ザ・グレート・展開予測ショー

きっかけ(SAID横島)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 2/ 2)

めったにないものを見せられると人はころりといくらしい。

ある冬の寒い夜のことである。
三日三晩はりこんで、おびき出してさらには美神がトドメを指す前に一撃くらった時のことであった。
おきぬ、タマモ、シロは、別の仕事をしていた。
ひゅうと
冬特有の冷たく強い風が吹き荒れるなかである。
美神はなにやら後始末をしており、横島はぐたりと疲労した体を路地裏に横たえ治療していた。
「いつつつつ」
と情けない声をあげつつ横島。
ぼうっと文珠が淡い光を放ちぱりんと割れる。
もちろん―そこにこめられた文字は、『治』
瞬く間に体から傷が消えていく。
まあ、効率はこの上も無く良いのだが侘しい事この上ない。
(おきぬちゃんでもいたらヒーリングで治してくれるのに…)
しみじみとかみ締めるようにひとりごちる横島。
―と、そんな事を考えていると
ぽん
っとあたたかい包みが降ってきた。
「―なんだあ?」
反射的に両手で受けとり横島。
そして視線を上げると、そこには不機嫌そうな美神がいた。
同じような包みを手にもっている。
一応がさがさと中身をさぐってみると、入っているのはこの辺で美味しいと評判のにくまんにホットのお茶そしてカイロなどである。
「これ、俺にですか?」
とまあ自分のほうに渡したのならばそうなのだろうと思うが一応聞き横島。
「じゃ、なかったらわたすわけないでしょーが」
といささか不機嫌そうに美神。
その表情は怒ってるようにも見えるがまあこれは一種の照れ隠しである。
自分デ、こうゆうものを笑顔で渡せないのだ。
意地っ張りといったほうが早いだろうか?
横島も美神のこーゆう不器用なというかまあそーゆう態度にはなれてるのでへらっと笑いありがとーございますと言う。

「いいわよ―それ、時間外手当だから」
というあたりは流石であるが。

(…なんかめずらしいことしてんな)
とは横島の偽らずの本心である。
夜の夜中に、横島と美神が歩きながらならんでお茶とにくまんを食う。
ほんとーならここでがばっと襲いたいところだが、疲労の局地にある体はそれを許してくれない。
くしゃくしゃに包みを丸め横島がごみ箱へ捨てた時
「ありがとう」
という声が聞こえた。
それは、もうぶっきらぼうなそっけない響きの声。
横島は思わず美神のほうを見る。
そこには、冬だというのにその顔はまっかである。
「…さっきの危なかったわ…助かった」
「…え?いや」
あまりの驚きに台詞が棒読みになる。
一瞬、心臓の鼓動が早くなるそしてなぜだかわからないが

―やられた!―
と思ったのだ。
なにかとんでもない事に足をつっこんだきがしたのだ。
それが、横島にとっての全ての始まり。
まだ、気付いても無い気持ち。
まだ、育っても無い感情。
これがこのひが全てのきっかけ

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