ザ・グレート・展開予測ショー

未来から10


投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 2/10)

 美神達とジュダの戦いは圧倒的に不利であった。横島が抜けた状況でヒャクメは戦闘力はさほどないため、美神と優子ががんばっているのが現状だ。しかし、ジュダとて粘りを見せるGSにてこづっているのも確かだ。
『横島をルシオラの所へやったのは正解だったな。この戦力にあいつが加わっていたらかなり面倒だった。しかし、こいつらとて、なかなか強い。こちらが負けることはまずないが、このまま粘られて援軍が来ると少々厄介だ。
 仕方がない。あれを使うか』
 ジュダは少し間合いを取る。
「見事だGS諸君。こうなればこちらも全力を出そう!」
と、口の中で呪文のようなものを唱える。
「え?何をするの?」
「ま、まさか!!」
 優子が呟く。
「聞いたことがある。ジュダは死者を蘇らせる能力を持つ。そして、死者の魂のエネルギーを自分の物にすると・・・」
「え?」
「ここは樹海。死者の魂など無限にある」
「え?と、いうことは」
 美神は目の前のジュダの霊力が限りなく増大しているのを感じた。
「行くぞ。人間達よ!!」
 ジュダの霊力はすでに美神たちを飲みこむほどであった。

「ルシオラ。生き返っていたのね?」
 小竜姫が尋ねる。
「一時的だけどね。もうすぐ消えるわ」
「なら、何のために?横島さんとお話でもしたいの?それとも・・・」
「確かに横島には会いたいわ。会って話がしたい。でも、それ以上に・・・」
 そこで膝を突く。
「もう時間がないみたいね。あの二人との戦いで、随分力を使ったから」
と、その時、
「ルシオラ!!」
 横島忠夫が到着した。
「横島、元気そうね」
 ゆっくりと振り向く。
「ルシオラ、俺はずっと後悔していた。あの時、俺はお前を守って、助けてあげれなかった」
「いいのよ、横島。その分アシュ様を倒した。私との約束は果たしてくれた」
「しかし、俺はずっと後悔していた。今もまだ・・・」
「もうやめて、過去を見るのは。大事なのは未来。これからよ」
と、微笑む。
「だから、もう私のことは忘れて。貴方の子供に成るんだから」
「そうだ、何故俺の子供はルシオラじゃなく英夫なんだ?」
「それは・・・」
「チャクラの霊力だだ」
「え?」
 そこには、横島英夫がいた。
「ルシオラが生まれる確立は確かにある。しかし、父さんのチャクラとルシオラのチャクラはほぼ同格ほどにが強くなってしまった。そして、母さんのチャクラも合わさって、本来ルシオラを形成するはずだったチャクラは不安定になり、その結果俺が生まれてしまった。だが、父さんたちは後悔はしていなかった」
「そうか・・・」
 横島は深く頷く。
「しかし、俺はその不安定なチャクラのバランスのおかげでこんな力を手に入れてしまった。今でも、封印をしていないとこの世界ごと吹飛ばしかねない力と、冷酷無比な本能にかられてしまうだろう。俺は、普通に生きたかった。別に父さんのようなGSに成ってでもいい。普通に生きたかった・・・」
と、ルシオラのほうを見る。
「ごめんなさい。私がこの人を助けたばかりに。私は謝りたかったのよ。ジュダに蘇がえさせられた時には驚いたけど、ノアの話を聞いて私はずっと貴方に謝りたかった。許してくれとは言わないわ。ただ、望まぬ力を得た貴方にも幸せになって欲しい。私の分も・・・。貴方は私の生まれ変わりなんだから」
「・・・」
「ノアにも、貴方達は幸せになって欲しい。たとえ、運命が二人を引き裂こうが貴方達二人ならどうにかなる。何しろこの人の息子で、私の魂を・・・」
 そこで、声が消える。
「もういいよ。俺はこの力を確かに恨んだが、このおかげでノアに出会えたんだ。そっちの方が大きい。あんたの言う通り、俺はどうにでも運命を切り開ける」
 そして、
「だから、安らかに。もう一人の母さん・・・」
 ルシオラは少し笑って消えていった。最後に英夫のこれからの道を祈ってか・・・。
「さてと、後はジュダだけか」
と、立ち上がったとき。
「英夫、さっきの話にも出ていたがお前の母親は誰だ?どうやら普通に考えてもよほどおかしい。どうやら、普通の人間ではないようだな?」
と、横島が尋ねる。
「普通どころか人間では・・・」
『ズキュゥゥン!!』
 英夫の声と拳銃の音が重なった。三人は慌ててそちらを見る。そこには西条が拳銃を持って立っていた。そして、反対側には美神たちを抱えたジュダがいた。
「な?!」
 ジュダの姿は異様だった。爪と牙が長く伸び、まるで獣のような姿をしていた。
「こいつらも所詮は私の相手ではなかった」
と、美神たちを放る。
「さあ?次は誰だ?横島忠夫では少しつらいぞ?もう数年後の成長した奴なららわからんがな。小竜姫はその男の治療に力を使いきった様子。英夫はノアとの戦いで満身創痍のはず。これで、私の思うままだ」
「何を!」
 英夫が剣を抜きジュダに飛び掛る。しかし、あっさり弾かれる。
「その程度か?最強の戦士は?」
と、飛び掛る。その時、精霊石が飛んできてジュダを弾き飛ばす。
「美希?」
 ノアに肩を貸し歩いてきていた。
「どうにか助かりました。後は未来に帰ってから地道に治療すれば」
と、膝を突く。
「すいません。どうやら私も戦闘には参加できないようです」
「いや、いい。横島さん、西条さん怪我人を一箇所に集めて下さい。美希、精霊石で結界を」
 やがて、皆が一箇所に集まり美希が精霊石で五望星の結界を張る。
「横島さん。文殊を三つ下さい」
「あ、ああ」
 一つを懐にしまう。そして、文殊二つを両手に持つ。
「美希、やってくれ。もはや、あれしかない。あまり気は進まんが」
「わかったわ」
 精霊石を英夫のほうに投げる。精霊石が英夫の周りを回りだす。
「神と魔の封印よ、解けよ!!」
 硬質ガラスの割れるような音がして、英夫の霊力が上がる。
「横・・父さん見ていて下さい。貴方の息子の母親が誰なのかを・・・」
「え?」
 そして英夫は手を胸の前で十字に重ねる。その手の文殊には『覚』『醒』の二文字が刻まれる。
「見ていて下さい。神々も恐れる彼の最強戦闘形態を!!」
 その美希の呟きの中、英夫は激しい光に包まれる。

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