ザ・グレート・展開予測ショー

未来から9


投稿者名:遊び歌
投稿日時:(02/ 2/ 9)

「ふふふ、どうした?人間達よ?」
 目の前の魔族ジュダは余裕の笑みを浮かべている。
「この程度か?お前達は?」
 肩で息をする面々。
「何?こいつ。結構やるわ」
 美神が立ち上がる。
「死者を蘇らせるだけが能じゃないのね」
「当たり前だ。これでもアシュタロスと同格かそれ以上の上位魔族だぞ?」
と、手を広げる。
「さあ、消し飛べ!!」
 光と共に霊気の弾が無数に飛んでくる。
「く!!」
 横島が文殊で防御する。
「ほう?さすがだな」
と、微笑む。
 その時、横島は遠くの伊達たちの霊気が弱まるのを感じた。
「雪之丞?!」
「始末したか?あいつが・・・」
と、ジュダがその方向を見る。
「く・・・!!」
 横島はジュダの方を見る。それに連れてジュダも横島のほうを見る。
『しかし、こいつの強さは予想外だ。さすがと言うべきか。霊力の強さはともかく、あの文殊は厄介だな。このまま時間を稼がれて、英夫達が駆けつけたら少々面倒だ』
と、考え込む。そして、
『そうだ。面白いことを思いついた』
「横島忠夫」
と、呼びかける。
「お前の強さに免じて、一つ面白いことを教えてやろう」
「何だよ?」
「あの二人を、伊達雪之丞と美神ひのめを倒したのは誰だと思う?」
と、不気味に尋ねる。
「え?何処かであったような気配だったが・・・」
と、横島は考え込む。
「はははは!!」
 ジュダは高笑いをした。
「忘れたのか?かつての自分が愛した者を!」
「ま、まさか・・・」
「そうだ、ルシオラだよ」
「な・・・」
 GS達は絶句した。
「どうだ?会いたくはないのか?私は寛大だ。ルシオラと会うチャンスをやろう。
 言っておくが、ルシオラがこの世に存在できる時間はあとわずかだ。どうする?会いたくはないのか?」
「く・・・」
 横島は美神たちを見た。
「行きなさい。ここは私達で十分よ」
「すんません」
と、横島は駆け出した。そして、視界から消えた頃。
「ふ、馬鹿め!!」
 ジュダが美神たちを見る。
「は!!」
 光の矢を美神に放つ。しかし、それを優子が弾く。
「生憎と、過去とはいえ母さんはやらせないわ!!」
と、構える。
「え?それじゃあ・・・」
 美神たちが戸惑う中、
『ふ、これで邪魔者は消えた。あいつは後でゆっくりと料理するとしよう。まずは、この雑魚どもからだ!!』

「な、何故だ?」
 英夫は血の付いた自分の剣を見つめる。
「何故だ?」
 もう一度問う。英夫にはダメージはない。
「何故、自分から剣に当たったんだ?ノア・・・?」
 ノアは英夫の横に立っている。腹に抱えた大きな傷を抱えたまま。
「貴方と一緒よ・・・」
と、膝を着く。
「貴方の考えは読めた。貴方は結局は非常に成りきれない」
と、英夫の方を見上げる。
「英夫のことだから、わざと自分の攻撃は外し、私の攻撃を喰らうつもりでいたんでしょう?戦場で敵に情けをかけるなんて・・・」
 英夫が屈む。
「僕は、ノアを殺せない」
 すでに殺気は消えうせ、いつもの眠気眼になっている。
「ノアを殺すくらいなら、ノアに殺される方を・・・」
 そこで言葉が詰まる。
「私も同じよ。でも、私の勝ちね。結局、私がやられてるわ」
「ノア・・・」
 英夫がノアの背中に腕を回す。
「戦場では、たとえ誰にでも情けをかけてはいけない、そう教わった。だから僕は、剣を持ったときだけは非情に成ろうとしていた。でも、成れなかった」
と、目を閉じる。
「教えた本人が言うのもなんだけど、貴方は無理よ。根が誰よりも優しすぎる。最後の土壇場で結局は・・・」
 ノアも目を閉じる。
「でも、私も同じね」
 声が弱弱しい。その時、
「どいて下さい」
 美希が英夫に言った。そして、ノアを寝かせ、
「全力でヒーリングをします。もしかしたら助かるかもしれません」
「できるのか?」
「わかりません。完璧に上手く行って一命を取り留める程度でしょう」
と、精霊石を取り出す。
「英夫・・・」
 ノアが声をかける。
「ルシオラさんがいるわ」
「!!」
「会ってあげて。彼女は貴方のことを・・・」
 そこで声が消える。英夫は立ち上がる。
「後は頼んだ。僕は彼女に会って来る」
「会ってどうするんですか?
 恨んでいるんでしょう?望まない力を与えた張本人を?」
「わからない。どうするかはわからないが、会ってみたい」
「わかりました。
 それと、もしジュダと戦うことになったら、あれを・・・使いますか?」
「状況にもよる。その時は、頼む!」
 そして、英夫は駆け出した

 横島忠夫と横島英夫はそれぞれの思いを胸にルシオラの下に急いだ。

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