ザ・グレート・展開予測ショー

変則トリオ 意見分かれす!!!


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(02/ 1/31)

公園の中央に、メスのコカトリスがいる。
『・・・・・』
異変に気付いている。番の異変に。
だが、動こうとはしない。
もの悲しそうに、そしてこれから来るであろう外敵に備えている。
エミの結界により春の様相。
落ちたコカトリスの前に三人。
辛うじて命は永らえているという状況だ。
「さてと。コイツにゃ残念だけど、逝ってもらう、ワケね」
冷徹さもこの仕事には付き物である事は横島も十分理解しているが。
「悲しいっすよね。こういうの」
ぽつりと漏らした一言も、エミの耳には入らない。
「契約し、黒い魔術師、小笠原エミの名に於いて、異なる在であるコカトリスを暗闇への移送を・・」
横島が知らない呪詛により、オスのコカトリスは姿を薄くしていく。
「黒魔術の魔界移転法じゃな、成る程」
カオスが唸るのも、矢張り珍しい呪術であるからか。
エミの呪言が終わった。
「ふぅ。こんなカンジね。大地も汚さないし。別にサンプルが欲しいワケでもないし」
「そうよの」
カオスが息を吐くようにして言う。
「何故、人間がこの魔鳥には負けつづけていた事は、欲じゃからな」
「欲?」
横島が質問すると、エミが答える。
「コレはね。弱ってタからあまり綺麗じゃないけど。本当はすっごい綺麗な鳥でね」
そうなんすか?と横島。
「まぁ、メスを見れば解るワイ。フェニックスの次に綺麗な鳥じゃて。邪悪なまでの、な」
だからこそ、魔界の馬として重宝する訳でもあるのだ。
「さて、あと一匹なワケね」
1つの仕事が終わった事を意味するのか、手を打つ。
「じゃあ、ラスボス戦、ってワケっすね。行きましょう。エミさん。オッサン」
当然、今までと同じように三人で行くかと思いきや。
「ちょっと待つワケね。ここから先は二人でいって欲しいワケよね」
驚くは二人である。
「な、何じゃと??御主だけ助かろうという腹か!」
カオスが怒りを露にする。
「そうっすよ!コレはエミさんの仕事じゃないっすか、責任はエミさんっすよ?」
次いで横島。
エミは平然として。
「誰も、倒せとは、言ってないワケね。罠をハル積もり、なワケ」
言葉を続ける。
「カオス。番という事は子供・・卵があるワケよね?」
「あぁ、そうじゃろうな」
「なら・・母親であるメスなら、なりふり構わず攻めてくる。これは生物にとって当たり前」
コカトリスも動物であらば、当然の理である。人間にとって害鳥であっても。だ。
春の風が三人を通り過ぎた。
「ならば、テリトリーから離す方法。つまり・・」
「卵をとって来いとな?」
「そう。そして二人は公園の外に出て欲しいワケよ。私の黒魔術、移転法で、ネ」
言い分は正しい。だが危険である。
「既に、脱出場所には、円陣があるから、大丈夫」
用意周到ぶりのエミに横島も感心する。
「・・おぬしの言葉、信用しよう。さて行くぞ。ボウズ」
「あっ、あぁ。オッサン。じゃあ俺達は卵の奪回を」
「そういうワケね。やり方は二人に任せるワケ」
言いながらポケットから二つの石を出す。
「コレに念じれば移動法が出来るワケね、OK?」
やり方は簡単だと説明しながら。
「じゃ、期待してるワケね。ワタシは罠を張りに行くワケね」
やや急ぎ目で闇へと消えた。
「とは、言ってもどうするかのぉ?」
ぶつぶつ何事か考えるカオスに対して、横島は、
「なんか、筋は通ってますけどね。ダマされたようーな」
確かに危険な任務である。
「じゃが・・これしかあるまい。坊主が囮になって」
「ちょ、一寸待ってくれよ!」
当然の抗議であるが。
「ワシは老人じゃぞ?おんしが、大変なパートをやるに決まっておろうが。それにコレが成功せんと、金がでん」
痛いところを付かれたと言った感じか。
「まぁ、ナントカして見ますよ。逃げ足のタダちゃんの本領発揮さ」
対策も甘く二人は更に公園の奥へと向う。
変らずもの悲しそうにいるメスのコカトリスがいた。
「おい、カオス、オッサン!!」
だが、何処にも見当たらない。
「おいおい・・やばいよぉ」
