ザ・グレート・展開予測ショー

終曲(魔光)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/12/23)




 ー終曲ー



 疾走。
 目指すはヴァチカンの、世界にその名も高き、大聖堂。
 シロに背負われたおキヌのネクロマンサーの笛、そこから流れる旋律に意識干渉され、ゾンビ達の動きが一時停止したところを、横島の文珠にタマモの狐火が、天へと逆巻く炎となって、ゾンビ達を灼き尽くす。
 しかし、それでも鎧を装着してるだけの事はあり、燃え尽きず残ったゾンビ達・・・元の数の半数が、自由を取り戻して殺到しようとしてくるがーー・・・
 流麗に、鞭が、闇と同時にゾンビを斬り裂く。
 しかしそこで終わらない。鞭は舞う。
 まるで鎧など無かったかのように、目にもとまらぬスピードに強大な霊力、それらを合わせた鞭の一撃、いや連続攻撃は、ゾンビ達の腐りかけた肉体を次々と両断してゆく。
 やがてーーーもはや両の脚で立つ事も叶わずに、ゾンビ達が己らを屠りし女性、美神令子に平伏するが如き形となった時。
 そこでようやく、美神は鞭の動きを停めた。
 横島達の方へ、振り向く。
 額にはうっすらと汗の玉を浮かべ、自分と長い付き合いがなければ判別不可能な、幽かな疲労の色を表情に残し・・・
「美神さん・・・」
 それでも。
「行くわよ、ママが・・・待ってる」
 断固たる強い意志。それをのせた言葉。横島は言わんとした制止の言葉を飲み込んだ。

 ーヴァチカン市国ー

 最大規模のカトリックの総本山にして、芸術遺産の宝庫。

 全世界中に信者がおり、世界最小とはいえども・・・この国がもつ影響力は絶大。

「そんなとこのシンボルを襲って、そのうえ聖地に魔物を徘徊させる。私でさえ何十、いえ何百億積まれてもやりたくないわ」
 そう言う瞬間にも、美神は鞭で・・・
「美神さんでも?それだとまさに狂気の沙汰っすね〜・・・」
 横島はシロと共に霊波刀で、魔物を蹴散らしていく。
 ひたすらに大聖堂を・・・いや、大聖堂であった魔城を目指して進む美神達。
 もはや肉眼でも確認出来る。闇の結界に覆われてるとはいえ、美神達霊能力者達の眼には、その城の姿も確認出来る。
 まさに中世時代の王侯、貴族の城た。
 巨大な鉄扉。攻城兵器でもなければ破れない代物。
 その上には、攻めこむ敵兵に矢を射かける事が出来るように造られている。物見の塔も城内にあり、外観の良さなどには拘らず、無骨なその姿はまさに、戦争にも耐えうる城塞だ。
「あそこの隙間から、大砲でも撃ってきそうね〜」
「こ、恐い事言わんでくださいよ!」
 美神のその言葉は、確かに冗談・・・だった。
『ーーー!』
 シロとタマモ、犬科の二人が同時に硬直する。
「ど、どしたシ・・・おわ!?」
 怪訝に思った横島はしかし、最後まで喋り続ける事は出来なかった。シロに飛びかかられ、立っていた場所から2メートル程離れた場所へ倒れこむ。
「シ、シロ!こんなとこじゃ・・・何だ!?」
 お約束のボケを行う事は、次の瞬間に見た、いや感じた光景が許さなかった。
 閃光。
 天空より、美神や横島すらも、まるで感知できぬ程のまさに光速をもってして、真っ直ぐに地上を撃った一条の閃光。
 それは道に大穴を穿ち、美神も何が起こったのかを把握して、青ざめた顔をしている。
「!何してんの離れて!みんなどこでもいいから・・・!」
 美神は叫んだ。しかしそれよりも疾くにあの閃光が、新たな穴を穿つ。今度はタマモに押し退かされた、さっきまでおキヌが立っていた場所だった。
(最悪・・・これじゃ狙い撃ちにされる・・・)
 不意をつかれた時はともかく、二撃めもまるで感知する事が出来なかったのは衝撃だった。
 人狼、妖狐の超感覚を持つシロとタマモならともかく、攻撃を感知出来ない自分達では・・・!
 美神はそこまでを計算し、現状はもはや既に切り札を使わねばならない事態だと看破した。何しろ今この場には冥子、それにピートやマリアなど、飛行が可能な者は一人としていないのだ。
「横島君!」
 美神の言葉を待つまでも無く、横島も気がついていた。
 既に文珠、『合』『体』の生成は完了している。
「美神さん!」
 その声に美神が駆け寄ってきた瞬間。
「行きますよ!」
 おキヌが身構える。霊圧だけでも、吹き飛ばされかねないからだ。あの二人でこそ唯一可能な、ヒトの身では最大にして、そして最強クラスの『力』。その禁が今こそ解かれるーーー!



「・・・え?」
 


 おキヌはゆっくり、目を見開いた。
 予想していた、あの合体直後の激しい衝撃も無く、ただ静寂が場を包むのみ。それを不思議に思って視線を巡らすと、美神と横島、二人の姿がそのまま残されていた。
(合体・・・してない?)
 二人は共に、驚愕に目を見開いている。
(一体何が・・・)
 そこでおキヌは横島の足元に気がつく。文珠だ。しかし中心を貫かれて割れている。
「ぐあ・・・っ!」
 横島の苦悶の声。それと共に、また一つの文珠が中心に穴をあけて地に落ちた。
 今度はおキヌも見た。その苦悶の声の前に、一筋の細い光が文珠と地面に穴を穿つのを。
 合体不可。その事実に一瞬呆然となる美神達に向かい、天空に在る彼女・・・『セステルティウス』が手をかざす。

『覚悟・・・』

 セステルティウスはそう・・・呟いたーーー


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