ザ・グレート・展開予測ショー

オリジナル(24)


投稿者名:いたけし
投稿日時:(02/ 2/14)

思い出話、第一弾
『ゆかりは凄い』をお送りします
ゆいの師匠探しとは別々にやった方が良かったかな?
まあ、その次はストーリー展開が来るので
個人的に、さっさと進めたかったのさ(爆)
つ〜か、むちゃくちゃ長いです、長すぎると思います
やりすぎた〜


『思い出と師匠探し』


夕暮れ前のある時間、丘を登るふたつの影があった
「順一ぃ、こっちこっち、早く追いで〜」
「まっ、まってよ姉さん」
少年は少女を追いかけて丘を登る
少年の背はまだ小さく小学校低学年くらいのようだ
少年の前には、少年より身長が高くて先に丘の上で待っている少女がいた
「もう、順一は登るの遅いんだから」
少女は丘の上から少年のいるところまで駆けおりると少年と手を優しく握りいっしょに登り始めた
「いっしょに登ってあげる」
「あっ・・ありがとう」
少年は素直にお礼を言うと少女といっしょに丘の登り出した
そして、ふたりは目的地の丘の頂上にある大きな木の前に立った
「わぁ〜、おっきいねぇ、姉さん」
「そうね、おっきいねぇ、順一」
ふたりは自分の身体の何十倍もある木を眺めた
とても大きくて、とても高くて、とてもやさしい・・・
そんな木をふたりは手を繋ぎながら、じっと眺めていた
「この木はね、マナの聖樹って言って二・三百年前からずっとここに立っているんだよ〜」
「すごいねぇ〜、大きいね〜、ずっとぼくたちを見てたんだね〜」
少女と少年はただただ、その木の偉大さに見入っていた


「あ・・・あの〜、順一君、出来る限りでいいんで、手を・・・離さないでくださいね」
「はいはい」
僕は笑顔で答えた
昼休みの屋上、僕は朝霧さんと手を繋いでいた
ラブラブカップルだったら当然の行為だが、残念ながらそう言うのとは違った(本当に残念だけど)
なら、なぜ手を繋いでいるのかと言うと、ついさっき、こういうことがあったらからだ・・・・

キーンコーンカーンコーン
お昼休みを知らせるベルが鳴り授業が終わった
僕は席を立つと朝霧さんの席へ向かい、お昼ごはんをいっしょに食べよう、といつものように誘ったのだ
「いいんですか、いつも私とばっかりで・・・」
「まあまあ、そういうのは言いっこなし、僕が好きで誘ってるんだから、じゃあ行こうか」
「は・・・はいっ」
朝霧さんが席を立つと僕は彼女の手を引いて屋上へと向かった
う〜ん、いまさらながら『手を引く』と言う行為は『手を繋ぐ』と言う行為と同じだなぁ、と考えてしまい、ちょっと恥ずかしくなった
でも、まあ友達だしいいんじゃないかな
そんなことを考えていると前の方からドカドカドカと走ってくる虎吉君を発見した
トイレにでも行ってたのか、手が少し濡れていた
まあ、いまは関係ないや、と思って通り過ぎようとしたところ
ドン・・・・・
「あっ・・・」
「あっ、すまんノー」
虎吉君とすれちがうさいに朝霧さんがぶつかってしまった
朝霧さんはいつものように虎吉君も貧血で倒れてしまうと思い目をつむった、が
「ホントすまんノー、じゃ、ワシはもういくケンノー」
そう言って虎吉君は何事も教室に入っていった
あれっ、倒れなかった?
「朝霧さん」
「な・・なんでしょ」
僕は何か朝霧さんの体質のことで突破口ができたみたいで少し嬉しく思った
朝霧さんのは体質なんだから、僕みたいに朝霧さんの体質に合って彼女に触れられる存在が他にもいるはずだ
その人たちの共通点を探し出せば、きっと朝霧さんの体質の問題もいまより改善されるはずだ
そう思うと僕は自分のことのように嬉しくて仕方なかった
「と言う訳で朝霧さん、きっと虎吉君も僕みたいに朝霧さんの体質に合う人なんだよ、100人が100人朝霧さんに触れて倒れる訳じゃないんだよ、多分」
僕は朝霧さんを説得すると教室へ戻り虎吉君を探した
「朝霧さん、もう一度虎吉君に触ってきて、多分虎吉君は大丈夫なんだろうけど、もう一度、ね」
「あ・・・あの〜、でもどうやって触ってきたら良いのか分からないんですけど」
あまり人と接しなかった朝霧さんには難しいことだったか
でも、このことを糸口にすればきっと良い未来になるはずだ
「う〜んとね、ポンポンと虎吉君を叩いて振り向かせて『さっきはすみませんでした』って言えばいいんじゃないかな」
「や・・・・やってみます」
そういうと朝霧さんは虎吉君に近づき背中をポンポンと叩いた
「あっ・・・・あのっ、さっきはすいませんでした」
「ああ、こっちの前方不注意ですケン、気にしな・・・・・」
ドスンっ・・・・
虎吉君の二メートルを越す巨体が床に崩れ落ちていく
僕は朝霧さんの手を持つと急いで教室から出ていった
虎吉君の体より、いまは朝霧さんの精神の方が大事だ
いつかガラガラガラと崩れ落ちそうで恐かった
虎吉君は朝霧さんの体質に合わなかった、じゃあ何故さっきぶつかった時は虎吉君は大丈夫だったんだ?
解らない、解らないことばかりだ
「あ・・・・あのっ順一君」
迷ってる僕に朝霧さんは声を掛けてきた
彼女の目にはいままでのような涙は無かった
「わかったんです、さっきぶつかった大きな人がどうして最初だけ大丈夫だったのか」
「教えて、どうして大丈夫だったのに、次に触ったら倒れたのか」
僕は自分のことのように彼女に答えを求めた
「あ・・・あなたの・・手を・・・・握ってたから」

