ザ・グレート・展開予測ショー

GO! GO! YOUNG!(V)――夜は更け明日になる――


投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(02/ 1/ 3)

「ひィィィィィィィィ!?」
 迫り来る悪霊。
「よおし! 出番だ、明飛!」
「絶対に殺されるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
 何かもう最早何も聞こえないし、何も見えない。視界の端に、ちゃっかりと少し離れた所に退避している雪之丞の姿が見える。
「メイフェ〜イ! 破魔札は荷物に入ってるぞぉ。頑張れ〜」
 声援が聞こえたりもする。
「くっそ〜っ!! 辞めてやる! 生き延びたらこんなとこ辞めてやるぅぅぅぅぅっ!!」
 必死で右に身体を投げ出す。
『このアパートは……このアパートは……俺のもの……うふふふふふふふふふふ』
 悪霊(地縛霊)が、何か狂った事を狂い気味にのたまっているが、気にしてはいられない。死に物狂いで、暴れる悪霊から逃げつづける。
「伊達サァァァァァァンッ! こんなのボクにどーしろと言うんですかぁぁぁぁっ!」
「明飛ぃぃぃぃっ!! 破魔札でも吸引札でも、何でもいいから使ってとっとと終わらせちまえよ!!」
 やはり遠くから雪之丞の声。何か、少し苛立っている様子ではある。
「そんなこと言ったってぇぇぇぇぇぇっ!」
 叫びつづけたので、いい加減のどが痛くなってくる。唾液を飲み込むと、微かに血の味がした。のどが破けているらしい。
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 それでも叫んでしまう。のどに走る激痛などに関わらず、身体が悲鳴をあげることを全力で要求してくる。
『俺のアパートは世界一ィィィィィィィッ! いずれはチェーン店を世界に千件持つ、超巨大アパートへとぉぉぉぉぉぉぉ!!』
「何じゃそりゃ―――――っ!?」
 その辺の石ころを投げつけてくる悪霊から距離を取りながら、叫び返す。……ついでに、近くに居るであろう雪之丞を、視線だけで探す。
 居た。明飛の向かい側で、何やらイライラと足を鳴らしている。
「明飛っ!! 何やってんだ! そんなの一発殴りゃ終わりだろーが!」
「ボクは霊能力者じゃありません!!」
 取り合えず叫び返す。そして、背負っていた超巨大リュックサック(山男が背負っていそうなシロモノ。雪之丞曰く、オリジナルの4分の3らしい)から破魔札を数枚取り出す。
「くっそー…… こーなりゃヤケだ! おいコラ! そこのオッサン!!」
『オーナーと呼べぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』
「うるさいっ!! こちとらあんたの所為で散々割に合わない目を見てきたんだよチクショーッ!! こーなりゃ手加減なんぞしたらんからな!! 覚悟せいやヴォケェェェェ!!」
「おお! 明飛、お前何か一皮むけた感じだな!」
 遠くから声が聞こえるが、気にしない。破魔札(一千万円――今回の仕事に持ってきた一番高価なもの)を構える。
「極楽へ逝ってこい!! 悪霊がぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 そして、悪霊に……叩きつける! というより殴りつける! ……恨みとか、恐怖とか、不条理とか、まぁいろいろな物を込めて。
『ギャ――――――――――――ッ!!』
「嗚嗚嗚嗚嗚あああああぁぁぁぁぁッ!? そ・それは一番高い破魔札じゃ…………」
 何かもう、そんな言葉もお空の向こうに聞こえる。
「…………勝った」
 そう、全てが、お空の向こうへ――――
「…………これで、生きられるぅ……」
 明飛の意識は、迅速に夜空へ霧散していった……


「ったく、たいしたタマだぜ。こいつも……」
 雪之丞は、失神した明飛を背負って夜道を歩いていた。
(ま、初めてでこれは上出来かな?)
 赤字金額については…………今更考える事でもない。……というよりも考えない方が良いだろう。精神的な健康上。
「済まなかったな……明飛」
 そう言いながらも、自然と顔が綻ぶのを感じてしまう。助手が自立するのを見ることは、自分にとっても嬉しい事だ。明飛には才能もあるだろう。
(……ひょっとしたら)
 コイツは自分や、あるいは横島をも越える使い手になるかもしれない。……いや、してみせる。自分が教える以上は。
「やれやれ…………まーた面倒くさいことが増えやがった」
 そう言いながらも表情は明るく。
 雪之丞は、月の出た夜道を歩いていった。
                                 ――The End――

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