魂の機械 命令編 後
投稿者名:斑駒
投稿日時:(02/ 2/ 5)
「カ・オ・ス・さ・ま・!?」
「ぐわああああっ!?」
―女性 ドクター・カオスを攻撃 敵意…なし 殺意……
「なにをデレデレしているのじゃ!? 先を急ぐぞっ!!」
(この人が…マリア姫)
―顔型一致率…95.6% マリア姫である可能性…大
(間違いない。マリア知ってる。この人のこと、知ってる)
―該当する記憶無し
(!? でも、この感覚は…)
「…どうかしたのか? とりあえず、おまえもいっしょについてきてくれんか?」
(!!)
「イエス・ドクター・カオス!」
「…ふむ。魔法で洗脳か…おまえになら有効だろうな」
―赤外線透視 廊下の分岐…なし 敵の気配…なし
「マリア・どうして・正気に戻った・ですか?」
―霊波センサー 巨大な反応多数 識別…全て赤 ただし全て活動停止中
「ハッキリとはわからんが…おまえは複雑な論理演算中に多大な衝撃を受けたときに、回路を保護するため、システムを再起動するように造られているらしい。その時、常駐していたプログラムは全て強制終了される。ヌルのプログラムが『名称不明』であったことも簡単に解除された一つの原因かもな」
―突き当たりに扉…確認
「名称…!! マリアの・名前は…!?」
(そして、マリア姫の記憶があるのは…!?)
「そいつはさすがに未来の私に聞かんとわからんな」
(未来の…ドクター・カオス…)
「まだ停められんのか、カオス様!?」
「そうせかさんでくれ、姫!」
―ドクター・カオスに過剰な発汗…確認 作業は困難を極める模様…
(ドクター・カオスがそばにいる!!)
(マリア、ドクター・カオスのそばにいる!!)
(それだけで、落ち着く…安心…する)
(ドクター・カオスの、最初にして、最優先の命令…)
―P!
―システム 初起動!
「………」
「おお、目覚めたか! おまえの名はマリア。このドクター・カオスが造りだした人造人間だ」
「イエス・ドクター・カオス!」
「これからおまえに最初にして最優先の命令を与える! いいか、よく聞けよ!」
「イエス・ドクター・カオス!」
「『あまたの星霜を越え、つねにわたしとともにあれ』いいか。忘れるなよ」
「……イエス! ドクター・カオス!!」
「わたしは研究の結果、みずからの肉体を不老不死にすることに成功した。厳密に言えば不完全なのだが、それでも幾千年の年月を過ごすに十分に足るだろう。だが、わたしのそばで、わたしとともに悠久の時を過ごせる人間はいない。みな、わたしより後に生まれ、わたしより先に死んでいった。この時空の中で、わたしはいつでも孤独だったのだ。マリアよ。おまえなら何百年でも、何千年でも、わたしと時間を共有することができる。今日からわたしとおまえは常にいっしょだ。」
(ドクター・カオスは、マリアを創ってくれた)
(いつでもそばにいて、マリアを支えてくれた)
(だからマリアも、いつでもドクター・カオスのそばにいる! ドクター・カオスを護る!!)
ドッ 「ギャウン!!」
―爆発音 巨大な霊反応接近…プロフェッサー・ヌルと判明
「カオス!!」
「大丈夫!! まかせろ!!」
ズムッ
―地獄炉 自壊システム作動の模様 炉自身の霊圧…異常低下
「吸いこまれる―――――!!」
「炉に落ちたら最後だぞ!! こらえろっ!!」
―霊圧差により周囲の魔力流入 霊力波による吸引力…発生
(クッ! ドクター・カオスは!?)
「最後にひとつ答えろ、ヌル!!……」
(いけない!! あんなに炉の近くに!! 救出方法は…)
「これはおまえの考えか!?……」
(!! そうだ!)