・・・・・と言う訳で手を繋いでいる
とは言うものの屋上には僕たち以外ではひとりしかおらず、別に手を繋ぐ必要もないのだが
まあ、この前のこともあるし朝霧さんは念のために繋いでいるのだろう
僕は朝霧さんの手を握りながら屋上を見回す
さっきも言ったように屋上には僕たちの以外ではひとりしかいない
この学校の生徒ではないのか、私服を着ている人だけだ
後ろを向いているのでよく分からないが多分、身長が高いところや髪が短いところを見ると男の人のようだ
私服でなにしに学校に来たんだろう?
「あの〜順一君、手を離してもらってもいいですか」
僕がそんなことを考えていると隣から声が聞こえてきた
「いいけど、なんで?」
「あ・・え〜と、言わないとダメですか」
「ダメって言ったら、あはは」
僕は少し意地悪を言ってみた
「あの〜、え〜と、トイ・・レ」
「あっ、ごめんごめん、失礼なこと聞いちゃって」
朝霧さんの頬がピンク色に染まる
やばいっ、聞いてはいけないことを聞いてしまった
僕が朝霧さんの手を離すと朝霧さんは階段の方へ向かっていった
「ああっ」
その声とともに朝霧さんがつまづく
この学校の屋上は出入り自由だがあまり丁寧に整備されていない、そのため石でできたタイルとタイルの間には溝ができている、朝霧さんはそれにつまづいたのだろう
ってそんなこと考えてないで早く朝霧さんを助けないと
僕以外朝霧さんを支えることが出来ないのだから僕が助けないでどうする
僕は朝霧さんを助けるため走ったが、僕よりも素早く彼女を支えた影を僕は確認した
「大丈夫かい、セリョリータ」
「はっ、・・・・はい、ありがとうございます」
朝霧さんを支える影、それは僕のよく知る人物だった
「しょ翔君、どうして翔君がここに?」
「おっ、順一君、君こそどうしてここに?」
翔君は朝霧さんを立たせると僕に質問し返してきた
私服姿でさっきまで屋上から街を見渡していたのは翔君だったのか
「どうして?って僕はこの学校の生徒、翔君こそどうしてここに?」
「あっそうだったの、だったら僕はラッキーだな〜」
「なんで?」
「んっ、僕もこの学校に通うことになったんだ、で今日はそのためのテスト、もうホント嫌になっちゃうよね」
「そうだね」
ははは、とふたり同時に笑った
なにが面白かったのか分からなかったが笑えた
「あ・・・あの、ふたりは知り合いなんですか?」
横から朝霧さんが僕たちの関係について尋ねてきた
「良くぞ聞いてくれました、まあ強いて言うなら親友ってところかな〜」
「まあ、そんなところだよ、変な出会いがあってね、それ以来の付き合い、ってよくよく考えると僕たちって出会って間もないね、翔君」
というぐあいに、僕と翔君の話が弾んでいると
「あ・・・あの〜、私行ってもいいですか?」
と言ってここから校内にあるトイレへ向かっていった
「彼女、名前なんて言うの?」
翔君が僕に尋ねてきた
「朝霧真さん」
「へぇ〜、なんか彼女に会ったことがあるような気がするんだけど、気のせいかな」
「えっ翔君も、僕も初めて会った時、1度会ったことがあるような気がしてたんだ〜」
「ふ〜ん、不思議な人だね、かわいい人だけどなんかゆいさんみたいなかわいさとは違う感じがして」
「僕にとってはゆいをかわいいと言ってる翔君の方が不思議な人だよ、ってなんで翔君は彼女に触っても倒れないんだ」
いまさらながら、翔君が朝霧さんを支えられたことに気付き、つっこんでみた
「どういうこと?」
僕は翔君に朝霧さんのことを知ってる限り話した
体質のこと・・、その予防策のこと・・・
翔君に話ながら僕は朝霧さんのことを何も知らないんだな〜と思った
でも、翔君もこの学校に通うんだったら、翔君にも友達になって欲しかった
「ふ〜ん、真さんもかなり不幸な境遇だね〜」
「翔君もね、そうだっ!!翔君の転校祝いに僕の知ってる『お気に入りの場所』に連れていってあげるよ、朝霧さんも連れいってさ」
「オーケー」
翔君もこの学校に通うのかぁ
僕は楽しくなるなと思いながら、なんとなく心配ごとが増えたような気がした


つづきまふ

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