ザ・グレート・展開予測ショー

動揺そのいち


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 2/15)

食べたいご馳走が目の前にあるのに、手を伸ばせば食べれるのに、空腹なのに、なにかが邪魔して食べれない。
―それは、飼犬にとってのご主人様からの『待て』の合図だったり
―それは、敬けんなクリスチャンの食事の前のお祈りの時間のことだったり。
まあ、いろいろ理由がある。
理由があるからこそまあなんとか我慢もきくというものだろうが―
ここにいる馬鹿は、その理由がわからなかったりする。
もちろん、そのご馳走と言うのは、かの美神のことであり、そして空腹なのに手をだせない馬鹿は横島である。
―まあそれは傍からみれば『大事すぎて手が出せない』というこの上も無く恥ずかしくばかばかしいものであるが本人は気付いてないから性質が悪い。
季節はもう四月。桜まい散る季節である
木々は鮮やかに色づき、日差しは柔らかく、風は身を切るような寒さからなぶるようなかすめるようなあたたかさへと変わっていく季節。
ちなみにこの二人が付き合ったのが十二月のおわり
実に三ヶ月が過ぎるというのに、横島から手を出す(理性が切れて襲うは除く)事はない。
口付けも軽い―しかも美神からのしかないのだ。
奥手な中学生カップルじゃあるまいし―と言った感じである。
いや、人には恋愛の速度というものがあって、その速度が正しいというものもいるだろう
だが、である。
こー手を出せないで無念に泣いている男は、大急ぎでその過程をすませる男である
そして更に性質が悪い事に気付いてないのだ、何故手を出せないかと言う事を。
―いや気付いてないという言葉は適切ではないだろう。
こんな感情に出くわせるのは初めてで戸惑っているといったほうが正しい。
ごつん
と窓へと軽く額をぶつける。
ちらほらと色がついていく景色が視界に映る。
「うー」
そして唸るような声、
いや事実唸ってるのだが。
季節は確実に移り変わっている。
もう、春がきている。なのに―なのにである
(なのに進歩がねえよお)
もう涙をながさんばかりの情けない表情で横島。
さんさんとあたたかい日差しをあび綺麗に磨き上げられた窓に頭を預ける。
まあこれがピートあたりがしたら絵にもなろうもんだが、横島がしても全然画にも何にもならない。
と。
かちゃっと音がした。
もちろんドアが開く音だ。
そしてこの場合の登場人物と言えば―
美神令子その人である。
「あれ?横島くん早いわねー」
いつものとおりにいつもの口調でなんでもなく美神。
それとは反対にどくんっと
声を聞いただけですさまじい勢いで心臓が鳴り出す。
「そ、そ、そ、そおですか?」
無論答える言葉も不自然になるも当たり前だろう。

さて?どうなることやら?
つづく

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