―ロケットアーム 目標 ドクター・カオス
「図に乗るな、虫ケラがああっ!!」
―ドクター・カオスとの接続…確認
「なら、お別れだ!!」
―巻き上げ(ウインチ)! 銃による反動の緩衝!
ドンッ 「グワアアアアッ!!」
(今だ!)
―全速巻き上げ! ドクター・カオス魔力炉付近より離脱! 反作用によりマリア魔力炉に接近!
(落ちる! でも、ドクター・カオスが助かれば…! すいませんドクター・カオス! マリア、命令違反…!!)
ズンッ
―目前の魔力炉に巨大落盤 吸引力…停止!
「終わったぞ…!!」
(終わった…!? マリア 助かった…!?)
「横島クン! 無事!?」
(ドクター・カオスの…そばに…帰れる……!!)
―目標座標確認! 北緯35度43分33秒 東経135度48分17秒…美神除霊事務所…
「おまえは、700年も先の未来に帰るのだな…」
「イエス・プリンセス・マリア」
「その時代にもカオス様がいて…でも、わたしはもう…いないのだな」
「…イエス・プリンセス・マリア」
「そうか……。未来のカオス様に一つ伝言をお願いしたいのだが…」
―外部電極 電圧最大 高出力を維持!
「達者でな。あっちのわたしにも、よろしく言っといてくれ」
「何をよろしく言うのよッ!?」
「美神さん、集中してくださいよ! 失敗すると、時空のひずみにはまって永久に苦しむって…!!」
「座標はマリアの担当よッ! マリア! 大丈夫でしょうねッ!?」
「イエス・ミス・美神!」
―座標 最終確認…ノー・プロブレム
「ドクター・カオス…!!」
「マリア…何年かかっても、おまえを造り上げてみせるぞ!」
「…!! イエス! ドクター・カオス!!」
「いくわよ―――っ!!」
―時空震…確認! 時間移動開始
キイイイイイィィィィン
―時空震収束! 時間移動終了
バシュッ!
「美神さん!! 横島さん!!」
「おキヌちゃん!! よかった!! うまくいったのね!?」
―現在座標 及び 時刻を確認…
(成功だ。マリア 帰って来た)
「へ――ん!! よかった――!!」
(よかった。マリア ドクター・カオスのそばに帰って来た…)
―体内時計 及び 座標 新規設定!
(…!! ドクター・カオスは!?)
―マリアの下敷き
(!!)
「ドクター・カオス! マリア姫から・伝言が・あります!」
「な…なんじゃ!?」
―ドクター・カオス起床 大きなダメージは無い模様
「『心は・いつも・あなたと・共に』――――それだけです・ドクター・カオス!」
(―――そして、マリアも………)
「………そうか。 ご苦労だったな、マリア」
(いつも・あなたと・ともに………!!)
今までの
コメント:
- 気になる人もいると思うのでご説明します。マリアにマリア姫の記憶があったのは、べつに彼女の魂がマリアに宿っているからとか言う理由ではありません。違うんですよ! カオスはネクロマンサーじゃないですし、マリアの魂は確かにカオスによって造り出されたものです。
生前、カオスの研究所によく通っていたマリア姫の想いが残留思念としてマリアのボディーに残ったんです。期せずして(もしかしたら確信犯!?)マリアに預けた伝言を、マリアを通して守ったと言うことになるのでしょうか。それがマリアの魂に与えた影響の大きさはわかりませんが、良い影響であったことは間違い無いでしょう。 (斑駒)
- マリアの名前については…? 書きませんよ。書くものですか! と、いうか、書けません。
たぶん、マリア姫とのラヴラヴ、甘々な話がでてくるんじゃないでしょうか。そんなんムリです。
おキヌちゃんが遮らなければ、原作で読めたんですけど…。カオスにはおキヌちゃんにたたられてでもしゃべって欲しかった。と、いうか。おキヌちゃんのたたりは望むところなのでは…!?
