嗚呼素晴らしき除霊野郎 〜ある坊主のGS日記〜 その弐
投稿者名:プロミス
投稿日時:(02/ 4/ 4)
「この部屋か・・・」
坊さんは、霊気の発生源と思われる部屋の前にいた。
「しかしなんという霊気だ。並の雑霊なら、近寄っただけで消えてしまうぞ。」
そう言うと、じゃらりと音をたてて数珠を構える。
「・・・何なのだ、一体・・・」
ごくり。
唾を飲み込む。鳴った喉の音が、やけに大きく聞こえた。
「・・・いざ!!」
己を奮い立たせる様に叫ぶと、ドアノブに手をかけ、一気に踏み込もうとする。
が。
「な・・・に・・・!?」
坊さんは、自分の身体に起こったことを信じられなかった。
「・・・な・・・」
動かない。いや、動けない。身体が、魂が、この霊気の正体に近づくことを拒んでいる。
(バカな、そんな!!)
声を出そうにも、口を動かせない。全身にかいた汗を拭うことすら出来ない。
(怯えている!?私が、私の魂が!?)
坊さんがドアの前で固まっているその間にも、部屋の中から流れ出てくる霊気は、益々強くなっている。
(このままでは、私自身の身すら・・・!!)
そこまで考えて、坊さんは自分の愚かさを感じた。
(な、何を考えているのだ私は!!悪を倒し、人を救うのがGSの義務ではないか!!己の命欲しさに逃げ出すなど、恥さらし以外の何者でもない!!)
GS免許を取った時、奈良の大仏様の前で誓った記憶。それが今、鮮明の思い出されてきた。
(私がやらずに、誰がやる!!)
じゃらり、と、再び数珠を構える。ノブにかけた手に、力を込め直す。
(行くぞ!!)
がばぁっ!!
「うおおおおおおおお!!生きとし生ける者に仇名す悪霊どもめ!!この私が、御仏に代わって成敗してくれ・・・て、あれ?」
ドアを押し破って部屋に飛び込んだ坊さん。しかし中は、坊さんが想像していたものとは全く違っていた。
六畳一間の畳敷きの部屋にいたもの。それは。
悪霊でもなく。
魑魅魍魎でもなく。
年の瀬17歳程の、一人の少年であった。
たしかに霊波はその少年から発せられているのだが、冷静になってみると、悪霊特有の邪気や負の感情といった類のものが、全然感じられない。
飛び込んだまんまのポーズで再び固まった坊さんに、少年が一言。
「あんた、誰?」
その一言で、坊さんは我に返った。
「何なの?宗教の勧誘ならお断りだよ。」
「い、いや。私は、この部屋から異常な霊気は発せられるのを感じて」
坊さんがそこまで言った時だった。
プッシューーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「?何だ?この変な音は?」
坊さんが首を傾げる。と、少年が真っ青になった。
「や、ヤヴァイ!!」
「何?」
振り向くと、少年の握られた手から、霊気のカスが吹き出している。
「ヤヴァイ!!おっさん、早く逃げろ!!」
「そ、それは一体・・・」
「いーから早く!!早くしないとってわっわっわっわっわっ」
部屋がカスで満たされた次の瞬間。
ちゅっどぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおん!!!!!!!!!
「どわぁーーーーーーーーーーーー!!!!!」
大爆発が起き、坊さんの意識は暗転した。
続く
〜言い訳〜
はいどーも!!また湧いて出て来たプロミスっす!!
しょーこりもなく、まーた変なもんを書いてしまいました。ごめんなさい。
今回でてきた少年・・・誰だかわかりますよね?(汗)
ではまた!
PS:少年の正体が分かんない人用のヒント。
@バンダナ。
A貧乏。
B握られた手の隙間から、霊気のカス。(=出来損ないの文殊)
=文殊使い。
C煩悩。
今までの
コメント:
- やはりあの人でしたか(笑)。それにしても文珠を作ってる最中というだけで、霊能力者のお坊さんをビビらせるほどの霊波を発するとは、さすがですね。 (kitchensink)
- ・・・・・。死んだか?? (トンプソン)
- 出たな。必殺、もんじゅ事故(挨拶)
「奈良の大仏に誓った」という小ネタがかなり光ってます。「宗教の勧誘お断り」もイイですね……って、私はこーゆー細かいところにしか目が行かないのだろうか……。 (斑駒@木を見て森を測る)
- 出て来た少年?
B番以外の条件は俺にピッタリなんだけど…… (魚高@大丈夫です、確信犯だから)
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