ザ・グレート・展開予測ショー

オリジナル(34)


投稿者名:いたけし
投稿日時:(02/ 3/11)

つづき

今日は翔君が約束通り転校してくる日だった
「皆月翔と言います、ヨロシクお願いします」
女生徒とからは「よろしく〜」や「こちらこそ〜」など歓迎する言葉が出ているが
男子生徒の方からは・・・・・言うのはやめておこう
とにかく「もうこれ以上男はいらん」と言うような感じで翔君を睨んでいる男子生徒が多数いるとだけ言っておこう
「じゃあ、皆月の席は〜順一の隣だな」
僕の隣にはひとマス開けて机が置いてあった
このクラスは男、女、男、女と順序よく並べられているため、僕の隣の席は空席でその隣に翔君が座ることとなった
「よっ、順一君」
「よっ、翔君」
翔君が席に着こうとこっちに来た時、お互い軽い挨拶をかわした

「ううっ、眠い〜」
ただいま四校時目の現国の授業中、眠くて眠くて仕方がない
四校時目でそこそこ暖かい時間なので眠いというのもあるが、現国の先生の念仏のような話し方もまるで子守歌のように伝わってくるのも原因のひとつだ
僕はちらっと翔君の方を見てみた
翔君は僕たちに追い付こうと必死にノートを取っていた
ううっ、横で翔君がこんなにがんばっているのになに寝ようとしているんだ、僕は
僕は眠ろうとしていた体勢を直すと黒板に書いてあることをノートに写しだした
その時、ピシッと僕の頬に何かがあった
あたりを見回すと机の上に丸まった紙があった
僕がそれを広げてみてみるとそこには・・・
「暇だぁ、ねえ順一君、腹いて〜、とか言って授業抜け出さない byショウ」
・・・・と書かれていた
さっきから真剣にやってると思ったらこんなことをやっていたのか
僕の感動はいったい・・・・
僕はノートの角の方を切って
「ちゃんと、授業は受けましょう、そのために転校してきたんだろ」
と書いて翔君に向かって投げた
翔君はその手紙(?)を読むとクスクスと笑った
ピシッ、また何か頬にあたった
また手紙だ、そこには・・・
「順一君と出会ってからここに転校してくるまで時間があったろ、その間ずっとジンさんに高校のこと黙っていたんだ、行くの面倒臭かったから、その間ジンさんは僕はずっと高校に行ってたと思ってたみたい、なんせ引っ越しなんて初めての経験だったから、手続きなんてしなくてもよかったと思ってたみたい」
・・・・と書かれていた
ジンさんねぇ〜、そう言えば翔君は、親だ親だと言ってるけど『お父さん』って呼ばないのかな
そんな内容の手紙を翔君に送った
そして返事が返ってくる
「ジンさんが禁止してるんだ『俺はそんなに親父じゃない』とか言って、でも本当は僕を気遣ってだと思う、無理までして自分を父親だと思わなくてもいいって感じでね、僕に取ってジンさんも生み親もどっちも『お父さん』なんだけどね」
ううっ、ええ話や〜
僕って幸せもんなんだな、父親も母親もいるし、姉さんまでいる、家族がいることがこれほど幸せなことだとは・・・
『幸せ』と言うものを再確認させて貰ったよ
そう言う内容の手紙を翔君に飛ばした
翔君はまたそれを読んでクスクスと笑った
すぐに返事が返ってきた
「泣ける内容だとは思えないけど、だって当たり前ことだから家族がいると言うのは、そういえば引っ越してきた理由のひとつに僕の血の繋がった家族探しがあるんだ、蒸発中のお袋と僕の兄弟を探すためにこっちの世界に来たんだ、僕って双子だったらしいよ」
ううっ、人間だれでも幸せになる権利はある、翔君も例外ではない、だから幸せになってくれ翔君
そんな僕を見て翔君がクスクスと笑う
まさか、これ冗談じゃないよね
僕の心を読んだのか、翔君からこんな手紙が飛んでくる
「冗談じゃ無いよ、ホントの話、僕には生き別れの双子の兄弟がいるらしい、ジンさんが言ってた、僕は家族を探すためにわざわざ裏世界から来たんだもの、絶対に探して会うつもりさ」
・・・・と書かれていた
『こっちの世界』『裏世界』う〜む、いったい何のことなんだ?
とにかく翔君の家族探しを僕も協力するよ
と書いて翔君に送ろうとしたがそこでチャイムが鳴ってしまった
ざわざわ、と昼食を取れる喜びと休み時間を楽しみに待ってた人たちで騒がしくなる
まっ、直接言えばいいか
そう考え、僕は翔君にいっしょに昼食を取ろうと誘った
快くオーケーした翔君と朝霧さんを誘い僕は昼食を取ることにした

