ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(蜘蛛)


投稿者名:AS
投稿日時:(02/ 1/10)




 ー終曲ー



 呼吸も荒くなり、鍛えてあるとはいえ全力疾走をここまで続けるのは、流石に辛いーーー

 胸中でそう独りごちてから、神父は未だ全容の見えぬこの事件について、現時点で解ってる事を脳裏に浮かべはじめた。

 事の起こりは・・・一週間程度前。

 そう。横島君が・・・あの不幸ランキングにおいては、食料難にあえぎ苦しむ人々にすら迫る勢いの、そんな彼を襲った新たな災難から始まった。

 霊力によって輝く銀色、いや元々は灰色の髪の男。
 能力は風を操り、刃と為して斬り裂く。ただその能力も発展途上の最中に生まれたものらしく、美神美智恵君(現在は魂を奪われ眠りについている)にさえも『完全にその力を使いこなした時
の彼の実力は読めない』らしい。
 それほどの高いポテンシャルを持っている。そんな危険な可能性を我々が不在中の日本に残しておくわけにはいかない。
 そう判断し、我々は彼をこのイタリアの地にまで、監視の意味を込めて連れてきたわけなのだがーー・・・

 話がそれた。戻そう。

 突然に空から舞いおりて、横島君を狙った銀髪の男。
 彼は主命により、横島君を捕らえにやって来たらしい。
 当然抵抗した横島君の話では、その時は彼一人でも何とかなるくらいの力量であったらしいが・・・しかし横島君は闘いの最中、見知らぬ漆黒の悪魔の罠にかかり、不覚にも、一時は捕らえられてしまったらしい。

 漆黒の悪魔。

 機上にて、横島君の口からこの言葉が漏れた時の美神君に美智恵君、そしてエミ君とタイガー君の様子は、私やピート君が見るに明らかにおかしかったのだが・・・?

 またも話がそれた。戻そう。

 捕らわれた横島君の救出に、既にこの事態を予見していた節のある美智恵君は、一人の女性を紹介してくれた。
 陸奥季綾。それが彼女の名前だ。
 彼女の能力。
 謎めいた力だが、過去が視えるという事だろう。しかし空港ではいつもの如く直接的な行動に出た横島君を、どういう理屈か床にめり込ませているのだし、やはり謎めいている。
 ともあれ、近い将来は床にめり込む『彼』を、陸奥季君が能力を使って撮った写真に写っていた銀髪の男から救出すべく、美神君達は出発した。
 そして。美神君とピート君、それにタイガー君は銀神の彼とビルの屋上にて遭遇し、そのまま戦闘に入る。
 魔装術。そして確実な成長を見せた銀髪の男を、美神君達は三人で結束して、何とか戦闘不能に追い込んだ。(その直後、三人揃って気を失ったところを、小竜姫様に回収された)
 そうして得たものは・・・横島君は既に何物かによって、銀髪の男から救出されており、無事だという事実。
 そして・・・ここイタリアに、今回の黒幕が居るという事。
 銀髪の男の身体に、あるいは精神に潜りこんでいた『黒幕』との対話。そして美智恵君が阻止した、妖毒を用いての罠。
 黒幕は何故か、アシュタロスを先人と称して、その手口を模倣する事を好む。そして我々がここに来る事を、窮地に陥ったイタリアGメン達と同じに望んでいた・・・

 !?

「まさか・・・いや、そんなバカな・・・」

 立ち止まった神父は、ある『可能性』に気がついた。

「もしそうだとしたら・・・まずい。我々はこの異国の地において、完全に孤立してるという事に・・・」

 不吉な予感に顔色を失った神父が、そう呟いた瞬間。

「何!?あ、あの方角は・・・!」

 光のーーー柱。
 神父が向かっていた方角から、つまり仲間がいる筈の場所辺りから、天にまでも届きかねない程の巨大な光の柱が幾つも出現し、やがてーーー消滅した。

「ぐ・・・はぁっ!!!」
 何が起きたのか、解らない。
 ただ。
 空港の時と同じく、突如として空間を渡り、眼前へと現れた一人の女・・・確かデナリウス、そう呼ばれていた女の全身から激しき光がこちらの目を焼いたのだけは解っている。
 その瞬間のデナリウスは、まるで光輝く蜘蛛の様だった。
 しかし。
 しかしその脚は獲物を捕らえる為のモノでは無く、獲物を完膚なきまでに撃ち滅ぼすモノといえた。
『抵抗する力とその意志、及び危険性の除去に成功』
 感情の無い、抑揚の無い声。
 必死に身を起こそうともがく。手足に力が入らない。
 虚勢だ。圧倒的な力の差、次元の違いを見せつけられて、自分はそれを認めたくないが故にあがいてるだけにすぎない。
「魔鈴君!冥子・・・く・・・ん・・・」
 薄れていく意識の中で、二人の女性の安否を気遣いながら。

「・・・・・・」

 西条は力尽きた。



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