ザ・グレート・展開予測ショー

オリジナル(33)


投稿者名:いたけし
投稿日時:(02/ 3/11)

順一!!いい加減気付け!!
と言うわけでいい加減彼には己の能力を自覚してもらいましょう
なので、前半は日常
後半はストーリーになってます


『自覚』

『ああ〜あ〜、どうしよう、どうしたらいいの〜』
夢の中でだけ会える女の人がなぜかおろおろと走り廻っていた
「どうかしたんですか?」
と僕はそんな女の人に尋ねた
『どうしたもこうしたもないわよ、少年!!あなたは本来持つべき能力を覚醒させてしまったのよ〜』
「えっどんな能力ですか、出来ればゆいに口ゲンカで勝てる能力がいいな〜」
『それは才能、はぁ〜私があんなに苦労して封印してたのに、自ら封印を破って能力を使っちゃうんだもの』
「ごめんなさい」
なんとなく謝らなければならないと思った、なぜ謝らないといけないのか解らなかったけど
『まあ、苦労するのはあなたなんだけどね』
そう言うと女の人は僕に近づき、僕をギュと抱き締めた
『いい、これから悲しい現実を味わうことになるかも知れないけど、強く生きるのよ』
なぜか夢の中なのに暖かみを感じた
『そして自分は自分だって思うの、あなたはなんて言われようとあなたなんだからね』
とても、とても暖かかった
『あっそろそろ時間ね、じゃあまたね』
「ちょっと待って、あなたは・・・・・」
体が強制的に離され、女の人がどんどん遠くへ行ってしまう
待って、もっとあなたと話しがしたい

ふわっ・・・・

チュンチュン・・・・すずめが鳴いていた
「もう朝か、なんかもう少し寝ていたかったような気がするんだけど、なんでだろう」
順一は布団にくるまりながら時間を確かめる
まだ、六時十五分か、そう認識した順一は二度寝の体勢に入った
しかし、そんなことを許さない影が順一に迫って来る
「ジュンイチー、朝よ〜起きろ〜!!」
既に制服に着替えてるゆいが順一の部屋の窓を開け進入し起こしに来る
「ゆいか〜、あと十分くらい眠らせて〜」
幼なじみが大きなお世話なのに起こしにくる、それはとても微笑ましい光景なのだが彼女の起こし方は少々過激なのである
ゆいは順一がくるまっている布団をはぎ取ると
「早起きは三文の得だから起きろ〜パーンチ」
と手に霊力を集中させて順一に霊波を放つ
「ぐえっ」
その攻撃で吹き飛ばされた順一の体は壁にぶつかり、そして崩れ落ちる
順一が二度寝に入るとゆいが待ってましたとばかりに己のストレスを発散させる
この行為は彼らにとって習慣のようなものにだった
最近は順一が毎日受け続けているおかげで霊波攻撃の抵抗力も強くなり、吹き飛ぶ以外のダメージは無しと言う、ゆいに取ってはありがたい(なんぼ攻撃してもオーケーな)肉体へと変化していたのだ・・・・
が、今回はなかなか起き上がって来ない
「あれ、お〜いジュンイチ起きろ〜」
ゆいが揺さぶって順一を起こそうとするが・・・
「・・・・・・・・」
順一の目は白目でまったく起きる気配がない
頬を叩くが意識が無いようだ
「ねえねえ、起きてよ、起きないとゆかりさん呼んでくるわよ」
最強最悪の脅し文句を言ったが、順一はそれでも起きることは無かった
ふぅるる〜〜〜〜
部屋の中なのに風が吹いたような気がした