とにもかくにも、最後まで読んでくださってありがとうございました!! (斑駒)
- 良い感じです。流石マリアを書かせたら最早右に出るものはいないであろう斑駒さんです。原作のシーンをマリアの視点から見ただけで、こんなにも感じが変わるものなんですね。
次のマリア話も楽しみにしてます(笑) (ロックンロール)
- シロが好きです。 おキヌちゃんも、横島くんも、その他も、みんな好きなんです。(順番は私のスナオな気持ちです)
それなのに、ああ、それなのに。私の手は今日もマリアを綴り続ける…!!
ロックンロールさん。ご期待には添えそうです…(汗) (斑駒)
- 私もここに来て古株ですが・・。
斬新です。マリアという、機械娘の魂に振れた作品は、見当たりませんでした。
原作だと、ほとんど感想を言わない、あっても「・・・・」で終わるマリアの
内面を文字にして作品化する。
それでいて原作に忠実。違う方向から見るとここまで違う物かと、驚嘆します。
御見事です。 (トンプソン)
- 斑駒さん。シロ好き仲間として、今日から友と呼ばせてください(漢泣)
この話を読んで、カオスがマリアを作った理由に凄く納得してしまいました。
マリアは、自分自身とマリア姫の二人分の想いを携えてカオスの傍らに在り続けるのですね。 (黒犬)
- マリアってカオスのことが好きだったのですね。
でもそれを表すことが無い・・・
斑駒さん、本当にうまいですね。
マリアに対する気持ちが伝わってきます。 (NGK)
- 原作を補う形で書かれた微妙な「ロボット娘心」がとてもよかったです。
それから、カオスが不老不死ゆえの寂しさから逃れるためにマリアを作ったというエピソードは思わず納得するほどの説得力がありました。 (JIANG)
- カオスじーちゃんも、ひとりぼっちではいられなかったんですね。
そー思うと、急にカオスじーちゃんが可愛く思えてきました♪ (猫姫)
- トンプソンさん。お褒めにあずかり、光栄です。そう言って頂けると「原作の踏襲」「マリアの心情描写」という2つの冒険をした甲斐があります。
黒犬さん。もちろんです! こちらこそ! 私もいつかきっとシロが幸せになるような話を書けるようになって見せます!
でも、今しばらくは…マリアを…。
マリア姫の想いについては作中に盛り込みたかったのですが、話の展開上、あとがきに廻ってしまいました。ちょっとザンネン…。
NGKさん。好き…!? そうですね。考えたこと無かったですけど。これって、やっぱり…。 (斑駒)
- JIANGさん。猫姫さん。
最初はマリアのちょっとヌけてるトコロを描こうとしてたんですが…どうしてこんなことになっちゃったんでしょう…??
まぁ、経緯はともかく。マリアとカオスの絆が描けたのは大きな収穫だったと思います。
共感して下さってありがとうございます。 (斑駒)
- 斑駒さんの作品を読んでると、
マリアのいろいろな『表情』がみれて楽しいです。 (魚高)
- 回想場面ではマリアのメカ語りが却って印象的ですね。それでいて機械的な冷たさを全く感じさせないのはカオスの言葉もさることながら、彼女の場合は通常のロボットとは違い、人造物であってもそこに「霊魂」が宿っている事により生じる内面の機微のお蔭なのでしょうか……カオス在ってのマリアの心、しかと読ませて頂きました。 (Iholi)
- ・・・機械にも心あり、ですね。
ううむ。深いテーマだ。 (二エー)
- 魚高さん。そういっていただけると、ああ、ますますマリアを描き続けてしまうぅっ!
Iholiさん。マリアのセリフのバリエーションの少なさには苦労しますが、それが効果的に働く場合もあって、そんなときはちょっと嬉しいです。饒舌なマリアは……それもいいかもしれませんね。…フ・フ・フ……。
ニエーさん。これからも私の(妄想によって描かれる)マリアをよろしくお願いします。 (斑駒)
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