ザ・グレート・展開予測ショー

誰がために2


投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 2/16)

「アシュタロスが自らの消滅を望み消えてから早くも数年。今こそ神の力を見せるときだ」
「しかし、今や我々と魔族はデカントの状態。どうのようにして?」
「なあに。放っておいても向こうから仕掛けてくる!」
「所詮、我々も魔族も同じカードの裏表。やはり、望むものは・・・」
「永遠の『表』であるための戦い]
 二人の神族が会話をしている。後に、この二人の会話が事実になることになる。

 キヌの結婚式の次の日、伊達の事務所。そこに、ヒャクメと小竜姫が尋ねてきた。
「何の用だ?別に今はやばいことはしていないはずだが?」
 伊達がヒャクメに尋ねる。
「いえ、今日は仕事の依頼です」
「以外だな。お前のことだから美神の旦那にでも頼むかと思えば・・・」
「いえ、今回は・・・」
と、そこで、小竜姫の声が詰まる。
「本当の事を言いましょう。はっきり言って今回の事件はかなり危険です。一部の魔族が絡んでいるからです。しかし、今回は諸事情により我々神族は一切の手出しが出来ないのです。
 そこで、人間界でも最高クラスのGSに頼むことにしたわけです」
「なら、なおさら旦那の方が?」
「いえ。気付いていないかもしれませんが、雪之丞さん。貴方の霊力はすでに美神さんを超えています。これは紛れもない事実です」
「い、いつの間に?」
「当然のことです。貴方は若いですし、危険な仕事などをこなしてきていましたから。まあ、横島さんと一緒にいたのなら気づかなくて当然ですが」
「あいつの成長はここに来て、とんでもないからな」
 その横島は、半年前。
『雪之丞。俺はしばらく旅に出る。ちょっと、考えてみたい事があるんだ』
 横島は昔と違い、あまり女性を追っかけなくなっていった。
 原因の一つは横島が人間の女性にモテ始めたこと。もともと、優しい性格であり、年をとるごとに顔も渋みをまとい始めたこと。そして、世界最高峰のGSの圧倒的なカリスマ性などが原因である。 
 そして、追われれば追わなくなるのが人の性。こうして、横島は変わっていった。それでも、たまには昔に戻ることもある。
 そして、もう一つの原因としてはやはりルシオラの事が忘れられないからだろう。
「そういうわけですので、よろしくお願いします」
「わかった。しかし、俺一人ではな・・・」
「横島さんが帰ってるはずですが?」
「え?」
「先日の結婚式にいらしてましたよ。まあ、隠れていたので声はかけませんでしたが」
 ヒャクメの目は誤魔化せなかったようだ。
「じゃあ、今度見かけたら伝えておきます」
 そう言って神族二人は帰っていた。
「魔族か。久しぶりに血が騒ぐ」
 伊達は除霊道具の手入れをし始めた。

「あれ?あそこにいるのは」
 時間は夕方近く。デパートの屋上で一人の男性が佇んでいる。
「横島さん?」
 小竜姫が気づく。
「悪いけどヒャクメ。先に帰っておいて」
「?いいけど?」
 小竜姫は横島の横に降り立った。
「何をしてるんですか?横島さん?」
「ああ、小竜姫様。お久しぶりです。相変わらず綺麗ですね]
 嬉しそうに答える。
「ありがとう」
 小竜姫は横島の顔を眺め、
『やはり、私の目に狂いはなかったわね』
 きっかけを与えてからの横島の成長は凄まじいものがある。
「何をしてるんですか?」
「ああ。もうすぐわかりますよ」
と、夕日を眺める。やがて、沈んでいく。
「昼の夜の一瞬の隙間。少ししか見れないから・・・」
 そうして、小竜姫の方を見る。
『へえ、この人もこんな顔をする様になったのね。なんか、変な気持ち』
 この前までは、小竜姫から見たら半人前のGS見習程度にしか過ぎなかったのだ。
「さて、雪之丞の所にでも行くか」
 手元の荷物を持つ。
「じゃあ、小竜姫様。また」
と、少年の笑顔で去っていった。
「私は弟はいないけど、多分こんな気持ちなんだろうなぁ・・・」
と、誰もいない空に呟く。
「でも、確かに今のはきれいだったわね」
と、満足気に飛んでいった。

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