ザ・グレート・展開予測ショー

八年後物語


投稿者名:NGK
投稿日時:(02/ 1/15)

第一話:想い

病院
「西条君ごめんなさいね、本当は私が行くはずなのに・・・」
「先生、気にしないで下さい。じっくりと体を休めてください」
「でも、パリへ行ったら最低五年は帰って来れないのよ。
一時的には帰ってこれるかもしれないけど・・・令子のことはどうするの?」
「・・・出発が決まったら一緒に来てくれるように言ってみます。
どんな結果になるか分かりませんが・・・」
西条は意を決した表情を見せた。
それは、美神美智恵が今までに見た西条の顔の中で一番かっこよかった。
「(でもね、西条君。もう遅いかもしれないわよ・・・)」
西条が部屋から出て行くのを見ながら美智恵はそう思った。
そのとき、 ごほっ と咳をした。
ごほっ ごほっ 
口に手を押さえた。
赤い色の液体が指の間から流れ出る。
「・・・せめてこの物語の結末だけは見たいけど・・・」
手をハンカチで拭いながら美智恵はそう思わずにはいられなかった。

「これを私に・・・?」
喫茶店に二人の女性の姿がある。
おキヌと弓かおりである。
「そう。これで横島さんをデートに誘いなさいよ」
「これで横島さんを・・・」
おキヌはチケットを握り締めながら呟いた。
 高級ホテル無料宿泊券 と書いてある。
「それでムードを出して告白すればあの男の事だから上手くいくわよ。
なんなら既成事実をつくるのも・・・」
「弓さん!」
おキヌは顔を真っ赤にしながら弓をしかった。
だけど、内心では・・・
「本当はあんな男はやめてたほしいけど・・・」
おキヌには聞こえないように ぼそ っと呟いた後
弓はじゃあねといって去って行った。
「これで横島さんと・・・」
恋人になれる。そしてふたりは・・・
「きゃーーーーどうしましょう!!」
じー
はっ
おキヌはこそこそと出て行った・・・

「だからさぁ、人前であんまり火を出すなよ・・・な?」
「えーーーいやーどうしても・・・?」
側には消し炭になったゴキブリの姿が。
「・・・あのな、周囲の迷惑も考えろよ・・・」
よく見ると横島の体がすす汚れている。
幸いにして人災はなかったものの、事務所の壁は消し炭のように黒くなっている。
「これを掃除するのは俺なんだぞ・・・」
「えへへ・・・」
ひのめは頭を掻いた。
「とりあえず、掃除用具を取ってくるか・・・」
「せんせーーー!!」
ばん!!
「これから隊長のお見舞いに・・・あれ?先生は・・・?」
「いつまでたってもベタベタねのね・・・」
「ほっとけ・・・」
ドアと壁の間にはさまれた横島はさながらサンドイッチの具のようであった。

「ねぇ・・・ママ・・・ホントに大丈夫なの?」
「何言っているの令子?あなた同伴で医者の診察受けたじゃない」
「うん・・・そうだけど」
「それより令子・・・」
「え?」
「あなた、どっちか決めたの?」
美智恵が浮かべたのは意地悪の笑み。
「西条君は昔の憧れの人だし、横島君は同じ職場の"可愛い"部下だもんねー」
「え、え、え・・・」
顔を真っ赤にしてうろたえる令子。
「あなた・・・もう、いいかげんに決めなさい!
いい年して・・・ウブな少女時代はもう卒業しなさいよね!」
ふぅ
「じゃ、じゃあ、わ、わたしそろそろ行くわね!また後から来るから!じゃー」

令子が病院から出るのを病室の窓から見送ったあと美智恵の表情は一変した。
「う!うぅ・・・」
痛みがひどい。
娘とは一時間話したばかりなのに。
「もう限界か・・・」
一日もつのか。
病室に備えてあるブザーを押した。
ほどなく医者がやって来る。
「ふふ、もう少し生きるつもりだったのにね・・・」
美智恵の意識は・・・

「ええ、そうです。はい。今行きます。」
がちゃ
「いよいよか・・・」
美神公彦は空を見上げた。
「美智恵・・・これで僕は完全に父親失格だな・・・」
それでも君の意思を尊重したい。
公彦は少し目をつぶったあと、電話を手にとった。
「・・・私だ。・・・ああ、車を出してくれ。内密にだ。行き先は・・・」
公彦の顔はどこか暗かった。


次回予告
「うそよ・・・ね?ママ・・・あ、あのときも本当は死んでなかったじゃない・・・
ねぇ、うそだと言ってよママ・・・ママー!!」
母の死に錯乱する令子。
「令子・・・そこから出ていけ」
無表情に言い放つ鉄仮面。
次回 「八年後物語」 第二話:意志
お楽しみに!

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