ザ・グレート・展開予測ショー

音色(後編そのニ)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 1/10)

―従わせるべき音色。

ひやりとした笛の感触が唇に、重なる。
指が音を、霊力―そうちからを紡がされるために動く。
目に映るのは、ひとりの救われない魂。
もがいているこころ。
―おきぬの五感いや、六感全てがそこに集中する。
―全てが研ぎ澄まされる
その姿は美しく、そして儚い。
ピリィィィィィィィィ
この手の楽器にしては少しばかり甲高い―音。
それは、外に出た瞬間音から、霊力へと変換される
死霊を従わさせる力。
多大なる、強制をもつ力へと。

音が出た瞬間
びくりとその魂が震える。
『な…ん…あ…ああ…』
その魂の発する言葉もただただしく先程までは文章として理解できた言葉は徐々に意味のないものへと変化している。
それは、もうない体で、自分を抱きしめ魂で自分を守ろうとするように見えた。
まるで夜を恐れる小さな子供のように。
声が聞こえる
いや、それを声と呼んでいいのだろうか?
思い、思念、同調、わからない
だが、それを表現するなら声と呼ぶのが相応しいのだろう
その声はいう。
―もう、ここにいてはいけない、と。
それはとても正しい言葉、
―自分のいる場所はここではない、と。
それは、もうわかっていたこと
―おかえり、と。
―自分の居る場所に、居るべき場所へと。
ひどく強引で、優しい。
自分の存在をもっていきそうなほど強いのに、哀しいほど優しい
そんな思いで。

それはとても魅惑的な思いであった。
ここにいてはいけないことは知っている。
ここにいても、大好きなひとを苦しめるだけということも。
多分、この思いは―音色は連れて行ってくれるだろういるべき場所へと。
だがそれを、もとある場所へと帰りたいと願うのとは別に強い強い感情が
魂をつきうごかす。
それは、ここにいる原因。
生への執着、死への恐怖。苦しさからの逃避、そしてなにより
―大切なものをおいていく悔恨。
『嫌だあああああああああああああああああああああっっ』
絶叫。
びりびりと空気が揺れる。
物が荒れ狂う。
くるしい
くるしい
声が聞こえる
泣き声が聞こえる
くるしませないという契約なのに。
何よりくるしませたくなんかないのに
こんなに苦しめている
自分の力がたりないせいで―

わかるのに苦しませている
この、目の前の存在が大切に思うものが手にとるようにわかるのに。
ただ、この存在は太陽の光を浴びて走って
いろんな事にないて笑って―いつも自分のために頑張ってくれた両親を
治ったよといい自分の力で笑顔にしたかったのだ。
それだけなのだ。
それは普通と呼ばれる生活をしている人間からしてみれば、他愛無い、平凡な事かもしれない。
幸せと呼ぶに相応しくないものかもしれない。
だが、この存在にとってそれは、まぎれもなく『幸福』だったのだ。
生涯のほとんどを、チューブに繋がれた存在にとって。
病院という場所から出るのを許されない存在にとって。
―そこにいきている幸せ―
おきぬは知っていた。
その尊さを。
朝めをこすりながら起きることを起きられる幸せを
―目の覚めることのないだろうと思われる眠りについたことがあるから。
ご飯を仲間と家族と食べれる幸せを
―ひもじく、食べる事に困ったこともあった
学校にいけることを、友人と穏やかに過ごせる事を、心配してもらえることを
―学校になどいけなかった。

全てが、尊いことを。
つづく
…どうしよーペスさんのコネタの絡めるネタがない(反省)←反省点が違います

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