ザ・グレート・展開予測ショー

オリジナル(26)


投稿者名:いたけし
投稿日時:(02/ 2/17)

ながいな〜

「赤犬覚悟!!」
ゆいは手に霊力を集中させると、パンチを繰り出す格好で霊波を放った
「ちょっと、待ったぁー!!ぼふぉ」
ゆいの放ったゲキガンパンチと赤犬シロの間に突然バンダナをした少年が割り込んみゲキガンパンチをその身で防いだ
ゲキガンパンチを喰らったバンダナの少年はなかなか起き上がってこない
「しまった〜、晩ご飯の調達中に一般市民を傷つけてしまったー!!ああ、これじゃあ私の純情可憐で一途な乙女のイメージが崩れちゃう」
純情でも可憐でもないし、全然どこが?と言いたくなるほど一途じゃなくて、ましてや乙女でも・・ぶぅっ
とにかく、それは置いといて、一般市民を傷つけたのは問題である
「ここは逃げるのが一番かな〜」
「クゥ〜ン、クゥ〜ン」
シロが悲しそうにバンダナの少年の頬をなめる
「うっ・・う、いて〜」
どうやらバンダナの少年は普段からこういう攻撃に慣れているらしく、数秒の気絶のみで済んだようだ
「良かった〜、じゃあ私はこれで」
ゆいはシロを脇に抱えてそそくさと、その場から逃げようとするが
「ちょっと待った〜!!そいつは俺のだ、返してくれ」
とバンダナの少年がゆいを止めた
「ええ、いやいやいや」
「ゆいちゃん、飼い主がいるんだったらちゃんと返してあげなきゃダメよ」
復活したゆかりがゆいに常識的なことを忠告する
常識はずれの人が常識的なことを忠告するのは説得力があるような、無いような・・・・
「うわっ、あっあなたは、ひぃ〜、ごめんなさいごめんなさい」
ゆかりの顔を見るといきなりバンダナの少年は謝りだした
「ゆかり先輩ですよね、ごめんなさい、ごめんなさい、もう許してください」
「う〜んとえ〜と、誰だっけ?」
バンダナの少年はゆかりのことを知っているようだが、ゆかりの方は見に覚えがなかった
「ごめんなさい、ごめんなさい、何もしてないんすからもう許してください」
バンダナの少年は気が狂ったように何度も何度も謝る
「なんか分かんないけど、ゆいちゃん、赤犬返してあげたら」
「はぁ〜、仕方ありませんね返します、はいっ」
そう言ってゆいは仕方なくシロをバンダナの少年に返した
バンダナの少年はシロを受け取ると、地獄から逃げ出すように逃げていった
「なんだったんでしょう、ゆかりさん」
「う〜んそういえば、確か高校の後輩にあんな奴いたような〜」
「いまの人逃げていきましたよ、いったい高校で何やらかしたんですか」
「さぁ、在学中はたくさんやってたから、教室爆弾目覚ましでしょう、校長室&職員室毒ガス充満事件に、全校集会無差別ミサイル攻撃、それと・・・」
「・・・・・・」
ゆいはつくづく今の高校に入って良かったな、と思った

「拙者、もう絶対に人の物を盗んだりしないでござるぅ〜」
シロは今日の出来事を教訓にした
しかし、本当は『ゆかりを見たら逃げろ』の方が正しい教訓だろうなぁ

「はぁ〜、なんかゆかりさん、今日は疲れました」
「そうね、ところでゆいちゃん、師匠の方はどうする?」
「う〜ん、そうだGSじゃないですけど、知り合いにかっこいい霊能力を使う人がいたんだ、じゃあその人に師匠になってくれるよう頼んでみます」
「ふ〜ん、でも私はパス、まだちょっと目が回ってるからどこかで休んでから帰るから」
「それじゃあゆかりさん、またあとで」
「またね、ゆいちゃん」
そう言ってふたりはそれぞれの道を歩き出した


