



「そーそー、その頃の小竜姫ったら面白かったのよねー!」
ひょいっと酔っ払いが復活した。当然目つきは座っている。
「ヒャクメっ!」

「あのあと私に、『老師や大竜姫姉さまには黙ってて』ってそれはもーしつこかった
 のねー!しかも、横島さんのおでこにはキスしちゃうしー!」

「「「なっ!?」」」
その場の全員が動揺する。どこで聞いていたのか、愛子に小鳩、シロまでがやって来る。
幸い(?)横島は沈没中だ。

「お、おでこにっ・・・て、ああしないと竜気が与えられないんじゃ・・・!?」
「い、いえ、手を添えるくらいでも竜気は与えられます・・・!でもっ、
 ああした方がその、吹き込みやすいんですっ!それは本当です!」


その雰囲気になんとなく察しつつある、人事でない少女たちの思いが交錯する。
(拙者だってヒーリングの為に顔を舐めたことがござるもんっ!)
(ああっ、やっぱり横島さんって人外に好かれやすいのね・・・!)
(神様までライバルなのかしら・・・でも、私は負けません。貧ちゃんだってついてるもの!)
(競争率高いのも青春よねー・・・はあ)


「それにそーそー、横島さんと雪之丞さんが来たときの小竜姫のよろこ・・・ごぶっ!?」
「ヒャクメッ!お酒が足りないようね!」

(まずヒャクメを黙らせないとシャレにならないわ!!)
ヒャクメの口に『腰乃乾杯』一升瓶を突き刺し、逆さに立てる。同僚にあまりといえば
あまりな仕打ちだが、そこまで小竜姫は追い詰められていた。

「むっ!むぐっ!?ぐびっ!」
みるみるうちにビンの水位が下がっていき、カラになる。
(これで潰したかしら・・・!?)

「・・・ぷはっ!やったわねー!えいっ♪」
「むっむぐ!?(全然効いてないっ!?)」
ヒャクメが同じように小竜姫の口に別の一升瓶を突き立て逆襲する。
小竜姫が手足をばたつかせながら、そのビンもだんだん水位を下げてゆく。

あっけにとられている美神達。
ふと振り向いたヒャクメと目が合い、ぎくっとする。

「あーっ!みんな飲んでないのねー!これが終わったら飲ませてあげるのねー!」
『これ』とは一升瓶まるまるを小竜姫が一気することらしい。

「あ、いえ私達は未成年・・・!!」
「神様がいいってゆーんだからいいのね――!そーれいっ♪」
「「「「「キャ――ッ!!??」」」」」






宴は、まだ、終わらない・・・・・・・・・・・・・

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