「翔君、僕も家族探し手伝うよ」
昼食を食べ終えた僕は翔君にそう言った
「な・・なんなんですか、その家族探しって」
朝霧さんが尋ねてきたので僕が説明しようしたら、翔君が手を前に出し制止した
「僕が説明するよ」
翔君がそう言うと朝霧さんに説明し出した
父親が自分が幼い時に亡くなったこと、母親が蒸発中だということ、今はジンさんと言う父親の親友だった人に育てて貰ってること、実は双子だったことなどなど
「あ・・あの、私なんて言っていいか」
その話を聞いて朝霧さんが涙ぐむ
「私は人に触ることができませんけど、それでも私はまだまだ幸せな方なんだな〜って、ううっ」
そう言ってから朝霧さんはその場から離れていった
泣きにいったのかな〜・・・・
「なんで翔君、朝霧さんに話したの?」
こういうことは普通話さないもんだけど
「んっ、なんか真さんも不幸な境遇だから解ってくれると思って、まっこの三人の中で誰が1番不幸かと言われれば順一君なんだけどね」
「ぼっ僕?僕はこの三人の中では1番の幸せ者だと思うけど」
不幸や幸せは順番なんて決められるものではない、不幸なことはすべて不幸なことだし、幸せなことはみんな幸せだからだ
それでも1番を決めるとしたらズバ抜けて不幸か幸せと言うことになる
翔君が周囲をキョロキョロと見てあまり人がいないことを確認すると
「だって順一君は『オリジナル』だから」
「おりじなる?」
こっちの世界や裏世界、そしてオリジナルと翔君が言ってることはチンプンカンプンだ
「さっきから言ってる裏世界やオリジナルってなんのこと?」
「もしかして、昨日のこと覚えてないの」
翔君がむちゃくちゃ驚く
「ああ、昨日ね、昨日はなんかいつの間にか寝ちゃってて、起きたらなんか夜だったんだよね〜、あはは〜」
「マッマジ、まぁ〜知らない方が幸せってこともあるから深く言わないけど、本当に自覚ないの」
「なんの自覚?」
はぁ〜、と翔君が深いため息をはく
「いや、知らない方が不幸なのかも、いい順一君、裏世界って言うのは・・・」
「あ・・・・あの、なんの話を話してるんですか」
そんな折、気が済むまで泣いたのか、朝霧さんが戻ってきた
「ああ、なんでもない、なんでも」
翔君が焦ったように言葉を濁らす
その時、キンコンカンコンと昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った
「ああ、そういえば、さっきから話がズレてたけど、僕も翔君の家族探し手伝うよ、で、手掛かりはどれくらいあるの?」
「あ・・あの、私も手伝います、手伝わせてください」
「う〜ん、家族を探すって言ってもあまり解ってないんだ、幼かったから記憶もないし、まあ確かな手掛かりと言えば僕と同じ誕生日だってことかな、双子だからこれだけは間違いないと思う」
「じゃあ、翔君の誕生日って何日?」
「六月六日、そうだ順一君の誕生日は何日?」
「ボク?僕は十二月二日だけど」
「あ・・きっ奇遇ですね、私も十二月二日なんですよ」
「へぇ〜、それは奇遇だね、なんか運命感じちゃうな〜」
その時、キンコンカンコンと授業が始まるチャイムが鳴った
「やばい、急がないと翔君もほらっ早く」
僕はなにか考えてる翔君に声を掛け、教室に戻った
「んっ、ああ(う〜ん、順一君は違うのか、じゃあ僕の兄弟は今どこにいるんだろう)」

「そうだ、朝霧さん、今日いっしょに帰ろう」
時すでに放課後、生徒に取って嬉しい時間、解放された時間、自由な時間、それが放課後だ
「あっ、えっ、い・・・いいですけど、今日は用事はないんですか」
そんな自由な時間に僕は朝霧さんを誘った
ついでに用事とはゆいを迎えにいくことだ
「うん、今日は無いんだ〜、翔君もいっしょに帰ろうよ」
「う〜ん、今日はミィナのキャットフードを買いに行かなくちゃいけないからちょっと無理だな〜」
「そうか、それは残念、じゃあいっしょに帰ろう朝霧さん」
「は・・・はいっ」
僕は朝霧さんの手を持つと教室から出ていった
「まったく、順一君は神魔に命を狙われているって言うのにおきらくなもんだ、さぁ〜て僕もエサ買って帰るかな」

「ねえねえ、朝霧さんの家ってどこにあるの?」
僕は朝霧さんの手を引きながら聞いた
「わっ・・・私の家ですか、あっあっ、でも私の部屋汚れてるし、物も散らかってる、なのであの〜・・・その〜・・・」
「ぷぷっ、ぷはははは、違う違う、そういう意味じゃなくて」
僕は思わず吹き出してしまった、どうやら朝霧さんは僕が朝霧さんの部屋へ行きたいと思ったらしい
かわいい・・・・
「あのね、そういう意味じゃなくて、家の場所が解ったら送っていけるでしょ、別にあがるつもりはないよ」
「そ・・そうですか」
朝霧さんはなんか少し残念そうな顔をした
ううん、女の子って解んないな〜
「あ・・あの、私の家ってこっちなので・・・」
朝霧さんは僕の手を離し右の道へ向かった
「あっ、家まで送るよ」
「あ・・・ああ、でも順一君に失礼ですし、私の家すぐそこなので」
まあ、無理やり送るのも何か変だし
「じゃあ、それじゃあここで」
「あ・・・あの」
そのまま帰ろうとした僕は朝霧さんに呼び止められ振り返る
「ま・・また、いっしょに帰りましょうね」
「うん、またいっしょに帰ろう」
僕は笑顔で返事を返した

後半へつづく

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