ザ・グレート・展開予測ショー

魂の機械 命令編 中


投稿者名:斑駒
投稿日時:(02/ 2/ 5)

―P!

―システム再起動! 論理演算を再開します!
 (ここは…?)
―鉄格子 鎧姿の…人間?…確認! 地下牢と予測
 (どこかの城の地下だろうか)
―看守の鎧のデザイン照合! 紋章…該当なし デザイン…該当なし 確認不能
 (いったい…?)
―記憶検索…スイス・イタリア国境付近でバッテリー切れ 以降の情報なし
 (そうだ! あれから…)
―体内時計を参照 睡眠時間8時間34分17秒 現在時刻7時56分57秒
 (そういえば、電力は?)
―バッテリー満タン
 (……にしては体が…)
―電磁的拘束により 運動能力97%低下中
 「………」


 カツン カツン カツン
―階段を下る足音 確認! 人数…1人
 「お目覚めかな? 人造人間よ…」
―高い霊波を検出 識別パターン…赤
 (魔族!!)
 「人型をしているのです。しゃべれるのでしょう?」
 (ヘタに話さないほうがいい!)
 「…………」
 「怪しいものではないのですよ。あなたを充電して差し上げたのも私なんですが…」
 「…………」
 「あなたを拘束したのは万が一のときのためです。もしかしたら、あなた、Dr.カオスに造られたんじゃないですか?」
 「ドクター・カオス!!」
 「やはりそうでしたか」
 (しまった)
 「彼とは先ほど交渉決裂しましてね。その場にいた者ともども始末しなければならないのですが…」
 (始末…死? ドクター・カオス!!)
 「尤も、マリア姫だけは、殺さずに、私の嫁になってもらいますがね」
 (マリア…姫!?)
 「そういえば、あなた、姫にそっくりですね」
 (似ている? マリアに?)
 「もしかして、あなたの名前も、マリア…とか?」
 (!!)
 「ほう! すばらしい! 動揺が表情に出るとは! やはり彼は天才ですね! 殺すには惜しい人材でしたが…まあ仕方ない。さて…」
 「…………」
 「このまま破壊してしまってもよいのですが…ふむ。 看守! 下がっていなさい!」

 「名前は個人の識別記号であるとともに、個人の全てを司るものでもあります」
―懐より器械の取出 過去データに照会 …未知の物体
 「古来より、魔法を駆るものは、自らの名前を知られることを畏れました。名前を知られることは、自分の全てを相手に掌握されることだからです。私も人間としての虚偽の名前、プロフェッサー・ヌルを騙っているのですが…」
 (円盤に渦巻き模様…手回し用のハンドル…蓄音機の一種だろうか)
 「簡単な例を挙げると、名前を知っているのと知らないのとでは、魔法の効き目が格段に違うのです」
―ハンドル回転 円盤も同期回転
 (何をするつもりだろう)
 「さて、そこでですが。マリア。この回っている模様をよ〜く見たまえ」
 (いけない…これは…!!)
 「魔法と言うのは意志の力です。霊力や言霊の手を借りたりもしますが、魔力の根本は意志の力なのですよ。そして、それは同時に、意志のあるものはすべからく魔法にかかる可能性があることを意味しています…」
 (体が…クッ…目がそらせない!)
 「ほーれ、ほーれ。マリアよ、おまえの今を形作るあまたの過去をうち捨て、原初の白紙にたちもどるがよい…!!」
 (ドクター…カオス……!!)

 (………)
 「初期化(イニシャライズ)完了のようですね。あとは再刷込(インプリンティング)するだけです」
 

―P!
―システム…初起動
 「………」
 「目覚めましたね? あなたの名前はマリア。このプロフェッサー・ヌルの人造人間です」
 「イエス・プロフェッサー・ヌル!」
 「それでは、あなたに、最初のにして最優先の命令を下します。いいですか? よく聞きなさい」
 「イエス・プロフェッサー・ヌル!」
 「このプロフェッサー・ヌルの前に立ちはだかるもの全てを排除しなさい」
 「イエス・プロフェッサー・ヌル!」
 「…では、まず外壁で侵入者の警戒をしてください。逆らう者は殺して構いません。おっと、リミッターは外しておきましょう。もう、逆らうこともありませんしね…」


―上空に侵入者発見 男一人 女一人 警戒距離まで接近
―威嚇射撃準備! リスト・マシンガン安全装置解除!
 「目標・ロック・オン!!」
―発射!!
 「警告・します!! プロフェッサー・ヌルの・命令により・侵入者・破壊・します!!」
―飛行物体に5発着弾を確認
 「だ―――――――っ!!」
 「!!」
―飛行物体接近 緊急回…
 ドカッ
 「わ―――――――っ!!」
 ズシャッ
―衝突…及び…落下 ダメージ 特に無し

―現状確認…侵入者2名、領内に侵犯
―ロケットアーム発射! 目標…男
 ガッ
 「侵入者・破壊します!!」
 「カオス様を離せっ!!」
―女の攻撃…影響…一切無し
 「どうしてもカオス様を殺すというなら、姫の屍を越えて行けっ!!」
―優先…男 腕力が高いと予測 女は現状では放棄
 「きゃ―――――っ!?」
―………あの女……… 記憶に照会…該当無し
 (確かに見覚えがあるんだけど……。……!?)
―再検索…該当無し 類似事項も無し
 (記憶が…ほとんどない!? でも、知っている。マリア、確かにこの女を知ってる!!)

 (……魂の記憶……!!)

 「無礼者――――っ!!」
 ずばっ  ガンッ
 「ヴッ!?」

―メイン論理回路に重大なショック
―緊急冷却 回路を保護
 ばしゅ――っ
 「システムに異常が発生しました」
―常駐命令 強制終了
 「アプリケーション『名称不明』は予期せず終了しました」
―現在の思考 強制終了
 「タイプ1のエラーが発生しました。メモリが不足しています。リセットしてシステムを再起動して下さい」


―システム 再起動! 論理演算再開!
 「はっ!? マリア・今・何をして・ましたか!?」
―記憶検索…ここ5時間23分25秒間の記憶がありません
 「理解不能……!」
―現状確認…
 「!!」
 (あの人は…)
 「ドクター・カオス!?」
 「ヌルのプログラムが消えたのか!?」
 (そうか。今は1242年!! プロフェッサー・ヌルが殺そうとしていたのは、この時代のドクター・カオス!)
 「ドクター・カオス…!! マリア・会いたかった…!」
 「そ、そうか!? 私はまだおもえの電源をいれとらんが…」
 (よかった。ドクター・カオス。生きてる。そばにいられる)

 (………いつでもそばに………)

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa