ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(20)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(02/ 1/13)

★前回までのあらすじ★
 小竜姫の依頼で天龍童子たちと一緒にデジャブーランドに行ってきた美神たちだったが
小竜姫たちの本当の目的は横島を調べることだった……!?
 調査の結果、出た答えは、なんと横島の体内あるはずのルシオラの魂の消滅であった。
 そんなことになっているとは、露ほども知らない横島たちのもとに、数日後グレートマ
ザー横島百合子が再び来襲!
 すったもんだのあげく一週間だけ、母親についてナルニアに行くことになった横島だった。
 そのころ妙神山では小竜姫たちと新たなルシオラ復活方法の話を終えたべスパはジークフリードと共にある場所を訪ねていた。
 それは、ナルニアのジャングル奥地で研究生活を送る美神令子の父、美神公彦のもとであった。
 彼女は、何をさせるために公彦を訪れたのだろうか。彼はルシオラ復活にどんな関わりを持っているのだろうか!?
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君がいるだけで(20)

「汚いところですが、どうぞ」
 そう言いながら、公彦は研究室兼住居の小屋の中にベスパたちを招き入れた。
 確かに、小屋の中は組み立てられた木材がむき出しになっていて、薄汚れた印象を受け
たが、実際にはちゃんと掃除はしているらしく目立ったところにほこりやゴミなどはなく、
本や書類は本棚あるいは机の上に整理して置かれていて、ここに住んでいる者の几帳面さ
がうかがえた。
 残念ながら彼のこの几帳面さは彼の長女には遺伝されなかったらしく、助手の少女がい
なければ彼女の仕事場は一日で書類やゴミなどで足の踏み場もないくらいなってしまうの
であったのだが…。
 そんな事は知らない、知っていたとしても別に何の感想も持っていないであろうベスパ
は小屋にはいると早速話を切りだした。
「教授、あんたのその特殊な能力を使って調べてもらいたいのは、こいつなんだ」
 ベスパはずっと大事に持っていた箱を丈夫さだけが取り柄だというような木の机に置き、
その中身を公彦に見せた。
 そこに入っていたのは、一匹の蛍であった。
 公彦は手渡された箱からその蛍を取り出すと手のひらに乗せ観察しはじめた。
「これは……、蛍ですね。でも普通とは少し違うようですね。見て下さい、蛍というのは
どの種類も普通お尻の所に発光器があってそこが光るのですが、この蛍は体全体が淡く光
っています。それに蛍はこんな明るい内から光るものではなく、夜になって辺りが真っ暗
闇になってから光を…求愛活動のための光を発するものなのです。そうそう、夜でも回り
に強い光があると自分の光がうち消されてしまうので、そういう場所でも光を発しませ
ん。」
 公彦は研究者や学者たちの間でよく見られるように自分の分野の事である昆虫の生態
(ここでは蛍のだが)を得意そうに説明する。
 それをジークフリードはいちいち肯いて「なるほど…」などとつぶやきながら公彦の説
明を聞いている。
 ベスパはと言うと公彦の説明が蛍の幼虫時代の生体を説明しだしたところで、いらだた
しげに拳を握りしめて机を叩いた。
「教授! 蛍の生態の事はこの際関係ないんだ。いい加減にこちらの話をすすめさせても
らえないかね。少尉、あんたも教授の説明を真剣に聞いてないで本来の目的を思い出しな
よ。私らは教授の生徒じゃあないんだから」
「あっ……」
 ジークフリードはうっかりしていたというような顔をして呻き、同じように気まずい思
いをしているだろう公彦の顔を盗み見たが、ちょうど角度的に仮面に隠れて表情は見て取
れなかった。
 しかしベスパからは公彦の表情は見て取れた。その表情は、かすかだが目が笑っている
ようであった。そしてベスパと目が合うと横でうなだれているジークフリートをちらりと
おかしそうに見てから軽く頭を下げたのであった。
 ベスパはその一部始終を見て溜息を吐いた。
「教授……。すまないけど、もう横道にそれるのは勘弁しておくれよ。こっちは一応、私
の姉さんの運命がかかっているんだ。今度ふざけたまねをしたら承知しないよ」
言外にジークフリートをからかって遊ぶのはやめてくれとベスパは言っているのだ。
 しかし、鈍感なジークはベスパの公彦への言葉のつよさに、
「おい、教授はただ蛍の生態を話してくれただけじゃないか。まあ、こちらの目的とは少
し横道にそれてしまったが、それほど強く言うことじゃあないぞ。それに昆虫学者として
この蛍(ルシオラ)に興味を持つのはごくあたりまえのことだ。教授が我を忘れて観察し
はじめてもおかしく無いじゃないか」
とまじめくさってベスパに言い聞かせるが、ベスパはうんざりした様子で肩をすくめて見
せた。
「ふん…少尉、本当にそう思っているんじゃないだろうね?」
「なんだ…? それはどういう意味だ」
「あのねえ……。なんで私たちはこんなナルニアのジャングルの奥地まで足を伸ばして、
この教授に会いに来たんだい?」
「なにを寝ぼけたことを言っている。この霊波片の蛍にルシオラの情報がどれだけ集めら
れているか、教授のテレパシー能力で調べて…あっ………!」
 ジークフリードはやっとあることに気がつき、顔が真っ赤になる。
「ようやく気がついたのかい。そうだよ、教授は私たちがどういう目的で何のためにここ
に来たのか全て解っているし、この蛍がどんなものかだってちゃんと心得ているんだよ。
だからこの蛍の観察や生態の講義なんかをする必要はなかったんだよ」
「じゃ…じゃあ、教授ははじめから全て解っていて………。も、もしかして、からかわれ
ていた……?」
 彼が恐る恐る公彦を見ると申し訳なさそうな、それでいて楽しんでいる様子が仮面の奥
から見える目と口元から見て取れると、言葉を失い落ち込でしまった。
「少尉には少し気の毒なことをしてしまったかな?」
 一応、小屋の隅で小さくなって落ち込んでいるシークフリードを気にしているようだ。
「気にすることはないよ。情報士官のくせに単純な性格をしているのが悪いんだ。しかし
あんた、はじめはまじめで陰気そうな人に見えたんだが、どうも違うみたいだねえ」
「そうですか? この前日本に一時帰国したときにも友人の神父にも言われたんですが、
この5年間、こんな辺鄙なところに妻と二人だけで過ごしたせいで多少彼女の非常識さが
うつったのかもしれませんね。まあ、昔はたしかに陰気でしたけどね」
「なるほど……、確かにあんたの奥さんは非常識と言っていいかもねえ」
 そういいながら、彼女が思い浮かべたのは、空母の電力を霊力に変換したとはいえ、一
人で移動要塞逆天号に立ち向かい自分たちと互角以上の戦いをして見せた彼の妻、美智恵
のそれこそ非常識な戦いぶりであった。
 ふとベスパは、――もしかしたら今、私は教授にのろけられたのだろうか――そんな想
いを抱きながら、魔族二人を目の前にして仮面の下から穏やかに笑みを浮かべる公彦をも
う一度見直してみたのだった。

*** つづく ***

 やべー、前回の投稿から一ヶ月も経っているよ(汗)
 しかも、未だに核心部分に到達していない。
 ちょっと公彦やジークで遊びすぎたかなあ。
 次回こそは公彦さんの能力を使ってあんなことやこんなことをしてやるーーー!

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