音色。(前編)
投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/12/17)
夢を見る。
とおいとおい、もう、記憶にすら残らない夢を。
朝 午前六時。
ジリリリリリリリリリリリリリリリッ。
けたたましい音と共にのそのそと起き上がる姿。
腰まではあろうかという黒髪。
おきぬである。
ぱっちりと大きいであろう瞳は、ぼんやりとかすみがかっていた。
「う〜〜」
かちっ
そううなりつつ少女は目覚ましを止めてのそのそという表現にふさわしい動きでパジャマから、制服へと着替える。
(…今日の朝ご飯なににしよう…)
着替えてくる間にゆっくりとだが意識が覚醒する。
まず朝一番に思うことは朝食の献立。
(美神さんは、昨日飲んでくるっていってたから…白菜のお味噌汁とご飯…おかずははいらないだろーなあ…しろちゃんは、焼肉で…いつもたればっかしだから今日はあっさりとポン酢で味付けして…タマモちゃんは…おいなりさんで、そういえばこの前のあれ気に入ってたから…あーしてで、横島さんは…)
はたと、そこで手が止まる。
いつの間にか着替えを済まし顔を洗い、自分に関する身支度を終えて、台所に立っていた
「そーいえば、横島さん今日は朝ご飯食べにこないんだ。」
昨日のひとりまかされたで仕事が今日の朝方までだから仕事から直接学校へと行くと言っていたのだ。
朝七時半。
さんさんという朝日に彩られたキッチンにてである
シロとタマモはもぐもぐとまっとうに食事をしている。
(食事中は静かにときちんとしつけられているらしい)
「わたし一人でですか?」
食事中の一コマである。
おきぬは、目の前で、お味噌汁をすすっている女性。
美神に問う。
「そう、おきぬちゃん一人でお願いしたいんだけど」
頭をおさえつつ美神。どうやら二日酔いらしい。
「この仕事は、おきぬちゃん向きの仕事なのよね。本当は、私がフォローに回ろうと思ったんだけど…」
と、そこで口を噤み頭を抑える。
「二日酔いの上に風邪ですもん。無理しないで下さい」
ひとりで大丈夫ですって
と言い笑う。
「まあ、ね」
横島くんにフォローに回ってもらおうと思ったけど、あの馬鹿今日明日追試なんて役たたずなんだから。
「じゃあ拙者が手伝うでござるっ」
ぶんぶんっと尻尾を振りシロ。
がたんっとイスを立ち身をのりだしている。
「アンタ馬鹿?おきぬちゃん向きの仕事にアンタがついていってどうすんのよ」
そんなシロの様子を横目で見、冷水をあびせかけるかのようなタマモの言葉。
まあ。確かにおきぬ向きような仕事にシロを従わせても騒ぎが大きくなるだけだ。
「な、なにをおおおおっ」
「なに?やる気?」
ふふんと鼻で笑いタマモ。
「ちょっと…ふたりともっっ」
止めようとし声をあげるおきぬ。
だが、それより前に
「ふたりとも、それ以上騒いだら―わかってるでしょーね」
と眉間に皺を寄せ低い声で美神が言った。
はき捨てるような口調から、本当に機嫌が悪いのがうかがえる。
ぞくり
とつめたいものが二人(二匹)の背中を伝った。
「そ、そんなことしないでござるよっ!!」
「そ、そ、そそーよなにいってるの?」
「なんだかなあ」
いつもの平和な朝の光景であった。
つづく
今までの
コメント:
- VSでリクエスト書いてもらったキラーさんへにささげますねー
て、まだ前編だけどさ(汗
え?いらない?どーしよお (hazuki)
- やっぱりhazukiさんの作品大好きですッッッ!! (ニコのり。)
- さすがは、hazukiさんの作品は上手です。続きが楽しみですね。
一方、私の作品の方は・・・・・・しくしく・・・私もhazukiさんみたいな文才がほしいです・・・(涙) (ジャムカ)
- めずらしく落ち着いた雰囲気の日常の一コマって感じですね。
もちろん極楽ならではの日常風景ですけど(笑)
hazukiさんの作品ってドタバタかしんみりのどちらかの印象しかないのでなんか以外な感じがします。(自分的に)
横島がいないというのも関係してるかもしれませんけど・・・。
でもこういう雰囲気大好きですよ。
続きが楽しみです。前振りの言葉の意味も含めて。 (JIANG)
- うわ〜い、うわ〜い!hazukiさんの新作だ〜い!
(↑幾分、壊れ気味)
な、涙がとまりまひぇん〜。
美神家の食卓の描写が、なんともいえません。
嗚呼、やっぱ二日酔いには、私的には大根かあさりの
味噌汁に限ります。(それすら受けつけ無い場合、生き物と
してダメな状態です、ううう)
でもおキヌちゃん、毎朝こんな豊富なヴァリエーションの
朝食を作ってるんですね〜。食費がかさむ云々より、よく
根気が続くもんですねぇ。 (みみかき@木の葉丼って、アブラゲが乗ってるの?誰か教えて下さい)
- 意味深長な題名と冒頭の一行から一転して、ほのぼの描写が続いて……随分和んでしまいました。生活感の在る表現って、何だかとても好きなんですよね。ただ、二日酔いでさっぱりした物を食べている横からぷ〜んと焼肉の匂いが漂ってくるのはどうかと(笑)。
さてさて、キヌ向きでイヌ向きでない(『イヌではござらぬというのに……』)仕事とは? (Iholi)
- にゃへらへらへら(悦
ん、ゴフッゴフ…眠たげなおキヌちゃん……あぁう!……ダメ…取り乱しすぎですわ。
続編の感想は更に壊れる可能性を秘めつつ、邪神の面を装備して次回を待ちます。(何故? (ダテ・ザ・キラー)
- ウオ−−−ん!
hazukiさんのオキヌちゃんええっす
次回も楽しみにしてます (カディス)
- 朝ご飯の献立に悩むおキヌちゃんの気持ち、よーくわかります。
みんなの体調も考えなくちゃいけないし、同じものは続けられないし。
がんばって、事務所のおかーさん♪ (猫姫)
- ↑いつもすまんなぁ(笑)
ほのぼのな食卓って好きです。幸せな日常のひとコマって感じで。
あと、二日酔いはアルコールによる脳の水分欠乏が主な原因なので、アイソトニックなどの吸収の早い水分をたくさん摂ると、かなり症状が緩和します。お試しあれ。 (黒犬)
- ↑×6、見事に亀レスです。
「木の葉丼」とは、銀杏切りにした蒲鉾を木の葉に見立てたどんぶりみたいです。
玉葱、椎茸などを鰹出汁、濃口醤油、味醂、砂糖などで甘く煮立てた処に、件の蒲鉾と万能葱を加えて、更に卵で綴じたものを、丼一杯のアツアツのご飯の上に乗せます。
この書き込みの為にHPを見て回ったら、みみかきさんご指摘の木の葉に見立てた油揚げを入れたり、ゴーダチーズと絹鞘を乗せたり……まあ色々とヴァリエイションがあるみたいです。どうぞ、お試しあれ。 (Iholi)
- ↑あ、ありがとうございますぅ〜。
そーですか、蒲鉾ねぇ。ためしてみよう!
その前に、年末に東京で探してみるつもりです。
池袋のスナック・コーナー(注、池袋駅の近くにあるジャン
クフードの王国)あたりにあると、ええんですが…。
ところで、絹鞘はともかくゴーダチーズって、ご飯に
合うんでせうか? (みみかき)
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