ザ・グレート・展開予測ショー

がんばれおキヌちゃん! 全国除霊道派選手権!!!(その11)


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(02/ 1/15)

のっけから読者妄想サービスコーナー!


キヌは震える手で、袴の裾へ手を伸ばす。
   !?
?!
シュルリと、袴の紐をゆっくり引っ張りながら解いてゆく。
指先が紐先からすらりと外れると、緩くなって紐が地へ音も立てずに揺れて落ちる。
ロッカーに紐が当たっても音はせず、重力圏のサークルを描いて手前へ。
袴の柄部分にキヌは震える手をまわすと、屈みながら両手で袴を掴み当てて手を下ろしていくと、袴が脱がされていく。

横島さんから受け取った、10回戦用の衣装。
赤装束だ。

今度は胴衣も一気にガバッと剥いで袴と一緒にテーブルに置く。
きゃわいい薄緑色の自然っぽいパンティと、胸にはサラシ。
無論、ブラなど使用していない。
引き締める意味もあって、もっとさらしをキツ目にする。

赤装束を手に取ると、少しばかり振るって匂いをかぐ。
懐かしい感じがする。
304年前に着ていたあの頃と、同じ香り。
導師さま・・・・・・・・・
高嶋導師さま・・・・・・
思い出すだけで、懐かしい香りがよみがえる。
もとは、導師が編んでくれた着物。

304年前のあの頃。
女華姫様がいながら「俺に惚れろ!」と口説き落としてくれたあの頃。
あたしが・・・・

懐かしむのも束の間、
『それでは、最終戦、第10回戦開始まで5分です。
 小山内ユリ子選手、氷室キヌ選手はお早めにリング前にお集まり下さい。
 繰り返します、第10回戦開始予定まで5分です・・・・』
と、アナウンスが入る。

ユリ子?
どっかで聞き覚えある名前ですね・・・・。

ふと疑問を抱きながら、赤装束に着替える。
304年前、導師に付きっきりで治療中だったけど。
でも、高嶋導師はにっこりと笑って安心させてくれた。
その導師の編んでくれた赤装束。
それが、横島さんの代々伝わる家系の秘宝として今まで残っていたこと。

思い出すのは今度にして、今は着替えることに集中したかった。
けれど、着れない。
装束を持っている手が揺れて、足から嵌ろうとしても、手元がゆれて足を嵌めていくことができない。

「・・・手伝おうか?」

ロッカーの中から声が聞こえる。
いつもなら、また着替えを覗いていたんですね・・・とばかりに張り手をかますところだけど、
今回のおキヌの口から出た言葉は違った。

「・・・あの、出てきていいですよ・・・・・・。」
「あああの、いいんっスか!?」

別にびっくりしている訳でもないが、横島にはたじろいが見えた。
まさか、おキヌちゃんが怒っているのを堪えた笑い顔でもなく、真剣なまなざしでこっちを見る。
別に気があるとか、そういうものでもなく、ただ切羽詰っている様子。

「あたしに、この装束を着させてくださいます?」
「え?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

横島の『神経回路停止モード』が、いつもより数倍長くかかった。
おキヌちゃんが、この俺に「装束が着れないから手伝って」などと言うのは生涯初めてであった。
横島にとっては、生後17年生きてきてよかったようでバナナの涙を流している。
しかも背後で、何故かニャンギラスが『バナナの涙』をカヴァーして歌っている。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

      ☆            ☆            ☆

「有難う御座います、横島さん・・・・・・!」

おキヌは横島に着替えさせてもらっている。
この装束を着るのは、304年ぶり。
しかも、あの時の高嶋導師と横島の二枚目な素顔が重なる。

「そういえば、あの頃も俺の何代か前の人間がやっていたんだよなぁ。」

胸元にキャタピラー・・・もとい、帷子が来たあたりで、そっと耳へ囁く横島。
キヌは、じっとして最後まで閉めてもらうまで動きそうがない。
しかもよく見ると、キヌの方がブルブルと僅かばかりに震わされているのだ。

「・・・緊張してるのか、キヌ」
「えっ・・・・・・?」

今、キヌと呼び捨てにされたように気がして思わず聞き返した。
幻聴じゃない。
耳元まで余韻が残るばかりか・・・・
喉を通して心臓まで声が拡張されるかのように響き渡る。

ドクドク

一瞬、唾を飲んだとたん、胸元の鼓動が激しくなる。

ドグドグドグ!

肩の揺れとともに、尚一層シンクロしたかのように体全体が揺れる。

「・・・・緊張なんかしてないですっ!」

思わずキヌは怒鳴ったように言ってしまった。
その言葉が聞こえた途端に、ドアがどあああん!と洒落ではなく本気でそう音を立てて開いた。
開いた先には・・・・・

「よ゙ー、ごー、じー、ま゙ぁ゙ーーーーー!!!」

と、美神の怒りに怒った、それはもう目を鋭い逆三角形にまで眼を尖らせた顔がある。
その美神は、ヅカヅカヅカと横島の元へハイヒールの先を砕けそうになるまでハッキリと踏みつけながら近寄る。
そして横島は襟元を掴まれるなり、窓の方へ向かって思いっきり投げ飛ばされ・・・・・・
窓がバリンと威勢良く割れて横島は空かなたへ飛んでいき、宇宙空間に一人放られて行った。
このあと、横島は何分息が持つだろうか?

      ☆            ☆            ☆

そしてリング上。

『ではこれより、第10回戦を開始したいと思います。
 まずは、赤コーナー・総合使用霊力42マイト、小山内ユリ子選手ですーー。』

盛大な拍手が送られる中、ユリ子は上にあがる。
しかしそればかりか、黄色い声や口笛を吹くものもいる。
ささやきリポーターは、プロフィール資料を手に、読み上げる。

『小山内ユリ子選手は、現在、新生白龍会に所属しています。
 美神令子の手によって死神から助けられ、以来、この体を使って手術代を出した母に恩を返すため
 竜神の纏わる白龍会へ入門して腕と体を磨いていたのです!』

「白龍会!!??!!」

美神は驚く。
メドーサにやられたまま消滅したと思い込んでいた門派。
聞いていたハヌマンは頷いてハンカチを片手に涙を流している。

『うう、ええ話じゃのう・・・』
「そうですか?」

横島大樹は、ハヌマンの横でドッシリと背から腰掛けている。
そして両手をだらりと肘掛へ伸ばしながらも、けろりと顔色変えずに聞いている。
メガネの中から見える大樹の瞳は一瞬きらりと輝いて顔をニマリとさせる。
その視線は、百合子・・・いや、ユリ子の腰元のようだ。

「しかしハヌマンよお。
 白竜会って、お前んとこの小竜姫の旦那が再建させたとこだろ?」
『うむまぁ、そうじゃな。』

適当に話をあわせると、どこでそんな情報を仕入れたんじゃとばかりに心で思っていた。
しかし、ハヌマンと対応に付き合っている大樹といい・・・・・・!

『続いて、氷室キヌ選手の紹介です・・・』

これにキヌは反応してキリリと顔を引き締めてファイティングな顔を見せるつもり・・・
だったのに・・・・・・

『これについては、読者の方が知っていることですので、省略しましょう!』

というささやきリポーターにつられてズルリとリング上でコケてしまっていた。
『では――――――――』
と、リポーターのナレーションがゴングを鳴らせようとしたところで次回へ続く。




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