ザ・グレート・展開予測ショー

交差。そのさん


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 4/ 5)

「へ」
―ぽかんとアホのように口を開けて藤吉郎。
(いま、このひとは何を言った?)
目の前のひとは、―自分に対して時間移動能力者かといった。
しかもおまえ『も』といったのだ。
と、いうことは他にもいるのか?
もしかしたら殿やらおつきの人やら、ヒカゲやらじゃ…。
そこまで考えて藤吉朗はがばっと立ち上がり、詰め寄った。
「て。ちょっとまってくださいっ『も』ってほかにも俺以外にもいるんですか?」
正確には自分はそんなけったいな能力はもってないがそれは後回しである。
その言葉に少年は―おもいっきしきっぱしと
「の、せいで俺が―いや俺たちがここにいるんだよ」
とのたまわった。


横島は目の前でなにやらショックを受けているひとを見ていた。
顔面そーはくだわ手はかすかに震えている。
だが、なんとか正気―いや頭を働かそうとしているらしく、ぶんぶんと左右に頭を振っている。
(つーかこれが『トキヨミ』なあ?)
どこからどうみてもふつーである。
まあ、普通というにはすこしばかり違うが、特に、力を感じるとか、そんなものは感じない。
「―すいません」
とその少年の力ない声がいう。
「ん?」
なんだ?と横島。
この様子だと、不慮の事故かなんかでこっちの時代に『落ちて』きたんだろうなーと思いつつ答える。
「いや、その、俺以外にもいるひとって―どんなひとなんですか?」
ひどく疲れたようにだが、どこか希望を見出すような言いようである。
だが、そんなことを言われてもと横島は思う。
何しろその人物はトップシークレットやらで、あった事があるのは美神と隊長くらいなのだ。
「知らん。つーか居る事は知ってるけど、あった事ねえからなあ」
「……そうですか」
しょぼんとうなだれ、少年。
―なにやら、この少年はきっと心細いのだろーなあと思ってしまった。
気がついたらまったく知らない世界に、しかもなんの前準備もなくほうりだされるのだ
その上帰り方もわからない―こんなんでふつーにしておける人間はそうはいない。
知らない時代や、世界に飛ばされる恐怖は自分もしっている
(つーか俺何回飛んだよ…)
げんなりと額を抑え横島。
こーなると同病相哀れむというか、妙な親近感というかそんなよーなものが沸いてきてしまう。
はあっと横島はため息をついた。
自分の人の良さに呆れているのか、自分の運の無さに呆れているのかはわからない。
「とりあえず、ここに居ても仕方ないだろーし来るか?」
―もちろんこの問いにこの少年がどう答えるかなんぞ聞くまでもないが。

つづく

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