地獄裁判 その7
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(02/ 1/14)
現世では、カオスがオキヌちゃんの体を維持すべく懇親の努力をしていたが、
「ふむ。この様子だとしばらくは安泰のようじゃな」
珈琲も飲み飽きたと言ってトイレへと向う。
眠気覚ましに顔を洗う。当然、鏡が目の前に有る。
「ふむ。ちと髭がのびたかのぉ」
突然、
『ここが、被告、氷室キヌが住む家の鏡か・・・わっ!』
地獄側では、裁判が始まっていた。
木槌をたたいた閻魔王である。
「では、『真実の鏡』を使い、裁判を行なおう、さて美神とやら」
「なんでしょうか?」
「御主の家の住所をおしえてくれ」
その住所を元に電話の要領で鏡を使った所、爺のドアップであるからたまらない。
『じ、寿命が縮むかと思ったぞ!』
とは、冥界は十王の一人、初江王が大仰に驚いている。
「それはこっちの台詞じゃ!なんじゃ?中国被れの爺が!」
『何をいうか!そちらこそ、出来損ないのバンパイアではないか!』
「何を!」
『なんの!?』
えーかげんにしなさい!と伍官王の激が飛んだ後、
「ほぅ。どうやら、氷室キヌが関係者が殆ど集まっているようだな。重畳」
と、閻魔王が言った。
さて、
大広間、ピートや六道女学園のメンバーが集まっている部屋に鏡を持ってくよう指示し、
「さて、休憩は終いだ。裁判を続けよう」
裁判官、閻魔が言う。
「先ず主らとコンタクトを取ったのは、この氷室キヌなる被告の、所業を聞きたい」
更に言葉を続けようとした節はあったが、
「そんなのなぁ!きまってるじゃねーか!返せよ!おっさん!」
と、先陣を切ったのは一文字魔理である。
「こらっ。まかりにも閻魔王になんたる言葉で!、ですが閻魔王様私も同感ですわ」
こちらは弓かおり。
「オキヌちゃんは、わっしらの大切な仲間ですケーの」
今度はタイガー。
更にピート、雪之丞も口々にオキヌちゃんの事言うが、
『閻魔王!この供述何もなるまい!ただ返して欲しいの一天張り!』
と、泰広王。
『近親者、しかも若いとなれば、当然の要求。なれどこのような戯言、聴くに価値無し!』
正論ではあるが、生の冒涜ともとりかねない。
当然、生きている者に文句の顔が現われるが、
「それは、今まで発言した者はまだ子供ゆえの事、御許しを、王方よ」
丁寧にお辞儀をしたの、美智恵隊長である。だが、
『む?御主は・・、久しいな。天界の達しの女子(おなご)か、なら解っていよう』
地獄側でのルールとして、美智恵隊長には生死に関わる裁判に口を出せないとなっている。
「なら、私から謝ります。はい。神父職の唐巣と申します。先の通り、いままで発言した物は・・」
唐巣の発言なら了承を得られる、といった処か。
「被告氷室キヌの生死で御座いますが、私はあえて「死」をもって裁く意義が解りません」
唐巣神父の言葉か続く。
「彼女が、被告が特殊な方法で有れ生き帰ったは事実ですが」
と、オキヌちゃんの体を指して、
「この体は元来彼女の物、損傷もなければ、「器」の問題はないと、思います」
『否、今は器の問題では無い』
と、十王の一人、都市王が口を開く。
『古来より、幾許かの例でたとい、体が朽ちても「寿命」の問題から新しい肉体を用意した事もあった』
左様、と五動転輪王。
『それでも『器』が有るのとなのでは大きな違いじゃがそれは判決の後決める事よ』
「それじゃ〜〜〜さぁ〜〜〜、何が決め手〜〜〜なのぉ〜〜〜?」
おっとりとした口調、六道冥子である。
「それに、あの子もかの事件の時、まかりなりにも神様から仕事を託されたワケよね」
