人間と少女と妖怪と【5】
投稿者名:眠り猫
投稿日時:(01/12/16)
時間というのは不思議なもので。
針は変わらず規則正しく動いているのに。
早く感じたり、遅く感じたり。
退屈な授業中、特に睡魔に襲われていたりする時は、ゆっくり動く時計の針を恨めしく思い。
楽しい時間はあっというまに過ぎていき、やはり針を恨めしく思うのだ。
針は同じ感覚で動いているというのに。
早く感じたり、遅く感じたり。
そして
次の授業はマラソンだとか、あと一時間で三者面談だとか、テストだとか、会社などに行かなくてはならない、という時も人によっては時間の流れを早く感じる。
早く感じたり、遅く感じたり。
今もちょうどそんな時
横島はひたすらじーっと黒板の上の時計を眺めている。
授業中だというのに、教師の声は全く届いていないようだった。
カチカチカチカチ・・・
全く速さは変わっていない針なのに。そのことはずっと見てるから知っているはずなのに。
ふと気付くと、10分20分平気で過ぎていた。
普段なら5分とたっていないハズなのに。時計の速さは変わっていない。それはずっと見ていた自分が一番知っているはずだ。
なのに、どうしてこんなに早いのだろう?
神様というものがしている意地悪なのか?と思わず考えてしまう。
放課後、あの少女のところへ行かなくてはならない。
それが・・・なんとも気が重い仕事で。
もっと対策を考えていたいものなのだが、時間がそれを許してくれない。
そしてこんな時に限って別の考えが頭をよぎる。
長い綺麗な黒髪を見て。
・・・そういや、あいつの32年間は、あいつにとって短かったのだろうか、長かったのだろうか?
キーンコーンカーンコーン・・・
鐘が鳴る。教師が気付く。最後になにか一言二言言って教室から出て行った。
さて、どうしようか。
1:文殊で説得
2:普通に説得
3:美神さんに聞く
4:無理やり成仏させる(つまり退治だ)
5:その他
1,2は説得。さて、どうやって?
さっきので考えると難しいぞ。感情的になられるとな。かといって理屈が通用するか?
霊になって残るくらいだからその「想い」は強い。
それを理屈でぐだぐだ言われて納得できるか?
しかも、まだ幼い彼女(っても小学生、くらいだろう。1、2年生。大きく見ても3年生くらい)に理屈がきくか?「霊は〜〜なんだから成仏しなくちゃいけないよ」「生きてる人間に迷惑かけちゃだめだよ」「自然の流れというものがあって・・・」
あー・・・どれも納得してくれない気がする。
あの子が納得してくれるもの?
あるのかよ、そんなもの。
3・・・は・・・小鳩ちゃんのこともあるし、なんだかんだ言ってやってくれるだろう。
だけど、その方法は?
美神さんだって優しいところはある。しかし、優しいだけでは成立しないのがGS。
冷酷にならない時、それが今だと判断されたら?
結果は4になるかもしれない。問題なのは美神さんは子供の世話が下手だというところ。
まだ俺のほうが上手い。しかも、ひのめちゃんみたいならともかく、この年頃の子供は特に苦手とするだろう。それは案外、唐巣神父も見たようなもので。
ハイパーに子供にされてしまった美神さんに対するやりとりが・・・やっぱり上手くなかった。
一瞬、ネクロマンサーの笛も思いついたが却下した。多分、そんなふうに操るのはおキヌちゃんも嫌がるだろう。
4は、一番選びたくない選択肢。でも、一番選ばずをえないだろう。恐らく多くのGSはこれを選ぶ。あの少女はほとんど悪霊となりかけている。
間違ってはいない、しかし、これは嫌だ。やりたくない。だからこんなに悩んでる。
・・・知恵熱でそう・・・
かといって5は思いつかない。思いつかないから「その他」なんだけど。
時間がない。
対策もない。
あの子が悪霊になってしまうのはもう時間の問題。
時間がたてばそのまま自縛霊。もし・・・なにかきっかけさえ起きてしまえばすぐにでも。
『よっこしっま君!』
パン!と軽い音がする。それは背中から。
黒髪の少女。愛子だった。
「いってーな、どしたよ?」
うふふ、とふんわり柔らかく笑った。
この笑顔は見覚えがある。
悲しかった、嬉しかった、あの・・・
同じ黒髪の
同じ妖怪の
中は寂しさ、表面は優しさが溢れてる。
自然な笑顔で。きっと俺は「彼女」がいなかったら気付かなかった。
あの時はわからなかったけど・・・今はわかるよ。
ちょっとは成長したんだな、俺。でも・・・成長するの遅すぎた。
・・・誰を見ているの?
その黒い瞳は私を映してる。
でも
私だけじゃないわね。
私のほかに、その瞳には誰が映ってるの?
私が知ってる人?知らない人?
・・・ちょっと悔しいなぁ
『もう放課後よ。行きましょ、理科室。』
もうそんな時間か。わかっていたのに、何故か俺はそう思った。
今までの
コメント:
- 最初の時間の文・・・マラソン、三者面談、・・・テスト・・・耳が痛いです。(笑)
前回、コメント下さった方々ありがとうございました!嬉しい・・・。 (眠り猫)
- ををっ!昨今このサイトで流行(?)の「愛子ちゃんモノ」ですね。とっても面白かったです。
それはそーと、いろいろとお忙しい状況のようですが、忙しいのは眠り猫さんだけじゃないんです。
私の友人の受け売りなんですけど、どんなに辛いことがあったって、また、どんなにひどい逆境にあったて、「乗り越えられれば私の勝ち♪」なんですから。
今後もがんばってください。 (ジャムカ)
- 愛子を見る横島の視線の向く先が、過去の感傷だけでは決してない処に、好感が持てます。しっかりと、彼の生きる糧と成っているのですね。 (Iholi)
- うう、いいなぁ〜。
簡単に「誰かを切り捨てる事」よりも
なんとか「誰も泣かない方法」探す横島。
大人になればなるほど、できなくなるんですよね。
そんな横島に気づく愛子ちゃん…。
アンタは「いい女」だ!
気づけよ、横島。(笑)たとえ机でも、見逃しちゃ
もったいないオバケが出るぞ! (みみかき)
- 何だか理知的な横島・・・皆といる時はいつも騒ぎの元となり、それでもこういう場面では・・・『あっさり除霊』するよりも、他の道を探ろうとする横島が、凄く良かったです。 (AS)
- 悩んでる横島君がすっごくいいです!
優しいから、相手の痛みをわかってあげられるから悩んでるんですよね。
愛子ちゃんもかぁいいの〜(悦) (猫姫)
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