ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(素顔)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/12/27)




 ー終曲ー



 何かが砕けた。

 一筋のヒビが入り、次の瞬間、ゴーグルは割れた。
 露になる、その顔。そして深い紺色の瞳。
 ーーー呼吸が停まる。
 そう錯覚を起こしてしまう程の、強い衝撃。
 その目、その鼻、その口。
 そして。そのーーー顔。
「ちょ・・・!横島君!?」
 合体の後、その身体の主導権を握っていた美神が狼狽する。
「すんませんーーー!」
 答えも聞かずにただ一方的に・・・言葉のみ押し付ける。
 次の瞬間、二人は入れ替わった。そして横島がーー黒衣の下から現れた、髪や瞳と同じ色の、その細い身体のラインがハッキリと解るスーツを着込んだーー女性と向き合う。
「ル・・・」
 感じた事。胸に浮かんだたった一つの名前。
 無意識に口から流れ出る、『彼女』の名前。

「ルシオラ!」

 セステルティウスはそれが何の事か解らないといった風に、ただ首を傾げた。


 まさに妙策というべきか。
 はたまたお得意の反則技というべきなのか。
 ともかく美神の閃きは、相手の光撃をほぼ無効化した。
「さあ!今度こそ行くわよ!」
 美神の視線は、横島がそれぞれ片手ずつに握りしめた、文珠へと注がれている。
「よぅし・・・!行きます!」
 今も細い光撃は、双狼の霊波刀に軌道をそらされる。
 シロはともかく、タマモは光撃と文珠の間に霊波刀を滑りこませるのが精一杯。だがしかし、それでも充分に相手の狙いを狂わせる事は出来る。
『合っ体っっ!!!』
 身構えたおキヌは、吹き荒れる霊波の嵐に、今度こそ二人が合体に成功したという事を肌で感じとっていた。
 おそるおそる目を開く。
 そこには美神が、全身まばゆく輝かせ、悠然と構えていた。
 シロとタマモは初めて見るその姿に、二人して驚きの色を隠せずにいる。(もっともシロの方は、それよりも何だかうらやましげに指をくわえて見ていたりするのだが)
「さあ・・・よっくも好き放題やってくれたわねっっ!!!」
 更に一際霊波を強めて・・・『美神』は飛翔した。

「く・・・っ!」
 セステルティウスは歯噛みして、驚嘆すべき速度で真っ直ぐこちらへ向かってくる、合体した『二人』を見ていた。
 相手の力はおそらく一万マイトを越えている。つまり自分の倍以上の力を有しているという事だ。
 そうこうしてる内にもぐんぐんと、距離が詰められる。
(ーーーもはや、やむをえない!)
 セステルティウスは覚悟を決めた。自分は元々接近しての戦いには向いていない。超長距離からの狙撃を用途目的として、産み出された兵器だ。
 無論、彼女とて接近しての乱打戦とてこなせる。そしてその方がより破壊力のある光撃を放てるのだが、無理をおして戦うこちらの不利は否めない。
 バッ!と、彼女は黒衣を脱ぎすてた。その下から現れたのは、レオタードにも間違われそうな薄いスーツ姿の・・・
(!霊力が更に強まった!?)
 それに驚愕し、固まる彼女をよそに・・・合体した『二人』は何故だか言い争いを開始していた。

 遠めから、そんな様子を目にしている者達がいる。
「もう少し・・・ほらあそこ・・・」
 サングラスを外さない女性と、何だか背の低い目つきの悪い男に挟まれながら・・・銀髪の男は女性が示す方を見上げた。
「タダオ・ヨコシマ・・・?」
 彼は見た。横島と美神が合体した姿を。
 そして。

「・・・・・・あれは・・・」

 彼は見た。



 自分の妹、の姿をーー・・・



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