エミは、今までの行動から無罪を主張する方法に出る。
閻魔王が答える。
『決め手は被告の性格。更にかの事件では既に閻魔庁も便宜をはかった。解るな』
誰とも無く隊長を見る。
「性格なら!オキヌちゃは、とってもよか、妹だったっぺよ!」
と、早苗ちゃんが思わず口を開く。
『ほぉ。なら何故に別々に暮す?』
「それは、私の義娘、キヌはその幽霊に狙われ易い体質であって」
義理のおとうさんにあたる、神主さんが正直に言う。
『ほれ、見たことか!強引に生をやったが故、箍があるではないか!閻魔王、われらが仕事は!』
『魂の浄化及び、正常なる生を生み出すが我等が指名・・か』
今度は地獄にいる美神、更に加えて目玉の親父が、
「ちょっと待ってよ!私達霊能力者は多かれ少なかれ『霊』に付けねらわれやすいわ!」
「そうおもいますぞ。閻魔王。更に防霊の術は人間がよくしっているはず」
と、口を合わせる。
《私は・・》
今度は人口幽霊1号が口を開く。
《Ms オキヌが戻ってきてくださった時、本当に嬉しかったです。せめて病気や、怪我なら諦めもつくでしょうが》
「こんな理不尽な無くし方、納得出来ないのよ!」
最早金切り声である。
不意にオキヌちゃんの体が崩れる。
『む?どうした』
「すいません、裁判員様、わたし・・うれしくて・・つい」
被告は発言を控えるように、と倶生神(閻魔王の秘書)が慌てるが、
『よい、発言させよ』
と、閻魔王。
「わたしも、解っていました。生きてちゃいけないって。死ぬのが恐かった・・でも!」
きっと、裁判員を見据えて、
「ですが、こんなに私を心配してくれる人がいるなんて、私・・私!」
あるしゅの勇気と言えるが、目玉の親父が慌てる。
「待つんじゃ!オキヌさん、それまでにするのじゃ!」
だが、この発言で、王方の気持ちが逸れた時、
裁判所の中央から天界から光がさし込める。
【御待ち下さい!閻魔王様!】
『あの、光は!よもや『神』の一族が!』
どよめきの中、その光から降りてきたのは・・。
「ヒャクメさん!」
「おひさー、美神さん。最初にいっとくは、御免ね」
「は?」
「まぁ、いいわ。閻魔王、この裁判に一言申したいという者を連れてきました」
良く見ると、光の筋から一人の霊が降り立った。
[俺は・・名前はいいです。ただ言える事はこの女の人に助けてもらった・・]
その霊は何故かバイクライダーの格好をしていた。
[俺は呪縛霊になる寸前だった。だが、彼女にあって、肉体を奪い取ろうとしたがよ]
それは見事に失敗どころか、ちゃんと生死のけじめまでつけてくれた、と報告する。
次いでヒャクメ。
「被告、オキヌの能力はネクロマンサーに留まりません。現世でさまよう霊を沈める事が出来るのは・・」
こほんと、咳払い。
「彼女をおいて、数人です。氷室キヌの能力。現世において必要不可欠です」
『かなりの理論である』
閻魔王を始め、かなりの王方が納得しかかった頃、
「告発、閻魔庁のミスだろ?こいつが三途の川にいたぜ」
声色が年寄くさいその発言は、
「マーロウ!」
「よぉ。お嬢ちゃん。なんとか勝ったぜ、あのおいろけ婆にな」
と、裁判所に入ってきたのは横島である。肩には気絶したメドゥーサが。
「こいつは・・最悪の地獄から逃げて来って、言ってたぞ?」
三途の川での決闘を書くまでもなかろう。
若い横島のスタミナが最後に物言った。
文珠をつかえばこそ。そしてヒャクメが、
「この悪魔を手玉にとる男が近くにいれば、問題はないはずです。閻魔王」
御辞儀をした。
中央には判決を決める蝋燭がある。
全部灯っている。
『判決は出た。被告は無罪!』
