ザ・グレート・展開予測ショー

Happy Christmas


投稿者名:眠り猫
投稿日時:(01/12/25)

普段は飾り気のない平凡な商店街が今日は幻想的な彩りに光る。
今日・・・12月25日・・・つまりクリスマスは。
冬になり、すっかり寂しくなってしまった大きな木にも、小さい光の粒が傍にいてとてもキレイになっている。回りにある、細々とした木々にも同じような飾りがつけられている。が、今日の主役はこの大きな木で、木の一番先には大きく金色に光る星が誇らしげに輝いている。
街はクリスマス一色だ。
あっちを向けば人形のサンタクロースがこっちにおいで、と手招きをしているし、ケーキ屋には「クリスマスケーキ」が次々に売られていく。
よく見るショートケーキより少し豪華だった。
チョコレイトの小さな家、お砂糖で作られた小さなサンタクロース、真ん中には長方形型のチョコに「メリークリスマス」と可愛らしい字が書かれていた。

今日は外出する人間が多いらしい。

普段とはちょっと違う街並みに、キョロキョロ周りを見渡しながら、唐巣は歩いていた。
今日は教会でクリスマスパーティがあるのだ。
これは横島の提案。


「どーせ皆、彼女も彼氏もいねーし、今年はパーッとやんねぇ!?」
「わぁ、いいですねぇ!」
「ま、たまにはいいか・・・。」

と、珍しく美神がしぶらず了解した。いつのまにか、場所は「皆で騒げる」「大勢が入る」との条件が当てはまる教会になっていた。
クリスマス・・・日本では宗教関係なく、ただ盛り上がってのお祭り騒ぎになっていることが多い。今回のクリスマスパーティもそうだ。
初め美神は「神聖なクリスマスに教会でパーティなんて無理かしら?」と思っていたのだが唐巣は案外アッサリ了解した。
「皆で楽しく過ごせるのならばそれがいい」
唐巣はそう答えた。


クリスマスソングが流れている。普段、音楽というものにあまり接することができない唐巣には、少し大きめのこの音量が心地よかった。
足を止める。
特になにかあった訳ではない。周囲の人々は自分が足を止めたことなど気にもとめず歩いている。
彼の目に映っているのはいるのは小さなケーキ屋。
本当にひっそりとしたお店。

―――――――ここにしようか。

ここにあるケーキ屋など今の今まで知らなかった。
しかし、今、特に何かあった訳ではないが自分の目に止まった。
理由はそれだけで十分だった。
唐巣は大勢の人がやってくる大型の華やかな店より、こういうひっそりとした小さな店を好む傾向がある。
人ごみが苦手なのか、それとも自分の教会もあまりお金に余裕がないから妙な親近感を感じてしまうからなのか。
小さな店の木のドアがカランカランとベルを鳴らしながら開いた。




