ザ・グレート・展開予測ショー

燃え尽きた2月14日


投稿者名:AS
投稿日時:(02/ 2/14)

 
 染めてやる。

 その美形ぶった顔、その目、その視界を。

『今年も例年通りに、鮮烈なるあの色で・・・!』


 場所は変わらず、廃工場。

 しかし・・・そこにいるのは、今はかのバンダナ青年・・・彼一人のみであった。
「お前達が今の今まで、その有り難さを「当然!」だとか「みんなおおげさだよ」とかぬかしてきた事が、どれほど不遜かつ傲慢だったのか・・・」
 彼の脳裏に一瞬、過去の映像がフラッシュバックする。


『止めるな横島君っ!』

 銃口を己の頭に押し付けて、あのロン毛はそうほざいた。

『止めねーよ死ね』

 これは、自分が返した言葉だ。


「ふ、・・・フフフ!」

 昏き情念渦を巻く笑いを添えて。

 彼は何もない虚空を見上げる。

 ・・・否。

 赤い点。

 白い点。

 注意して見なければ気づかぬそれらが、無数に空中に在る。

「一つ、また一つと・・・待つのは我らが『炎』に灼かれる運命のみだともしれずに・・・!」

 その点は、やがて動き出す。赤い点が白い点に到達すると、その白い点か闇の赤に染まり燃え尽きてゆく。

「この日の為用意した、異性に嫌われるあの『チョコ』!しかも今の時間は早朝5時27分!これからまもなく奴らは朝食の時を迎える!そして郵便受けにて『チョコ』を発見してしまった身内にもてはやされつつ、怨敵たる奴らはーー・・・ん?」

 そこで彼は奇妙な事に気がついた。

 黒。

 白い点に向かおうとする赤い点の前に突如、黒点が現れた。

「こ、これは!?」

 萌え尽きていく。

 オンネンのホノオたる赤い点が、黒い点の『黒』に染まり消えてゆく。

「い、一体これは!?」

「残念だったわねーー・・・よ・こ・し・ま・君!?」

 その直後、廃工場で何が起こったかはーー・・・

 とても、言えない。

「おキヌ殿・・・」
「なぁに?シロちゃん?」
「先生達、大丈夫でござろうか?」
「え、う〜ん・・・」
 そこで少女は思い浮かべる。
 みょ〜にうれしそ〜に、『黒チョコ』を持ってお仕置きと称して飛び出した女性の姿を。
「分からないけど・・・きっと横島さんなら復活出来ると思うし・・・早くこのホワイトチョコを完成させよ、ね?」
 人狼の少女は勢いよく頷いた。

 そして、他のホノオ達はーー・・・

「こ、これ受け取ってください!」
 古典的である。
 電柱の陰に隠れた、小柄で愛らしい少女が、こちらの姿を認めるや飛び出してきて嬉しそうに、しかし恥ずかしそうに頬を染めながら、チョコを差し出してくるのだ。
「う、うおおおおお!」
 古典的である。しかし効果的でもあるこの幻覚を見せられて、ホノオは一つ一つ萌えつきてゆく。

 他よりも、一際強く激しく燃え盛っていた二つの炎も。

『一文字さん・・・か、感激ジャアアア!』
『・・・・・・あ、あんがと』

 為す術も無く鎮火された。

 その報告を聞きつけ、彼女は一言。

「妄執から生まれる逆恨みなんて、成就されちゃたまんないのよね、折角一年に一度の日なんだから・・・」

 言いつつバッグをゴソゴソと探る。

 そしてーーーやがて。

「だから!そういう事だからね!・・・それあげるわ」

 彼女は『チョコ』を手渡した。



 なおこの時に屍が見た末期の夢に関しては・・・
「うへへ・・・いいザマじゃ西条、それにピート〜・・・」
 触れないでおいて、この話を終わろうと思う。


 語りーーー人工幽霊壱号。

 協力ーーー屍、もとい横島忠夫。氷室キヌ。



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