どっと現世、裁判所の一部でも歓声が上がる。
『但し、元被告の能力は早いうちに後世に伝える義務がある。つまりは・・』
閻魔王が、息を吐いて、
『20歳までに子供を一人、更に24歳までに・・・』
つまり早いうちから結婚しろと言っているのだ。
今は無罪を勝ち取った事に喜びをかみ締めている。
『さて、美神とやら、おぬし等を現世に戻す。そうじゃな。霊界機関車で戻るが良い』
すい、と閻魔王、手を挙げると音も無く機関車がやってくる。
誰とも無しに人工幽霊1号を見る。
《はてさて、メーテル様が二人で御座いますな》
人工幽霊1号、洒落を知っているようだ。
今までの
コメント:
- だが、この判決には、一つの決定事項が出されたも当然であった。
それはオキヌちゃん、一八歳の時、
「じゃあ、美神さん俺はコレで・・」
春、卒業式のシーズンと共に、この事務所から二人の男女が消えた。
「そういう事だったのね。ヒャクメ、最初にあやまるって」
この予想、美神はしていた。結婚を義務になったオキヌちゃんが横島以外の男を選ぶ事は無いと。
桜が舞っている。
「幸せにするのよ」
「はい」
横島は出口に向うと後姿になる。すると、こらえきれなかったのだろう。
「美神さん・・・」
「ゴメン、でもちょっとだけ、ほんのちょっとだけ」
うしろから抱きついてきた。更に桜は舞う。 (トンプソン)
- 数分後、どちらとなく手を離した二人であった。
すると、屋根裏から一人、勝手口から一人、狐と老人が現われる。
「よく我慢したのぉ。美神の」
カオスがグラスをもってやってくる。
「カオス・・」
次いでタマモが、
「さっ、呑みましょ、せめてこのぐらいはしないと」
目頭をおさえる美神。
「あは。私はザルよ。このぐらいじゃ酔えないわ」
首を振るタマモ。
「ううん。失恋した時だけ、酔えるのよ。女ってそういう体に出来てるんだから、ね」
「あぁ、ワシも失恋の痛みはしっておる」
三人の酒盛り、やはり美神が一番最初に、涙と共に陥落した。
FIN (トンプソン)
- あとがき、
いやー、半分忘れかけてたけど、おわらせましたよ。裁判シリーズ。
(私としては)長丁場になってしまいましたわ。
さて、残るはラプラスの旦那に時代劇(-.-)かぁ・・。
終わらせなきゃな。大学生活までに(笑) (トンプソン)
- すっかりストーリー忘れてたので
1から読み直しました (ペス)
- 良いですねぇ……地獄の裁判風景。……そしてバイクの幽霊……か。
救い、救われる……
いつもながら、トンプソンさん、良い仕事してますね〜…… (ロックンロール)
- 改めておキヌちゃんの人望の厚さに感服しました。
おキヌちゃんって、こんなにも多くの人に愛されてるんですね。しかも人間以外にも。
彼女にはこれからも、より多くの人を救ってほしいですね。 (ねずみの尻尾)
- 結局、助かるべきひとが助かり、幸せになるべきひとが幸せになった、という事ですね。
・・・・・・美神はちょっと気の毒だけど。 (黒犬)
- ↑僕には瞬殺されたメドーサさんが一番気の毒でした。
僕もちょいと遡ってきました(その一は過去ベストその 26-53 に在るぞ!)。
最後の「早い内に後世に〜」云々は一寸蛇足っぽいかな? その前のヒャクメの一言だけでも何とかなりそうな気も……と云うかこ〜ゆ〜オチは予想していなかったのでもうビックリ(笑)。あと、人工幽霊が……はは。
ともあれ、連載お疲れ様でした。他のも頑張って下され(加油!)。 (Iholi)
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