ザ・グレート・展開予測ショー

未来から終


投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 2/11)

「うーん!」
 強烈な光で美神が目覚めた。
「え、何?この光」
 やがて、その光が英夫から発せられていることに気づく。
 そして光が治まったとき、英夫の姿が見える。
 そこには普通の人間が立っていた。異様と思えるのは額に開かれた第三の目。そして、頭に生えた竜の角。そして、体から発せられる圧倒的な霊力。
「行くぞ!!ジュダ!!」
 一瞬でジュダの目の前に間合いを詰め蹴り上げる。あっさりとジュダが空を舞う。
「な・・・!!」
 そのまま木に叩きつけられる。勢いでその気が折れた。
「人と魔と神。その三つの相反するチャクラが生み出した奇妙なバランス。その力によって生み出された彼の圧倒的な霊力。普段は両親の封印によってその力を押さえつけているけど、その封印を解いた時彼の本能が覚醒します」
「なら、何故最初からその力を使わなかったの?それだけの力ならノアにでも圧勝できたんじゃ?」
「あの二人の事は他人には解らないでしょう。ヒデはあの力を使えばおそらくノアには勝てるでしょう。でも、彼の望みはそんな事ではなかったはずです。
 おそらく彼は死んでも強制的に同じ存在、最強クラスの存在になるでしょう。でも、彼は先ほどの戦いで自分の死を望んでいた。だから彼はあの力を使いたくなかった。もし万が一ノアを殺すのを恐れたから。
 しかし、彼もバカね。たとえ『魂の牢獄』に囚われているとはいえ、目の前の愛する人を殺したくないために、自らの『今』の死を選ぶなんて」
 そういう美希の表情は笑っていた。もし、ひのめと優子が見たら驚いただろう。

「くそー!!私が、お前とノアのいない世界で、全ての王になるのだ!」
 大きく伸ばされた附爪で切りかかる。「
「馬鹿が!」
 冷たく英夫は言い放ち手に持った霊波刀であっさり爪を砕いた。
「な?」
『しかし、こいつの弱点は精神的な甘さ!!いくら何でもとどめはさせんはず!!』
 しかし予想と反して英夫の攻撃はあっさりジュダの体を貫いた。
「もう、死ね」
 英夫がジュダに手を向ける。
「あばよ!!」
 冷たく言い放ちジュダを跡形も無く吹き飛ばした。

「終わったようですね?」
 美希が精霊石を構える。
「早く封印してくれ。この力は危険すぎる」
「当たり前です。暴走させた神と魔の力を人の心で強引に押さえ込んでいるだけなんですからね。危ない綱渡りですよ。もし、押さえ込むのに失敗したかと思うと」
 光の中、英夫が本の姿に戻る。そして、横島たちのほうを見る。その時、ひのめと優子が目を覚ます。
「帰りますよ。貴方達の時間移動能力が要ります」
「ええ、もう終わったようね」
 優子が精霊石で雷を作り出す。
「じゃあ、英夫。先に帰ってるからね」
 優子がノアを抱え消えていく。
「それじゃあ、私たちも」
 ひのめと美希が消える。
「さてと・・・」
 懐から先ほどの文殊を取り出す。そこには『忘』の文字が刻まれる。
「すいませんが記憶は消させてもらいます。未来を知られては色々面倒ですからね。この結果未来が変わるかもしれませんが、それでもいいでしょう。
 でも、僕は父さんと」
 そして、小竜姫の方を見て、
「母さんがいる未来がいいです。たとえ、僕が過酷な運命の中を進む羽目になろうと」
「これから、どうするんだ?」
「わかりません。未来に帰ってから考えます。でも、たとえ神魔の頂上と戦うことになっても、僕は自分の運命を切り開く。『魂の牢獄』を抜け出す!!」
「君とノアがもう二度と戦わないことを願うよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、未来の俺によろしく」
「はい」
 英夫は文殊を結界に放り投げる。精霊石の増幅作用により横島たちの全ての記憶は奪われる。
「じゃあ、さよなら」
 英夫は未来に帰る為の文殊を放り投げる。
 やがて、そこには?顔のGS面々がいた。
「私達、ここで何してるの?」

「あんたも馬鹿ねえ」
 未来に帰る時空間の中。
「英夫クンをノアから奪いたいなら、何でノアを?」
「わかりません。でも、彼をノアから奪い取る方が面白いじゃないですか?ノアを失った彼の悲しむ姿は見たくないですし」
 そうして少し笑う。
「それに、彼との付き合いは私の方が遥かに長いんですよ。生まれた時からですから」
 その笑顔には普段の冷たさは無かった。

 英夫のこれからの人生と、ノアと美希を交えた三角関係の結末はまた別の話で。
 そして、横島と小竜姫の未来への道も。

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