ザック、ザック、ザク、ドム・・・・
「ふぅ、これぐらいでいいかな〜」
日下部家の庭に人がひとりほど埋められる穴を掘ったゆいは語尾にハートマーク付けてそう言った
「ううっ、本当はこんなことしたくないんだけど、私がジュンイチを殺したなんて知ったらお父さん悲しむし(いろいんな意味で)、私の正義のヒーローになる夢も絶たれちゃうから、ジュンイチはここに眠ってもらうね」
わざと下手なウソ泣きをし、ゆいは順一に最後の別れを告げる
「まさか、ジュンイチが打ち所が悪くて死んじゃうなんてね・・・、ぷぷぷ、これでもう順一のお守りなんかしなくて済むのね」
「おいっ、どう考えても僕の方がゆいのお守りをしてる方だろ」
「うわっ、いっ生きてた」
埋めようとしていた順一が突然喋り出したのでゆいは驚き後ずさった
「当たり前だ、勝手に僕を殺すな、まったくも〜」
順一が怒る、当たり前だ、危うく生き埋めにされるところだったんだから
「・・・・・・・・・・・・・ちッ」
ゆいが悔しそうに舌をならす
「なんだよ、今の『ちッ』は」
「いや〜、どうやら私の早合点だったようね〜、あはは〜」
「人の生死に関わるようなことは早合点なんかしちゃダメだろっ!!、それに本当に死んでいたとしても死体を庭に埋めるのは犯罪だぞ、ゆい」
「だから、こんなに謝ってるでしょ」
「まだ1回もゆいは僕に謝ってないぞ」
そんな風にガミガミ言ってるとゆいの家から男の人が出てきた
「お〜い、ゆい〜、早くメシ食わないと学校に遅れるぞ」
「お父さん聞いてよ、私がね何回も謝ってんのにジュンイチったら許してくれないの」
「ゆいはまだ一回も謝ってないだろ、それに僕を生き埋めにしようとしたゆいを簡単に許せるもんか」
家から出てきた人物はゆいの父親である、日下部湧(いさむ)三十七歳、その人だった
湧が我が家の庭を見回してみるとゆいが掘った穴を発見した
「はは〜ん、そうか、ゆいは順一君といっしょのお墓に入りたいんだな」
湧はゆいは自らのお墓を作っているのと考えた
「ちょっ、ちょっと、お父さんそんな訳ないでしょ」
ゆいが焦ったように父親を止めに入る
「はは〜ん、順一君、これはゆいからのプロポーズなんだ、だから君もゆいの気持ちを素直に受け取って心置き無く俺の息子に・・・・」
「なりませんよ」
「なじぇ〜〜」
日下部家当主の野望、それは息子をつくること
しかし最愛の妻、雪菜(ゆきな)を失った彼に新しい生命を誕生させることは出来ない
そこで彼は娘の結婚相手は自分の息子なると思い付き、隣に済んでいる素直な少年の順一をゆいの結婚相手にし、己の息子にしようとしているのだ
「俺だってさぁ、息子とキャチボールしたり、サッカーしたりしたかったんだよ〜」
湧は床はドンドンと叩きながら泣き叫ぶ
「そんなこと、昔からゆいや僕とやってたじゃないですか」
「じゃあ、じゃあ順一君、俺のこと『お父さん』って・・・・」
「呼びませんよ」
「なじぇ〜〜」
「そんなことより、私はそういう意味でこの穴を掘ったんじゃないからね、ジュンイチなんて大嫌いだし、それに『いっしょのお墓に入りましょう』なんてプロポーズの仕方なんて古臭くて普通しないわよ」
ゆいが大声で否定する、普通なら『なにもそこまで否定しなくても』と言うはずだが、順一に限ってそれは無かった
「そうか〜、俺は雪菜に結婚を申し込む時、そう言ったけどな〜」
「マジッ!?」
ふたりの言葉が重なる
ふゅるる〜〜〜〜
順一とゆいの所にだけ風が吹いたような気がした

「はぁ〜、まさか湧さんがあんなプロポーズをしてたとは」
「それにしても、よくそんなプロポーズでお母さんも結婚する気になったわよね〜、はぁ〜」
あの後、僕とゆいはそれぞれの家に戻り準備をしていっしょに途中まで登校していた
前々から息子が欲しいとゆいのお母さんが生きていた時も言っていたが、ゆいに弟ができる様子は無かった
でも、ゆいを妊娠した時、湧さんは男の子ができると確信し『誠司(せいじ)』と言う名前まで考えたらしいけど、生まれてきたのは女の子のゆいだったため、雪菜の『ゆ』と湧の『い』を取って『ゆい』といい加減に付けたらしい
だけど、名前はいい加減だがちゃんと愛情を与えて育てており、決して男の子の代わりのようには育てなかった
女の子は女の子らしく、と愛情を注いで育てたが、ゆいが歪んだ愛情の受け取り方をしたのは今のゆいを見れば明らかであろう
「そういえばさぁ〜、今日のゲキガンパンチ、なんかいつもより数十倍の威力があったような気がするんだけど、なんで」
まあ、そんなことを考えたりしてると痛い目に会うので僕は話題を変えることにした
ゆいがそんなことは無いけどという顔をする
「う〜ん、今回特に強く放った訳じゃないけど、あ〜もしかして霊波攻撃の抵抗力が無くなっちゃたんじゃない」
無くなった、じゃあなんで突然無くなっちゃったんだ
まぁ、ゆいはいつもいい加減なことを言うから、あまりあてにしない方が良さそうだ
そんなことを考えていると、六女へ行く道と僕の通っている高校への分かれ道が近づいていた
「じゃあここでお別れね、そうだ、今日は師匠のところに行くから迎えに来なくていいわよ、じゃあねジュンイチー」
「ぃやったぁぁぁぁ!!」
その言葉を聞いた時、僕は声たからかに叫んだ、が
スバゴォォォン・・・・
「ぶへむっ」
『そんなに私と帰るのが嫌かっ!!』と言う言葉の代わりにゲキガンパンチが飛んできて、僕にクリーンヒットした
「ううっ、だってゆいと帰ると何かおごらなくちゃいけないんだもん・・・・がくっ」
その後、五分ほど気絶した僕は立ち上がり、学校へとウキウキ気分で登校しのだった

つづく

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