ザ・グレート・展開予測ショー

交差。そのいち


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 4/ 2)

空は蒼。
寒くも無く熱くも無い―どちらかというと暖かい。
時折吹き抜ける風がひどく心地よい。
視界には、色とりどりの華が―菜の花、たんぽぽ、桔梗、桜等が咲き―瞳にも楽しい。
なのに、である。
なのになぜ?
涙がでそーになるのを思わず堪えぐっと拳を握り―藤吉郎は叫んだ。
「ここはどこだあああああああっ」
と。
事の発端は数時間前である。
―藤吉朗は、モンゴルにいた。
元々藤吉郎は、モンゴルで生まれて育ったわけではない。
ただ、ある事件でもといた世界から、ココ―モンゴルに来ただけである。
もちろん、ずっとここに住むつもりなどなく元いた世界に返ろうとした
―自分が生きる場所は此処ではない―いや、場所のことではなく―自分の生きる場所は、いるところ―誰よりも、忠義を尽くす―命をかけるべきひとのいるところだと決めていたのだから。
生まれて初めて決めた主君。
―そのひとの居ないところで生きるつもりなど無い。
そして、傍でいきるひとも、言ってくれた。
そう、あるべきだと。
―不可思議な光をその瞳に浮かべ、笑い。
―尽くそうと。
還ろうと―いってくれた。
その場所ではなく、その人のいる『処』へ。
身も凍るような寒さも、言葉も違う人々との諍いも、激しい慕情も、―全て耐えて。
ただひとりの人に会うために―
そして共に闘うために。
だが、数年、数年のあとにたどりついたその場所は、既に、全てが終わったあとで―
もう自分のやることなど残っていなかった。
そして、そのひとは言った。ここでやるべきことは、終わったと。
また、新しく作るのだと。
―その手伝いをしろ―いや、おまえが作れと。
嬉しかった、嬉しくて、こころが震えた。
このひとの傍で共に戦える場所が―自分の生きる場所。
―なのに、なのにである。
「ここは、間違ってもモンゴルじゃないよな…」
ぼそっとつぶやくその言葉には力はない。
うららかな陽気とは正反対の陰気そうな表情を浮かべ藤吉郎。
確かに、自分はみんなと―モンゴルにいったはずなのに…
なぜ自分だけここにいるんだろーか?
他のひとは…
―と人影が見えた。
年のころは十代後半だろうか?
なにやらけったいな服装をしていた。
性別は、一応男だろう。が、見たことも無いものを着ている。
髪型もどこかおかしい。
頭にはなにやら布をまいているし背中には大荷物だ。
顔だけみると特になんの変哲も無い。
危険人物というわけではなさそうだ
―なんだあ?
と首を傾げる藤吉郎。
とりあえず逃げる理由もないし、と、いうかここがどこでどんな時代なのかもわからないのだ。
情報収集は必要不可欠である。
―その場に座って藤吉郎はその人物が気付くのをまった―。

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