ザ・グレート・展開予測ショー

For me,For YOU(3)


投稿者名:ニコのり。
投稿日時:(02/ 1/20)

***For me,For YOU(3)***
 夜。
「おかえり」
 平常心を保ちつつ、仕事帰りの横島を迎えた。
「疲れたー」
 と、床に倒れこむ横島を見ていると、やはり横島の心中が気になって仕方がなかった。
 何度も真実を聞こうと思い、そしてやめる。
 怖い。
 夕ご飯を食べている間、二人に会話はなかった。
 横島はずっとテレビを見ている。
 そんな横島を見つめる美神。
「あ、肩大丈夫ッスか?」
 突然自分のほうを向いたので、美神の顔はとっさに真っ赤になった。
「う…動かすと痛いけどべつに大したことは…」
「そうッスか」
 安心したように、そっと美神の左肩に触れる。
「…俺、美神さんのこと愛してますから」
 何を突然?と、美神は顔をしかめる。
 でも、その言葉に恐怖を感じた。
 …別れの言葉。
 美神の頭にはそうよぎった。
 そして、その予感はきっと的中する―――――…。

 早朝。
 横島が突然ベッドを出た。
 そして、スーツに着替え始める。
 さすがにその物音に気づき、美神は目を覚ました。
 どきどきと高鳴っていく心臓。
 そして、大きなスーツケースを抱えて、寝室を出て行く横島。
 美神も慌てて寝室を飛び出した。
「…どこ、いくの?」
 背後で美神の声がして、驚く横島。
 おそるおそる振り向く。
「…あ…あの…ちょっとアメリカまで…」
顔は冷や汗だらだらである。
「…待たないからね」
 ぼそっと、つぶやく美神。
「え?」
「…あんたのことなんて待たないから」
「そ…そんな、2ヵ月くらい…」
「死んじゃうかもしれない男を2ヵ月も待ってるほど馬鹿じゃないもの!」
 強気なはずの美神の目には大粒の涙が浮かんでいた。
 横島は美神の涙を見つめ、
「肩、ちゃんと治してくださいね」
 そう言い残して、静かに家を出た。
 美神はその場にしばらくの間、ずーっと立っていた。
 必死で涙をこらえ、立っているしか、できなかった。
―――――いかないで…。
 その一言を、どうして言わなかったのか後悔をする。
 でもきっと、止めたって横島は一人で行ってしまったに違いない。
 そっと目を閉じて、こらえていたはずの涙を流れるままにした。
******つづく******
多分次で終わりです…。

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