ザ・グレート・展開予測ショー

!闇夜の戦記2 その2 沈黙する獣たち


投稿者名:カディス
投稿日時:(02/ 2/15)

美神除霊事務所第二主任除霊員横島忠雄は、とあるマンションの一室の前でキレかかっていた。

「あーのー女はーーーー!!!」

彼の手元には、今夜の仕事の依頼内容の書かれた書類がある。

除霊対象・・・…怨霊 性別…男 
特徴・・・バレンタイインデーに一度もチョコをもらえず、その事を逆恨みに部屋で叫び続けた男の怨念により生まれた怨霊。毎年2月14日のみに現れ暴れる。極めて強暴。
特記事項…綺麗な女性がチョコを渡せば消えて無くなると考えられる。

彼の足もとの鞄には、女性物の紅いワンピースとエクトプラズムスーツの入ったツボ、そしてハート型のチョコが入っていた。

「なぜに、事務所で女3人留守番で俺がこんなことせにゃならんのダーーー!!!」
怒号が夜空に木霊した。



事務所の台所は、すでに地獄と化していた。

「お兄ちゃんは甘党だから砂糖を3杯いれてあげる!あと蜂蜜も!!」
 美神と張り合おうと次々と調味料を山盛り加えていく蛍。どうでもいいが市販の板チョコを溶かして整形するだけのはずだが?

「あら、横島君だってそろそろ大人の味がわかる頃よ。ここは渋い苦味を加えるためにヤモリを入れるのよ」
 こちらもすでに得体の知れないものが多数加えられ何故か紫色になっている中へ、ヤモリを生きたまま突っ込む。
 本来、美神は料理も得意だが、蛍への対抗心が先だって我を忘れ地獄の釜を煮立てている。

「そんなの食べたらお兄ちゃんが、美神さんみたいなひねくれた大人になっちゃうじゃないですか!!お兄ちゃんは絶対甘い方を取ります!!!」
美神に向けてズイッと首を乗り出し言い放つ。

「誰がひねくれた大人よ!昆虫じゃないんだから、そんな甘ったるいの食べるわけ無いじゃない!!」蛍におでこをくっつけ言い返す。

「あーら、失礼。ひねくれた年増がよろしかったですわね!おばさま!!」
おでこグリグリしながら言い返す。
「言ってくれるわね!おませブラコン餓鬼!!」
まけじとおでこグリグリしながら押し返す。

すでに2人の波動が増幅されて、部屋中に充満し窓は砕け散り壁にはヒビが入っている。

「誰が餓鬼ですってーーー!!!」「ジャリンコのほうがよかったかしらー!!!」
低い声が交錯し事務所が崩壊が早まる。



シュッ!! 

何かが飛んで来るのが目に入りはじけた様に二人が離れる。

ズバッ!!!

コンマ一秒前まで二人の頭が在った場所を通り過ぎ何かが壁に突き刺さった。


シーーーン


 場を沈黙が支配する。2人が恐る恐る物が飛んでいったほうに目をやると、一振りの包丁が深く突き刺さっていた。まがまがしい妖気を放つそれにはシメザバ丸と銘が入っていた。

タラーーー 

 2人の頬を冷たい物が流れる。飛んできた方を見ると、鼻歌を歌いながら正方形に切ったチョコレートケーキ用のスポンジをお皿に移しているオキヌがいた。

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