「ちょっと待ってよ、ふたりとも、僕より先に行っても意味がないでしょ」
「順一君が遅すぎるからだよ」
翔君が朝霧さんの手を繋ぎながら言う
五分前は僕が朝霧さんの手を引きながら歩いていたんだけど、いかんせん運動不足で・・・・
まあ、朝霧さんと手を繋ぐのは、彼女に僕たち以外の人がぶつかっても大丈夫なための予防策なのだから、結果的に僕でも翔君でも彼女に触れられれば、誰だっていいのだ
だから、悔しくなんかないやいっ
「ここっ、この丘を登ったところが『お気に入りの場所』なんだ」
「ど・・・どんな所なんですか」
「行ってみてからのお楽しみ」
僕たち三人は丘を登る
十年前、初めて登ったこの丘は物凄く長く感じられたが、あの時から比べたら今の僕に取ってこの丘は短く感じた
「ほら、あそこあそこ」
僕は目的地の丘の頂上を指す
そこには樹齢二百年の大きな木が・・・なかった
かわりに巨木を切ったような大きな切り株と、それに座りながら読書をしてる男性と、小猫が1匹いた
「あれジンさんじゃん、お〜いジンさ〜ん」
翔君は切り株に座っている男性を知ってるらしく、近寄って行く
「おっ、ショウじゃないか、どうしたこんな所に来て」
「えっとね、順一君に誘われてきたんだ、あっ紹介するよ、親友の順一君、それと今日友達になった真さん」
翔君が僕たちをジンさんに紹介する
「で、順一君には前に話したと思うけど、この人が育ての親のジンさん」
その次に翔君は親のジンさんを紹介した
「ど〜も、鈴木順一と言います、翔君とはその〜親しい間柄です、よろしくおねがいします」
「なんだよ、親しい間柄って、親友って言え親友って」
「まぁ、なんだか恥ずかしいし」
「あれっ、君とはどこかで・・・・まさかっ」
ジンさんが何かに驚いたようにしゃべる
「そうかそうか、そういうことだったのか」
「ん、どうかしましたか」
「あっいやっ、ちょっと知り合いに似てたもんだから」
ジンさんはそう言うとなにか嬉しそうに笑った
「ああ・・朝霧真と言います」
朝霧さんが自己紹介をする
「あ・・あの翔クンとは今回お友達になっていただいたように本当にお世話になって・・・・わっ」
深々と頭を下げながら自己紹介していた朝霧さんは、頭を上げた瞬間バランスを崩し背中から落ちそうになる(朝霧さんの立っていた所は丘の斜面だっためバランスが崩れやすかった)
やばいっ、と思った僕と翔君は腕を伸ばし朝霧さんを掴もうとするが、それより早くに彼女の背中に回り込みんだジンさんが朝霧さんを支えていた
「大丈夫かい?マドモアゼル」
親子だと思った・・・・
僕は、翔君とジンさんは間違いなく親子だと思った
血は繋がってなくても親子だと思った
「ほぉ、あ・・ありがとうございます」
ジンさんは朝霧さんを地面の平らな所に立たせた
「こら〜ジンさん、どうして僕に助けさせてくれなかったんだ」
翔君がジンさんに詰め寄る
「なんだ〜、お前彼女狙ってたのか?」
「そ・・・そういう訳じゃないけど」
「ふ〜ん、あっそうだ『ミィナ』も連れて来てたんだ、お〜いミィナ〜」
ミィナとは何か解らなかったが、その疑問はすぐに解決した
『ナ〜〜〜〜〜』
いつぞや、僕と翔君が助けた小猫が翔君に向かって走ってきた
「おっ、さすがは飼い主の僕に向かって走ってくるか、カモン、こっちだミィナ」
『ナ〜〜〜〜』
「あれっ」
翔君の口から情けない声が漏れる
ミィナと呼ばれた小猫は翔君の脇をすり抜け僕に向かって飛び込んできた
「ぷはははは、さすがは飼い主より命の恩人の方が大事か、よしよし、いい子いい子」
『ナ〜〜』
僕がミィナの頭を撫でると、ミィナは嬉しそうに鳴いた
「かわいい小猫ですね」
朝霧さんは僕の腕を左手で掴みながら右手で撫でる
動物もダメなのか・・・・
「むっか〜、実際助けたのも僕だし、毎日エサをやってるのも僕なのに、それなのに順一君の所に行くなんて〜」
「ぷぷぷ、ミィナは本当賢い猫だな〜」
「はぁ〜、恩を仇で返すとはこのことだな、それよりジンさん、どうしてここにいるの、僕たち偶然ここに来たのに」
「んっそれは、二十年ぶりにここにあった大きな木を見に来ようと思ってな、でも切り倒されていたか、時代は変わるもんだな」
はぁ〜、とジンさんが少し悲しそうにため息を吐く
なんか、言いにくいけど真実を話した方がいいかな
「え〜と、ここにあった大きな木を倒しちゃったの僕の姉さんなんです」
「なにっ!!」
「ええっ!!」
朝霧さんもここに大きな木があったのは知っていたらしく驚きの声をあげたが、それ以上にジンさんの方が驚いていた
「その話、聞かせてくれないか」
「いいですよ、それは十年ほど前の姉さんと・・・」


「すごいっすごいよ、この木すごいよ姉さん」
僕はそう言って木に近づき、木にパンチしてみる
「痛い・・・しかもすごく堅い、二・三百年年も生きたらこんなに堅くなれるんだ、ねえねえ姉さん、僕も二百年も生きたら、この木みたいに大きくて堅くてやさしくなれるかな?」
まだ十歳にも満たない姉さんが、ふふふと笑う
「う〜ん、まず順一、人間は二百年も生きられないのよ」
「どうして?」
僕はその時『死』に関してなにも知らなかった
「そうね〜、じゃあ順一は何歳になったら私と別れたい?」
「別れる、ってもうずっと会えないこと?」
姉さんが首を縦に振る
「やだやだ、姉さんとはずっといっしょにいたい」
「ふふふ、はいはい、でもね順一、いつかは別れなくちゃいけない時が来るのよ、私とだけじゃなくてゆいちゃんや、お父さんにお母さんとかともね、生きるって言うことはそういうことなの」
僕は子供ながらにその言葉を真剣に聞いていた、その『別れ』の意味はよく解らなかったけど
「だいたい順一は二百年も生きなくても、順一は十分優しいよ〜」
姉さんは僕のことを後ろから抱き締めてきた
「姉さん、ちょっと苦し・・・」
「別に堅くなる必要もないし、この木くらいでないにしろ、順一もきっと大きくなるよ」
「ダメだよ、堅くなって〜いつもいじめてるゆいちゃんを驚かせてやるんだ」
「ふふふ、かわいい」
そう言って姉さんは僕の頭を撫でた


つづく、けど死ぬほどなげ〜

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