ザ・グレート・展開予測ショー

人間と少女と妖怪と【6】


投稿者名:眠り猫
投稿日時:(01/12/22)

高校に憧れる少女。
うん、これだけなら珍しくない。

ちょっと暴走しがち。
ま、これならまだ同士がたくさんいるわ。

それがお化け。
あー・・・こんな共通点があるのは・・・滅多にないわよねぇ・・・



『・・・・・・こーこーせー・・・』
あーあ、せっかく高校生になれたのに。
あの4人のせいで気分が台無しー。もう、ひどいよねぇ、私ここにいるのに高校生じゃないって。高校だよ、ここ。私、高校生だもん。
高校生なんだってば!違わないもん!

声はない。静かな空間。時計の針だけが音を響かせる。
時計の針がまたひとつ進んだ。


また、あの、焼けるような痛みが全身に広がった。

『きゃあああああっ!!?』
痛い!熱い!まただ。またあの薬品が私をおそってくる!
痛い!!痛いよぉ!いやっ、助けて!何で!?

少女は、もう物に触れることもできない。
物も少女に触れることはできない。霊的な効力をもつ液体が少女をおそっているのではない。彼女の周りにはなにもない。なにも触れてない。なにも―――・・・
なのに、あの時の恐怖が、痛みが、また全身にふりかかってくる。
何故だろう。何故だろうか。
少女が初めてソレを浴びた時はいつだったか。
何時だったか。
それはちょうど、今、時計の針が示している。

もっとも、少女がそれを知ることは・・・ないのだが。








「なぁ、愛子。」
『なーに?』
「・・・あの子、成仏・・・できると思うか?」
横島はポーッと目の前を向いたまま愛子に問いかける。
タイガーはピートと何か話してる。多分、これからの作戦だろう。だが、実際には作戦などありはしない。妖怪退治をせかす教師と、一時も時間の猶予もくれない幼い少女。

・・・この短時間でまーだまだ未熟者の俺たちにどーしろというんだか・・・。
たとえ実力があったって経験なんか全然少ない半人前。
ただ退治するだけではなく、こーゆーケースの場合は特に。

特に意味なく、なんとか出せた文殊2つを手の中でころころ動かしている。

『それを・・・私に、聞くの?』
「ダメか?」
『難しいと思うわ。』
「またずいぶんとハッキリ言うなぁ・・・」
横島は苦笑した。ちょっと、愛子が見れない。まぁ、それは彼女も同じこと。
『あら?曖昧に言ってほしかったの?』
「・・・・・・まーな。」
『素直ね。』
クスクス、と愛子が笑う。
そして、ピタリと4人の足が止まる。もう、扉の前。
さて、どうしたものか。
本当にキレイサッパリ作戦なんかたてられていない。

その時、パン!と勢いよくドアが開いた。もちろん、誰も手を触れていない。

またあの笑い声。
『またきたの?なーんだ、次はおトモダチつくろーと思ったのにぃ。』
宙に浮いている。つまらなそうにくるりと回ってみる。
『私、アナタ達イヤだからー。出てって!』
そういうとまた試験管、ビーカーの嵐。「出てって」つったってお前の部屋じゃねーっての。横島は心の中で呟いた。まだ、やっぱり幼い少女なんだな、と改めて思いながら。
「ダンピールフラッシュ!」
白い光が視界をおおい、思わず目を閉じる。それも一瞬のことで、音と共に散る欠片が見えた。
・・・こりゃあ、学校も気の毒に。たった一日で軽く30本は粉々だ・・・
苦笑しかでてこなかった。ま、怒られはしないだろう、仕方ないことだ。
『な・・・っ、なによぉ、ソレ!』
ピートもそれ以上技を繰り出さない。どこか、悲しそうな表情だった。
少女は気付かず、遠慮なくほかの余ってるものを飛ばしてくる。
『きゃあっ!危ない!』
「伏せるんジャー!!」
「よ、横島さん!?」
「えーとえーと・・・」
文殊でこれらを回避したい。なんの字を入れればいいか。<壊>?
・・・もし、もしだ。万が一ここにある全ての器具を壊されたら・・・?
マズイ、それはマズイ。
相手が考えさせてくれる時間をのうのうとくれるはずもなく、気が付けば何かのビンがすぐ目の前に。
「わあっ!!?」
<壁>
バッシュゥゥゥ・・・
霊力が混じった煙と目に見えない壁が現れた。ビンは壁にぶち当たり中身が壁にふりかかる。・・・その中身の液体はほんの1滴程度だったか、横島の制服の袖に小さな穴を開けた・・・。
(危なかった!本気でやばかった!!でも、文殊はあと一個・・・やばい・・・。これは無駄に使えねーぞ・・・)
幸い、壁は消えないでそのまま短時間は使えそうだ。ちょっとだけ、考える時間ができた。
『ええっ!?な、なんなの!?わっかんないよぉ!でも、ジョウブツなんてしないもん!!』
ますます、意地になりかけていた。
マズイ、早くなんとかしねぇと・・・
「どうします?」
「どう・・・ったって・・・。」
「でも、退治はしたくないでしょう?」
「まーな。学年1位だろ、なんか考え出してくれよ。」
「・・・と言われても・・・。このままだと、悪霊になりかねませんよ。止められるかな・・・。」
・・・・・・。
(ん?今、コイツ何て言った?)
普段あまり使ってない脳のフル回転。本当に、知恵熱がでてるかもしれない。
ただ、なんとなく。
本当になんとなく。
答えが、たくさんある答えの中で、探していた答えが手に届きそうなのが少しわかった。


どーしよう、もし、横島クンがあの子を、退治・・・させてしまったら?
机を盾にしたまま、愛子の視線は横島へ向いていた。
私・・・そしたら、多分もう青春できない。
だって、私と「同じ」あの子が退治されて、私が残るなんておかしいじゃない。
きっと皆は「そんなことないよ」って言ってくれるだろうけど・・・
やっぱり、私は無理だよ。

だって、皆は人間。私達は・・・妖怪だもの。
皆、怖いんでしょ?やっぱり妖怪は怖いんでしょ?
退治するってことはそうでしょ?妖怪とは一緒にいられないからでしょ?
頭、こんがらがってきちゃった。

学校のテストよりよっぽど難しい問題よね。
答えも正解もわからないもの。

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