Metal heart――カレのココロ――
投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(02/ 1/ 1)
彼はそこにただ居る。厳然として居る。……しかし、誰も彼の事を気に停める者は居なかった。だが、居る。
しかし、今は違う。彼にとっては良い事である。自らを気に停めてくれる者が居るということは。
だから彼は考える。不完全な論理体系(ロジック)により、一所懸命考える。その者の為に尽くす事を。
現在時刻、1月1日 0:00。新たな年が始まった。
そして、2時間。
誰も彼もが寝静まったそこで、彼だけが独り考える。これまでの経験から推測される、明朝の行動について考える。
彼の尽くすべき人物が、先程行っていた行動、言動。全てをチェックした上で、考える。
自らのとるべき行動。そして、自らのすべき事。その様な事について、考える。
現在時刻、1月1日 4:00。与えられた時間は、残り少ない。
自らの翌朝の行動と、それによって得られるだろうその者たちの反応をシュミレートする。必要なこととは思えないが、それによって得られる情報は、この先必要になる。
新年の始まりというものは、特別な時だ。自分にとっての価値は変わらないものの、その者たちにとってはそれは特別な時に相違ない。ならば自分の価値基準もそれに合わせなければならない。
故に考える。先程から論理演算に回していた思考をフル活用して、考える。考えながら、考える。
いつもと違うのならば、自分もいつもとは違った行動をとらなければならない。それがどのような行動であるのかは、過去の情報から推測する。
過去、彼の主たるその者たちは、新年においてどのような行動をとっていたか。そして、それに対する他の者の反応は。また、それを行った場合の自らの次に取るべき行動は。過去の情報の蓄積は、逐一それを検証し、反証し、そして結論を彼に与える。
もう夜明けが近い。現在時刻、1月1日 5:50。昨夜得た情報によると、彼の主たる者は、初日を見る為に夜明け前に起床するはずだ。例年の情報からすると異常な事ではあるが、矛盾に満ちた主にとってはそれほど驚愕するに値することではない。
だから考える。最低限の思考の為に残しておいた情報回路(メモリィ)も全て考える事にまわして考える。考える事で、考える。
自らの普段とっている行動。主たちの普段とっている行動。そして、自分の情報の中にある、自分が見聞した全ての情報。
それらを全てこのことにつぎ込む。そして、考える。過去の情報を総合して、考える。
そして、
総合した過去の情報から、一片の『言葉の欠片(トピック)』が浮かび上がってくる。
すぐさま反証。そして、結論。この情報は、正しい。
美神令子は、ぼやけた思考に活を入れつつ、寝室から這い出した。早く着替えなければ、横島が居る事務所内で着替える事になってしまう。それはぞっとしないので無理にでも起きなければならない。
「おキヌちゃ〜ん……おはよ……あれ?」
リビングには誰も居ない。珍しい事に、自分が事務所で最も早く起きてしまったらしい。
その折、
事務所内に、いや、美神の耳に声が響いた。無機的な声が。
『あけましておめでとうございます。美神オーナー』
今までの
コメント:
- 皆さん、あけましておめでとうございます!
本当は昨夜のうちにあげたかったのですが、余りにも眠くて挫絶したのでいまごろあげます。
書いてみたかったんですよね。キカイのココロ。 (ロックンロール)
- グッドです
ビクトリア朝時代編(←素直に<GSホームズ極楽大作戦!!>と言え!)
をほーふつと・・
ラストは壁に突っ込んだ直後のあいさつみたいだし、
<人工知能の限界>の事とか<ひらめき>の困難さとかも・・
−
あ、あけましておめでとうございます
なんだかんだ言って結局今日の夜帰ってきちゃった♪ (ペス)
- 凄くいいと思います。まさか新年のお話にこうくるとは思ってなかったので驚きました。
その後の美神さんの言葉を想像すると微笑ましいですね。(^^)
あけましておめでとうございます♪ (眠り猫)
- お二方、コメントありがとうございます!!
ペスさん江
そーです。初めはマリアを書こうと思ってたんですよ。それが何故人口幽霊になったのかは……私にも分かりません。……なんでだろ?
眠り猫さん江
その後の美神さんの言葉はご想像にお任せします(笑)
ああっ(汗)! 新年からこのよーな辛気臭いお話ですみませんっ(滝汗)!! (ロックンロール)
- こうして少しずつ「造られしもの」は人の感情に近づき、いつか人の隣に並び立つものとなって行くのですね。 (黒犬)
- 黒犬さん、コメントありがとうございます。
『造られしモノ』というのは、この世界観では人間とあまり変わらない論理体系を持ってたりもしますけどね(汗)……
やっぱり、被造物にも悩みはあるし、痛みもある。
そんな事を思う、最近です。 (ロックンロール)
- うむむ、僕らが普段使っている電化製品にも「心」があるのなら、こんな感じで生活しているのだろうか?……と思わせてくれる一本ですね。普段僕らが電脳以上に複雑な思考過程を意識せずに自ら活動を行っている点を考えると、このお話の彼は「幽霊」と呼ぶにはややローテク気味な気もしますけど、まあそこら辺も人工物らしさたる愛嬌と云う処でしょうかね。 (Iholi)
- お、Iholiさんのコメントが来てる。どーもです〜♪
人工幽霊は難しいっすね! 書き込めば書き込むほど自分で矛盾が見つかるってのは……いやはや、精進しなければ……
と・ゆーわけで、人工幽霊の感情が希薄に見えるのは勘弁してやってください……うぅ。
(ロックンロール)
- …!! 驚きました。ロックンロールさんも被造物のココロを描いていらっしゃったとは!
それも当初の予定がマリア…! 何だかお株を奪ってしまったみたいですいません。
私の形式とは違って厳密で論理的な思考手順に、魂の願いとの葛藤が感じられて良かったです。私もいつかこんな感じでマリアを描いてみたい…。
非常に遅ればせながら、コメントを送らせていただきました。 (斑駒)
- 斑駒さん、丁寧なコメントありがとうございます。
いえいえ、斑駒さんの書くマリアは凄いですよ。私など及びもつかないレベルのメタル・ハートです。お株を奪ったなんてとんでもありませんよ(笑) (ロックンロール)
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