横島一人と、コカトリス、鳥独特の沈んだ瞳と対峙する。
足が震えてくる。
「お、俺の仕事はコイツを飛ばす事・・・石でも投げるか?」
手頃な石を投げつけるが、元が石鳥に、何の効果も無い。
すると。
案ずるより産むが安しとやらで、こちらへ向ってきた。
「しゃっああああああ!!!」
気が立っているので、肉弾攻撃と、急降下でくちばしを使おうとしている。
「うぎゃぁーーーー」
己でも言った通り。見事な逃げ足である。
すると、何処に隠れていたか。カオス。
「これで、卵をとれるぞい!」
と、樹に登る。幸い低い位置に巣があった。
「ひーふーみー、卵三つか。それに羽も貰っておく、か」
物色している最中。母鳥が異変に気付いて巣に戻る。
慌てずカオスエミから貰った石を手に握り締めて。
「石よ、我を導け!」
横島の石も光り始めたと、思ったら公園の外である。
二人の出た場所は、公園の外、横島が結界を担当した外部である。
「どうだったワケ?」
エミも何やら、別の円陣を完成させていた。
「えぇ。大丈夫っすね。で、コレは?」
横島がその円陣に入ろうとすると、エミ。
「御宅!地獄へ行きたくないのなら、離れるワケ!」
慌てて制す。
「地獄?」
まぁ、見てるワケね。この」
カオスから卵を預かって。
「コレ目掛けて来る、ワケよね。これでOK」
解らない部分も有るが、横島は自分の仕事をしてのけた、という褒め言葉を貰った。
数分もせずに。
「来たぞ。母鳥じゃ」
「そう。それじゃあ罠がみつからないよーに、各自戦闘の構えをするワケ!」
言われて横島は霊の剣を出す。
カオスも胸をはだけているが、こちらは外側になるので、冬の気温である。
「さむいぃぃ」
当然である。
コカトリスが横島の結界に三度、体当たりを食らわすと硝子が割れる音がした。
「もうちょっと、持つかと思ったケド。これじゃあいい結界使いににゃなれないワケね!」
エミの書いた円陣に着地する形になる。同時にエミの呪詛。
すると。
「あっ!アスファルトなのに、沈んで行く!」
「見事な呪詛じゃなぁ、地獄へ通づる穴を召喚する円陣じゃな」
再三カオスの頷き。
「成る程。これなら死ぬ訳じゃないし。元々魔界の鳥だし」
恨めしそうな表情を残しつつ。コカトリスは沈んで行く。
穴が小さく、空気抵抗が出来ないので、精々ばたついて飛ぶ程度だ。
カオスがコカトリスの顔面に胸から霊波動を送る。
気絶したのか、そのまま地獄へ送りこまれた。
「ふぅ」
横を見ると、疲れきったエミがいた。
「そうか。こういう方法もあるのか」
横島が一言。
「ん?御宅なにか言って?」
コホンと、咳払いして。
「えぇ、今回の仕事、学ぶ事が多かったっす。結果的に破壊された事も少なくて」
更に、霊力を殆ど使わなかった事や、比較的危険が少なかった事に感動とまではいかないが、神妙に考える事が多い。
だが。
「そう?これがワタシ、何時ものやり方なワケよね。リスク回避もプロの一つなワケね」
カオスは残った卵をどうするか、一人考えている。
「はは。美神さんとだと、何のかんのでタイマン方っすからね。今度参考にしてみます」
だが。
「そういってくれると嬉しいケド。御宅等はオタク等の方法がある訳ね。そのスタンスを崩して良い結果が出るか」
可能性は低いと。
「まぁー、明日、魔鈴に頼んで石化を解いてもらうワケね。さてと、二人とも、事務所へ」
その場即金で30%づつ、支払われた金額は莫大な物であったが。
カオスは家賃全額に加え多めに払った事と、かの卵を所持していた事が魔法物所持法違反法に触れた。
「・・・・。結局殆ど残らんかったな、坊ズはどうじゃろうかのぉ」
割合のんびりとしていた。
その坊主は。
「横島君・・。あんたエミに私がおたふくだって、言ったんだって?」
そのペナルティーという名目で没収されたとか。
だが、
「ふっ。それでも1割を残してくれるのが、美神さんの優しさだよな・・・」
心底から美神の奴隷である事を再確認出来るが。
「そんな事よりも、勝手に大仕事に出た事に腹がたつんでしょうね」
とは、タマモ一人の意見である。

-FIN-

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