ザ・グレート・展開予測ショー

こくはく(白状ともいふ)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/ 1/ 8)

注これは、誤解と繋がってます。

バレンタインというものがあるならば当然―ホワイトディというものもある。
三月十四日。
横島は事務所でお茶をひとりすすっていた。
しんとしずまりかえった事務所にずっと茶をすする音が聞こえる。
窓からはいるやわらかい光に煩くない程度の小さな、音。そして茶をすすりつつ座っている従業員
柔らかい日常の一場面といったところだろうか?
だが、横島の、従業員の表情だけが異質だった。
眉間には皺がよりその表情も、真剣そのものだ。
「どうすりゃいいんだ」
零れた言葉は弱弱しいというよりも
―困惑しているといったほうがいいだろうか?
そう、横島は悩んでいたのだ。
そりゃもう日本海溝より深く、下手をすればつっきって海底火山というものにぶちあたるほどに(いや、実際ぶちあたったわけではないが)。
悩みの種はいわずもがな
(明日なにやりゃいいんじゃ)
と、いうことである。

二月十四日。バレンタイン当日
横島は美神に、チョコレートをもらった。
『あの』美神がだ。
例え自分が欲しいといったからだとしても、自分にくれたのだ。
もちろん辛うじて、(というか一応というか)恋人どうしなのだ。
くれないほうがおかしいだろう。
だが、それでも横島は嬉しかったのだその上手作りだったのだ
不精者で一銭の得にもならないと理解しておきながら、わざわざ自分の為につくってくれたのだっ!!
これが嬉しくないわけがない。
…たとえ、高価とはいえ怪しげな毒がはいっていようとも…
…たとえ、その後三日間仕事にいえないほどの腹痛に苦しんだとしても…
ふとその時の苦しみを思い出し横島は遠く見つめる
「よく死ななかったなあ俺…」
しみじみと、実感のこもった言葉で横島。
…そーじゃなくて
とぶんぶんと明後日の方へ流れそうになる思考を元に戻す。
(何をやりゃいいんじゃっつーのて事だよ)

はっきし言って横島は貧乏である。
仕事の量は増えたがいまだ時給制だし。
生活するだけでぎりぎりなのだ。(一人暮らしというものは結構金がかかる)
そんなぎりぎりの生活を送っている自分に
美神は極上の笑顔で
「お返し楽しみにしてるわよ」
とのたまわったのだ。
自分の経済状況は誰よりもわかっているだろーに…
それを踏まえての言葉…涙がちょちょぎれそーだ。
物を渡すにしても、彼女はどーゆうものが喜ぶのかなんてわからない。
いや、金塊でもわたしゃ喜ぶのだろーが…それもどーかと
第一そんなん渡せる金もないのだが…

そんなことを考えているうちに当日。
三月十四日になったわけである。
だが、しかし何を渡すか未だ決まってない。だからこうして悩んでいるわけでもあるのだが。
いっその事俺の愛をうけとってくださいーなどと叫びつつ裸でとびかかっても良いかも知れない…まあその場合は、裏拳でもくらっておしまいだろう。
うーん
と、一人でころころ表情をかえつつ悩んでいると

「何ひとり百面相してんの?」

突然声が降ってきた。
もちろん、美神である。
「をあっ!!」
おもいっきし不意をつかれた形になる横島はびくっと体を震わせる。
悩みの種がいきなり目の前にきたらだれでも驚くだろう。
手にもっていたお茶をこぼさなかったのは不幸中の幸いだろうか?
「な、なななななんすかもう!!」
どくどくどくどくと煩い心臓を自覚しつつ横島。
「…なによその反応は…」
いささか呆れたように、美神。
「いや、その、すんませんちょっと美神さんの事考えたんですんで―」
いきなり現れたんでびっくりしましたと横島。
「私のこと?」
なんだろう?と首をかしげ美神。
ちなみに今日がホワイトデーということをきっぱし忘れている。
ついでに自分が言った言葉も
「だから、今日のことですよ?」
ホワイトデーでしょーが。
なんか渡そうと思ったんですけどとうとうなにも思いつかなかったんです。
といってぽりぽりと情けなさ層に頭をかきつつ横島。
「…ああ、そういえば」
はたと美神。
「んで、なに渡していいかおれには分からないんですよ」
だから、美神さん、なんか欲しいものあります?
と横島。
内心なに要求されんだろーと思いつつ聞く。
そうねえと顎に手をあてしばらく考え込み
「今日一日只はたらき」
と彼女はのたわまった
「え?それだけ?ですか?」
ほおけたように横島
もっとものすごい要求をされると思ってみれば…
なあに?ほかになんかつけて欲しいの?と美神。
「いえ、んなことはないんですけどっ」
ぶんぶんと顔を左右にふり横島。
だが、そんな横島をみやり美神は口元をいたずらっぽく歪ませ
「それと告白」
と言った。
バレンタインは女が告白すんのよホワイトデーは男がしてもいいでしょうが。
ごもっともである。
だが、バレンタインの時美神は結局チョコレートを渡しただけだしクリスマスの時も自分がいったような…
いや、まあ前日に言われたからいいんだが。
「告白…ですか?」
「そお」
それはまた面とむかって言いにくいことを。
横島は心の中でひとりごちる。
でも、まあホワイトデーだし
一年に一回だしなあ…
横島はふうとため息をつき
「好きです」
といった。
美神は満足げに笑う。
「髪も、声も、顔も、心も、体も、言葉も、力も、全部」
好きです。
好きです。
好きです。
何度も、何度も繰り返し
言葉にした。

おわり

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