メリークリスマース!!
パァン!パァン!!大勢の声のすぐ後にクラッカーの音が響いた。クラッカーからは色とりどりの紙ふぶきがはじけ飛ぶ。大丈夫、これは掃除に困らないようの遠くまでいかない、細い色紙の先がクラッカーにくっついているタイプのものだ。
色紙はキレイだし、その音はちょっとうるさくてパーティを楽しむのには重宝する。
ゴーストスイーパーのクリスマスパーティ。
美神や横島の知り合いは多い。本当に多い。
かといって、ほとんど知らない人間はいない。どこを向いても知り合いばかりだ。
最初は友好的じゃない奴もいたが、今はすっかり笑っている。
(この1年で、本当にどっと友人が増えたな。楽しい一年だった。)
と、そこまで考えて唐巣は頭をふった。
パーティは始まったばかり、そしてこんなことは31日にでも考えればいい。
教会のテーブルには豪華な食事もある。これらのお金?
もちろん美神・・・ではない。冥子だ。彼女もパーティなどは好きなのだ。
当の本人は美神をしっかり困らせてたりする。
「令子ちゃ〜〜ん!これ食べて〜。冥子、これ嫌いなの〜〜〜。」
「あー!うっとぉしい!じゃあ食べなきゃいいでしょ!?」
「だって〜、ここ以外は好きなんだもん〜〜〜。」
「じゃあ、僕が!横島忠夫が謹んで頂きます!!」
ドバキャァ!!!
「もー、仕方ないわね。そのかわり、これからはなるべく好き嫌いを失くすこと!」
「わ〜〜い。アリガト〜。令子ちゃん大好き〜〜!」
壁にめりこんだ横島をキレイサッパリ無視して二人はほのぼのしている。
『だいしょーぶ・・・?』
「おう、愛子か・・・。フ、フフ・・・これくらい慣れてるさ・・・っ!」
『何も泣かなくても・・・。ほら、食べる?適当にとってきたんだけど。おいしいわよ。』
「むっ!美味い!!普段、ロクなもん食ってねえからな!企画してよかった・・・!」
『そんなんじゃ体壊しちゃうわよ?・・・<くりすます>っていいわね。とってもキレイ!』
「へ?」
『うん!ステキ!青春だわ〜〜!』
嬉しそうに落ち着きなくにこにこしていたのはそういう訳か、横島はクリスマスをよく知らない愛子に熱心に話してあげる。愛子も同じように熱心に聞き入ってた。
そしたら向こうからはおキヌの声。
「きれーでござるなぁ!これなんでござるか!?」
「それはね、リースっていって。実は私の手作りなの。」
「本当でござるか!?うわぁ、これ、大変だったのでござろう?」
「まぁ、慣れないうちはね。でも、すぐ出来るようになるわ。シロちゃんも作ってみる?」
「いっ、いいんでござるか?拙者でも!?」
「もちろんよ。帰ったら教えてあげるね。」
「フーン、シロにこんな細かいことができるの?」
「タマモ!」
「はい、チキン。」
「ありがとうでござる!」
「おキヌちゃん、私もいい?クリスマスっていいわね。私、結構好きよ。」
「ふふ、いいわよ。3人で作ってみましょ。」
そこから少し離れた所で話しているのは雪之丞とピートだ。
「あれ?弓さんと一緒じゃないのか?」
「あいつはえーと、真理だっけか、と喧嘩してるよ。とばっちりくらうのはゴメンだからな。」
「ふぅん。雪之丞、ケーキいるか?」
「?まぁ、もらうけどよ・・・。・・・ん?・・・・・・甘あぁ!!?」
「え?」
「甘い!なんだこのケーキ!すっげぇ甘い!」
「失敗しちゃったかな?」
「お前が作ったのか!!」
「あんまり料理得意じゃないんだよなぁ。」
「俺は毒見役かよ。俺の方がまだ上手いぜ?」
「・・・」
「あ!信じてねーな!これでも料理くれぇできんだよ!」
あっちにはドクターカオスとマリア。
「む、美味いのぉ。少しくらい持ち帰りしてもかまわんじゃろ。」
「イエス・ドクターカオス。」
「じゃ、タッパータッパー・・・」
「ドクターカオス」
「ん?なんじゃマリア。」
「マリア・クリスマス・楽しい。」
「そうかそうか!あまりパーティなぞしないからのぉ。」
「あっちに・大家の・方が・います。」
「フーム、もう今回は家賃払ったし。行くか、マリア。」
「イエス・ドクターカオス。」
「おーい!ばーさん、一緒に酒でも飲まぬかぁー!?」
それぞれがそれぞれなりにこのパーティを楽しんでいる。皆に共通していることは皆が笑顔だということ。それだけで、唐巣は幸せそうに微笑んでいる。


まあ、楽しいパーティにも終わりはあるわけで。
いつしか段々とパーティは終わっていった。皆、今日のクリスマスに満足しながら家につく。
もう、すっかり暗くなっていて。
月がのぼって、キレイに光る。イルミネーションがキラキラ輝いているので、夜なのにまだ街は明るかった。
数人、ちらかった跡の掃除を手伝ってくれたおかげで、教会はすっかり元通りになった。
さっきまでが騒がしかったせいか、いつもと同じはずなのに余計静かに感じる空間。
どこか寂しさすら覚えるような空間だった。
まあ、何十人もいたのに今は2人だけだから静かなのは当然なのだけれど。
ついでに、もともと物が少ないから大掃除もかねてしてしまった様なここは、ただでさえ広いのにもっと広くなった気がする。
「今日は楽しかったね。」
「ええ、そうですね。久し振りだったな、パーティなんて。」
そういって、十字架を拭いている。ちょっと色を失っていた十字架がまた金色に光り出す。ツリーの上に飾ってある星のように。
なんだか、少し心残りがあるような、そんな笑みで。
「・・・どうしたんだい?」
「いえ、クリスマスを祝うヴァンパイアなんておかしいなぁって・・・。」
そう、唐巣の弟子は吸血鬼と人間のハーフ。彼は、自分の吸血鬼の血を嫌っていたが「ある事」によってその血も自分と認められるようになった。
しかし、やはりまだ、その血にひけめを感じてるようで。
「そんなことはないよ。君が吸血鬼だろうが人間だろうが宇宙人だろうが、平和にクリスマスを過ごしたいと願うならその権利はある。仲間と楽しく過ごしても、主を想い静かに過ごしてもいいんだ。クリスマスを祝うのも、排除するも、それを選ぶ自由はあるのだから。」
ツリーは、大きな木はまだ光っている。
その星は、今拭いている十字架と同じ色。そして、彼の髪の色とも同じ色。
「・・・ありがとうございます。」
嬉しくて、十字架を見つめたまま言った。
そうすると唐巣は微笑みながら、小さな箱を机に置いた。
中身はケーキ。あの、小さなお店の小さなケーキ。
「食べようか、美味しいと思うよ。」
「はい。・・・食べる?」
「さぁ、中身はなんでしょう?」


「MERRY CHRISTMAS」










貴方によいクリスマスを―――――――――                     

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