ザ・グレート・展開予測ショー

カクタス・フラワー(その2)...ネタばれ少しあり・注意


投稿者名:いーびる・あい
投稿日時:(98/10/17)

紅茶にレモンの輪切りを浮かべ、軽くかき混ぜながら
奈々は唐巣神父に訊ねた

「ピートの義兄さんは、今日はいないの?」

学校では、ピートと同じ建物に住んでいるとということで
同級生からうらやましく思われ、内心少し自慢のトコロもあった
もちろん、それは恋心というより、『自慢のアニキ』といった感じだが...
彼女は自分の容姿に若干のコンプレックスがあった
髪の毛は、「ケイコ」のようなつやのある黒髪ではなく、赤味がかったブロンド...
そして、両目の下・頬にかかって薄いアザがあること...
からかいの言葉をかけた奴は、「実力行使」でシメてやったので
いまではいじめる奴はいない...「スケバン」の風評がたったのは否めないが...

「ピートくんはGメンの仕事で、しばらく上海へ滞在する事となったんだ
...ここへ帰ってくるのは、2−3週間後くらいだろう」
「ちぇ、つまんないなぁーっ」
「奈々は、いつも『ピート義兄さんは?』だもんね、結婚するとなったら大変だな(笑)」
「えっ、結婚するの?!」「しーらないっ」「あっ...こいつ、からかいやがって(笑)」
神父の前なので、派手には出来ないが姉妹ゲンカが始まった
(もっとも、それは「ジャレアイ」といったようなものだが)
神父は苦笑しながら二人をわけて口をひらいた
「今日は葉子くんがここを訪れる日なんだが...
『一緒に横島夫妻が来ると言うんで夕食を外で取ろうか』
と先ほど電話連絡があったんだが...どうするかね?」
なんか、今日の神父は歯切れが悪い様だが
そんな事は「外食の誘い」の言葉で二人は気が付かなかった
横島夫妻のことは二人とも好きだったし
それに『食べ盛りの年頃』(笑)
気持ちが「そっち」の方へ行ったのも微笑ましいといえるだろう

だが、あとで神父の憂いを帯びた表情の意味を知る事となるのだが
神ならざる身には予想出来なかった

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レストラン「魔鈴」
昼は一般客で賑わい(夜もそうではあるが)
日が落ちてからはGSの関係者がけっこう利用する店である

三姉妹の服装は
葉子は白のズボンとサファリ・ジャケット、シャツはライトグリーン、緑のベレー
蛍子はワインレッドのブラウス、紺のスカート、ショートブーツ
奈々は黄地に赤と黒の格子柄のシャツ、黒の細身のジーンズにジャングル・ブーツ(笑)

横島はダークブルーのスーツ
令子はベージュのツーピースのスーツ

席に案内されたとき(奈々たちから見て通路を隔てて)左となりの先客に
見覚えのある顔があった
奈々と蛍子の通う学校(中等科)の理事長の娘
(四年ほど前に結婚して、その旦那らしき人も一緒のようだ...)

「あーらー、令子ちゃんー、おひさしぶりぃーっ」
相変わらずのんびりした口調である
奈々はこの人が苦手である、
べつに気取った振る舞いをするわけではない、
ただ...何気ない口調で胸に突き刺さるハナシをするのが...
(それも『悪意』がないぶん、タチが悪いといえる)
目をやると横島夫妻もなんか苦手そうである

「さっ、席について注文を取ろうか」と横島

「令子ちゃんたちぃー、まだー子供出来ないのぉーっ?
横島クンとならぁーっ、すぐに出来ると思っていたのにぃーっ」

(ピクッとする横島たち)
それを察した政樹(冥子の旦那)が冥子の腕に手をやるが
(その意味に気付かず)冥子は話をつづける
「うちなんかぁーっ、まだ一歳とちょっとでぇー、なかなか外出が出来なくてぇーっ、
今日はぁー、お母様に預かってもらってぇー、
久しぶりのデートなのぉー、たまには夫婦で外の空気を吸わないとぉー息がつまるわよねぇー」


この一帯の空気が急速に温度低下してきた気配...
奈々が目をやると、令子さんの顔が少し白っぽくなっていた

さすがに此処に至って冥子は政樹の行動の意味に気付いた
「あっ...あのぉ...」
おろおろと、冥子が謝りの言葉をさがそうとしたが...

「いやーっ!、頑張ってんですけどね
なかなか、こぉーいうのって毎日というわけにはいかないんっスよ(笑)
オレは毎日でもオーケーなんですけ...どをぁっ!!」

「人前で馬鹿な事口走るんじゃないのっ!!」
横島の胸板と顔面に令子のひじ打ちと裏拳が炸裂したのであった
しかし、令子の顔の赤さは「怒り」というより「恥ずかしさ」
また、表情はすこし嬉しそうな・笑っているように奈々には感じられた


固まった雰囲気がほどけ、食前酒(未成年の三姉妹にはスパークリンクワイン)が運ばれ
横島はおしぼりに氷を包んで顔面を冷やしている

葉子と蛍子の二人の姉はそんな横島の様子を心配そうに見守っていた
奈々は(悪い人ではないんだけど...)と思いながらも
姉たちが横島になついているのが少し不満だった
(ピート義兄さんの方が、ずっとステキなのに...)
もちろん、横島は葉子や蛍子に対するのと同じように奈々にも優しくしてくれる
しかし、その笑顔の陰にわずかなぎこちなさを嗅ぎ取っていた

自分たち姉妹は髪の毛や性格など同じ父親を持つとは思えないほど違っている
たぶん、母親がそれぞれ違うのだろう...
以前、唐巣神父さまに、自分の父親について訊ねた事があった...が
「君たちが成人したときに話そう、すまないが...今はまだ言えない」
それ以上は神父の困った顔を見ると追求出来なかった
ピート義兄さん、葉子姉さんに聞いても
「世界を相手にした」「スゴイ『チカラ』を持っていた」としか話さない

奈々のイメージする父親像は...
「世界をまたにかけ、少なくとも三名以上の女性に子供を産ませ、
職業など『子供に聞かせたくないたぐいの物』に関係していた...」

...つまるところ「国際的ヤ○ザ」...

そう考えると、父親が亡くなって、
神父やピート、横島夫妻と過ごせる境遇に不満を感じるのは
罰当たりな事なのかもしれない...

物思いに沈んでいたため、奈々は横島の話を聞き逃していた

「...ということなんだが...奈々の気持ちはどうなのかな?」
自分の名を耳にして奈々は現実に戻った
テーブル向こうの椅子に令子と並んで座っている横島
顔面のハレもひいて、キリッとした表情をしている
(さっきと同一人物とはおもえない...顔の造作ではない
そう、たとえて言うなら「オーラ」がちがうというのだろうか...)

奈々は、すこし、ドキッとした
横を見ると葉子、蛍子が自分の返事を見守っている...
(な...なんなの?この雰囲気...)
彼等の表情には期待と不安の混ざった色が伺える

30秒後...
「ごめんっ、聞いてなかったのでもう一回言って(笑)」

ドッとコケル横島たち

「あ...あんたねぇー」と蛍子
「わたしが言おうか?」と葉子が少し「むっ」とした表情
それを制して横島が(緊張の取れた顔で)

「君たち三姉妹、私達の所へ『養子』に来ないか...?」

「えっ...」

*****************************
(続く)


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