ザ・グレート・展開予測ショー

初恋・・?122


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 2/16)

くらり―と体が傾いた。
全てがゆっくりとひどく緩やかな動きのように、自然な動きのように見えた。
まるで操る糸が切れた人形のように、体が崩れ落ちそして床に倒れこむ。
どさっと
なにか大きな荷物を置いたような音が聞こえた。
「ん?」
とその音に夏子は横を向く
すると―ぐったりと床に、倒れこんでいるゆうこがいたのだ。
既に意識はなく顔色はしろを通り越して青くすら見える。
「―ゆうねえっ」
それは悲鳴に近い声だ。
その声に黒い瘴気を放ってたおきぬも、さわやかすぎるくらい爽やかだった美神も、だらだらと冷や汗を流していたシロもそちらのほうに視線をむける。
(ただし意識を失ってる横島は除く)
夏子は、ぴたりと頬に自分の手をあてた。
あたたかくはなく、氷のように冷たい。
「……いつもの発作…やろか…やけど、もう三年前に手術してから大丈夫のはずやけど」
ひとりごちるその言葉もいつものいきいきとしたものからは程遠い。
「ちょっといい?」
そんな夏子の肩に触れ美神。
なにがいいとなどは夏子は聞かずにそっと場所を譲った。

ゆうこの傍に座った美神の開口一番の言葉が
「やばいわね」
である。
いつの間にかゆうこを回り込むように全員座っている(横島以外)。
「かなり霊力が衰弱してる」
何が原因か聞くまでもないだろう。
くしゃっと髪の毛をかきまわし美神。
「たく、本当ならもうとっくの昔に倒れててもいいはずなのに、なんでついさっきまで平然としてたのかしらねー」
その声には幾分呆れがまざってる。
「……ゆうねえ意地っぱりやからなああ…」
言葉は非難するようなものでも、その口調と表情は柔らかい。
まあよく考えてみれば自分のなかに五年間も異質なものが入り込んでいたのだ。
しかもそれを持続させる為に自分の持てる力のほとんどを使っていたのだ。
そしてそれが先程開放された
反動がきてもおかしくないだろう。
というか来ない方がおかしい。
多分―いや絶対、それはずっと前から、横島が倒れこんだあたりからきていたに違いない
だが、ゆうこは先程まで平然としていたのだ。
苦しみを全部押し込んで。
何故そんなことを?と聞くだろう
だが、美神には何故か、何故かだがわかってしまったのだ。
いや、夏子にもわかっていたのだ。
ひとりは同じこころをもっていたものとして。
ひとりは最も長くいっしょにいた肉親として。
確かにこの女性は、性格は良いとはいえない。
根性はひねてるは、ひとの弱みをにぎって脅すわ、不意にものを投げるは、はた迷惑なことをするは八つ当たり(しかも笑顔で)をするわであるが―
何故か自分のことで心配させるのを嫌うのだ。
人のことを誰よりも心配するくせに。
なのに、である
つづく

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