ザ・グレート・展開予測ショー

BOY MEETS A GIRL  その五 〜続・明日のために〜


投稿者名:魚高
投稿日時:(02/ 2/16)

――――――お強くなられましたな、坊
―――――剣は弱者を拒む、忘れるな
――――夢が勝つか…金が勝つか…
―――竜太さん(はぁと)
――竜太さん(はぁと)
―竜太さん(はぁと)

目が覚めると、そこは自分が幼い頃と少しも変らない妙神山のとある一室だった。
(変わらねぇな、此処も…)
何故、自分は此処に居るのかを思い出し、苦笑する。
(しかし、落ちるとは思わなかったな)
あのシロの一撃のことだ、自分のことくらい自分が一番知っている。気絶などする筈もなかった。
相手のことだって解っていた…筈である。
事前に彼らの特徴は調べていた。
しかし、あのときのシロの一撃は遥かに彼の予想を上回った。
(相当、怒ってたんだな…)
小竜太はゆっくりと立ち上がり、ストレスの発散方法について考えながら、小竜姫達の所へ向かった。

小竜太が部屋に着くとすでに、小竜姫とシロとタマモとパピリオが食事を終えていた、そして横島も復活していた。
「あのー…さっきはすまなかったでござる。」
と、シロが申し訳なさそうに頭を下げた。
「…いや、悪いのはこっちだよ、すまなかった。
それとヨコシマ君も…すまなかった、仲直りしよう許してくれ。」
そう言って小竜太は、手を差しだした。
意外と爽やかな印象を受けて、横島は少し気分が晴れた。
「こちらこそ、…ええと」
「お師匠様でいいよ♪」
「…」
「…全員いるな。」(正確には猿神は居なかったのだが…)
「まず、君たちにして貰うのは、これだ。」
そう言って小竜太は懐からいくつか巻物を取り出した。
「これは、私…コホン…ある物好きの書いたもので君達の言う、…そう小説のようなものだ。その人は、才能はあったのだが、飽きっぽい性格なので、これらは全て未完のままだ。そこで、君達がこれを読んで、物語の結末を考えてもらいたい。」
「それで、これにはどんな意味があるんでしょうか?お師匠様。」
少し、皮肉をこめて横島が尋ねる。
「お前達は、霊力は強いがまだ活かしきれていない…お前達に必要なものは良い師匠と
『インスピレーション』だ。」
確かにその通りなのだろうが、この男が言うとどうも…
「あの〜私達もやるのでしょうか?」
小竜姫がいつになく不安げに尋ねる。
「もちろん。姫様とお嬢ちゃんにもお願いします。」
「え!!私もでちゅか!?」
二人にとってはとんだ貧乏クジだ。
「今日はもう暗いから基礎的な訓練は明日からにしよう。もちろん、各自寝るまでに第五章までは読んでおくこと。明日感想を訊きますよ。…あ、それと、シロ、タマモ、横島の三人は4時起床ね。」
そう言って小竜太は食事をとり始めた。
「最悪…」
誰が呟いたのか…もうどうでもいいことだった。


――――――-AM:4:10
なんとか、起きられたものの、シロ以外の三人は眠そうだ。(もち、小竜太も)
「まず、横島は俺と闘技場で、そしてシロはランニングだ。」
「え〜どうせなら先生と一緒がいいでござるよ。…それに、散歩はいろんな景色を見れるのが楽しいでござるよ。」(←力説)
「あぁ、そこでタマモがお前に幻術をかける。そうすれば、問題ないだろ?」
「って!!アンタいきなりばらしてどうすんのよ!」
いくら相手がシロとはいえ幻術と報せてしまっては流石にタマモも幻術のかけようがないだろう。
「そうしないと修行にならないだろ?」
「でも!…」
タマモは反論するのを止めた、無駄だと思ったからだ。
「それじゃあ、コースはこの山を10週でいいや。タマモ、横島の性格は知っているな?」
「…」
こういう場合、沈黙は肯定を表す。少なくとも否定はしていない。
「よし、シロ何かリクエストは有るか?」
「うぅ〜…メチャクチャでござる。タマモ!先生はうんと優しくするでござるよ!!」
(バカみたい…こんなの意味無いじゃない、最初から…)
「タマモ4日後にテストするからな、もしこれくらいのことができないなら、もちろん、不合格にするぞ。そんときは…」
「わかった!わかったわよ!!真面目にやればいいんでしょ!」
「よし、じゃあ終わったらあがっていいからな。行くぞ、横島。」
(昨晩とは、口調がずいぶん違うな…)
タマモはまだ何かぼやいていたが、気にせず二人は歩いていった。
一人は物凄く重い足取りで…

二人は修行場に着き、横島は懐かしの拳法着に着替えた。
「いきなりだが、俺には文殊は使えない。そのため、俺が教えるのは戦闘術とお前の霊力を十二分に発揮する方法だ。」
「じゃあ、これはその為の道具なんスか?」
そう言って、箱を指差す。
「なかなか良い勘してるな、その通りだ開けてみろ。」
中身は日本刀3本、弓と矢、槍、それに手斧だった。
「この中のどれを選ぶかは、お前の自由だ。」
(一つだけ、わざとらしい物があるな…)
「…それじゃあ、刀を…」
小竜太は少しがっかりして、
「解った、確か霊波刀が使えたな?」
横島は首を縦に振った。
「昨日も言ったように、霊波刀等はイメージが強ければ強いほどその威力も増すんだ。
だから、本物の訓練も必要になる。お前達にはこれから二週間ほど、俺と姫様が剣術を教えてやる。霊力は二の次だ。」
「えっ!!小竜姫様もですか!?」
横島は思わず声に出してしまった。
「…まさか、嫌とは言わないよな。」
闘劉神から、殺気が発せられる。
「いや、そんなわけじゃ…」
そんな訳は無い。ただ、そんなこと言い出すとは思ってもいなかったのだ。
この男が、小竜姫様を他人に貸すようなことは絶対にしない。もしかしたら、自分を妙神山から連れ出して、女人禁制の場所に隔離するくらいのことはするかもしれないと思っていたのだ。(もちろん、そんなことはどんなことをしても阻止するつもりだった。)
「見ての通り、刀は三本有る。どれその道に少し詳しいヤツなら知っているくらいの名刀だ。好きなのを一本選べ。」
長さが違うが、それ以外の違いは横島には解らなかった。
「あの〜…どうせ、刀なら小竜姫様やお師匠様が使っているヤツが…」
「バカ、姫様とお揃いの物を使えるのは俺の特権なの!!」
「…じゃあ、これでいいです。」
横島は一番自分の近くにあったヤツを取った。
「よし、まずは構えから教えよう、なるべく肩の力を抜いて…」
横島は小竜姫に教えられる日が来ることと、無事に下界に帰れる日を夢見て、修行に耐えるのだった。
          続く

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